Cinémas Palme D'Or at Palm Desertで〝KING OF CALIFORNIA〟(「カリフォルニア・トレジャー」)

mike-cat2007-10-11



"YOU'VE GOT TO BELIEVE IN TREASURE TO FIND IT"
「サイドウェイ」「アバウト・シュミット」
アレクサンダー・ペイン製作、
「ワンダー・ボーイズ」「氷の微笑」マイケル・ダグラス主演。
カリフォルニアに眠るスペインの財宝をめぐる、
独特のペーソスあふれるコメディ・ドラマだ。


財宝探しに血道を挙げる父親に翻弄される娘を演じるのは、
「サーティーン あの頃欲しかった愛のこと」「ミッシング」の、
エバン・レイチェル・ウッド
監督・脚本のマイク・カヒルはこの作品がデビュー作。
脚本はフランシス・フォード・コッポラの製作会社、 American Zoetrope の脚本コンテストで2004年の最終候補作に挙がった作品である。


精神を病み、長く入院していた父、チャーリーが退院した。
母を早くに亡くし、父一人娘一人で過ごしてきたミランダは、
高校もドロップアウトし、いまはマクドナルドで日々の生活費を稼ぐ毎日。
だが、チャーリーは仕事に就くでもなく、おかしな行動でミランダを困らせる。
そしてついにチャーリーが明かしたとんでもない秘密。
それは、カリフォルニアに眠る、スペインの財宝のありかだった―


精神科の病院で見かけた本と、ネットの情報を頼りに、
カリフォルニアのそこかしこで、スペインの財宝を探し回る父親。
こんなとんでもないオヤジを持ってしまったら、もう大変だ。
高校も退学し、将来の希望もなければ、夢もない。
稼ぎはマクドナルドでスマイルを振りまき、得る薄給のみ、
そんな人生を送るミランダにとって、まさしくお荷物でしかない。


しかし、このチャーリーがまた困ったもので、
沢田研二風にいうなら、まさしく「憎みきれないろくでなし」。
迷惑のカタマリのような人物なのに、どこか憎めない。
気づけばチャーリーのペースに巻き込まれ、
ミランダまで財宝探しに駆り出されてしまう始末なのである。


そんなチャーリーを演じるマイケル・ダグラスは、貫録の演技。
適当に肩の力を抜いた感じで、
財宝探しに奔走するアホ親父を喜々として演じているのがわかる。
ミランダを演じるエバン・レイチェル・ウッドの表情も抜群だ。
諦観と生真面目さ、父への愛情と反発、そして困惑が、
画面からズイズイと伝わってきて、何とも言えず味わい深い。


アバウト・シュミット」、「サイドウェイ」と、
これまた独特のペーソスにあふれた作品を監督した、
製作のアレクサンダー・ペインの影響か、その感触は近しい印象。
切なさと哀愁、滑稽さなんかが絶妙に混ざり合い、
荒唐無稽なバカバカしい物語に、不思議なリアルさを醸し出す。
傑作というには、微妙に難しい部分もあるが、
独特の余韻とともに、忘れられない作品ともなりそうな1本。
きちんとした字幕付で、もう一回観てもいいかも、な佳作だった。