Regal Crow Canyon Stadium 6 at San Ramonで〝THE HEARTBREAK KID〟

mike-cat2007-10-06



〝LOVE HURTS
「メリーに首ったけ」ファレリー兄弟(監督)と、
ベン・スティラー(主演)がリユニオン。
チャールズ・グローディンとシビル・シェパードが主演、
エディ・アルバートジーニー・バーリンが、
オスカーに助演でダブルノミネートされた1972年作品、
「ふたり自身」をリメイクした、ロマンス・コメディだ。
サンフランシスコ、そしてメキシコを舞台に、
お得意のドタバタとキュンとくるロマンスが展開する。
共演は「M:i:III」「キスキス,バンバン」で注目のミシェル・モナハン
TVなどで活躍するマリン・アッカーマンに、
ベンの実の父ジェリー・スティラーもそのまんま父親役で出演する。


サンフランシスコ在住のエディは、
ここ数年恋人なしの寂しい生活を続けていた。
しかし、ある日偶然出会ったライラと、恋に落ちたエディ。
とんとん拍子に結婚まで進んだ二人だったが、
メキシコへの新婚旅行の途中で、ライラは早くも正体を現す。
下品でやかましく、そして身勝手わがまま…
そんなライラにげんなりするエディの前に、本当の「運命の人」が現れた―


なかなか、厳しいシチュエーションである。
勢いで結婚してみたはいいけれど、もっと好きな人が現れてしまった…
普通なら、そんなもの自制しろよ、で終わる話だが、
結婚相手が半端じゃなくヤな女であることが判明した上、
本当の「運命の人」とも、不可抗力的な展開で接近してしまったら、
こういう形でストーリーを展開することも可能ではある。
とはいえ、世の女性はそれでも不快感を覚えるような気はする。
よって、比較的オトコのスタンスからの映画といってもいいだろう。


映画の基本的なトーンは、ベン・スティラー演じるエディの受難だ。
近作の「ナイト・ミュージアム」はもちろんのこと、
メリーに首ったけ」や[:title=「ミートザ・ペアレンツ」]などを例に挙げるまでもなく、
ベン・スティラーといえば、そのいじめられっぷりがひとつの芸風である。
かつてはジェネレーションXの旗手だったはずだが、
まあ近年はすっかりその芸風が定着し、アホ俳優としての地位を築いている。
そのスティラーの芸風から行くと、平均をやや上回る感じの出来だろうか。


ただ、それを引き立たせるトンデモ女ライラの暴走っぷりが微妙なのだ。
「何だ、この女」的な行動は数々あれど、
じゃあ夫にハネムーンで捨てられてもいい女か、というと、
それはちょっと哀れじゃないの、と感じてしまう描写もあり、
むしろ、エディにも非があるような印象もつよくなってしまうのが痛い。


一方で、そうした部分を考慮に入れなければ、
「運命の人」との恋愛模様はけっこう好ましい感じで展開する。
ミシェル・モナハンのキュートさもうまく引き出されていて、
うまく流れに乗っていけば、キュンとくるような感覚も味わえる。


ただ、ここから突如ややネタバレになってしまうのだが、
すべてをぶち壊しにするラストをどう見るか、が問題となるだろう。
コメディとしての予定調和を嫌ったのだろうが、やはり蛇足に思えるし、
そこまでやってきたこと、描いてきたことが何もかも台無しになる。
エンドクレジットには、蛇足に蛇足をつなげるシーンも続き、
それまでせっかく築き上げたストーリーを色褪せさせる。
ファレリー兄弟、ちょっとやり過ぎた、という感は否めない。


そういう意味では、過去のファレリー作品の、
コメディなりのまとまりと一線を画す作品といってもいいのかもしれない。
観る人によって、好みは分かれそうだが、
過剰な期待をせず、恋愛のモラル的な部分を考えなければ、
笑える部分はもちろんたくさんあるし、そう悪くない一本じゃないかと思う。