TOHOシネマズなんばで「オーシャンズ13」

mike-cat2007-08-13



〝今度のゲームにいくら賭ける?〟
ジョージ・クルーニーブラッド・ピットを始めとした、
豪華を極めたキャストで贈るエンタテインメント大作第3弾。
今回は大物中の大物名優アル・パチーノがゲスト出演、
「ウィン・ラスベガス」などで知られる実在のホテル王、
ティーヴ・ウィンそっくりの敵役として、立ちはだかる。


オーシャンズの仲間の1人、ルーベンが心臓発作で危篤に陥った。
ラスベガスの新しいカジノホテル建設に動いていたルーベンだが、
悪どい手口で知られるホテル王、バンクに騙され、
土地の権利や共同経営権など何もかも奪われた心労が原因だった。
交渉にも聞く耳持たないバンクに対し、
オーシャンは仲間を再び集め、華麗なる復讐に取りかかった―


スターたちのひたすらきらびやかな競演で、
観客にため息をつかせた第1作「オーシャンズ11」と比べ、
「前作」の[http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=320917:title=オーシャンズ12」]は、スター映画ならではのユルさと楽屋落ち、
ルーニー×ソダーバーグの交遊関係の自慢ばかりが目立つ作品だった。
今回も予告を観る限り、画面から生ぬるさがぷんぷん匂い立つ印象。
ま、あんまり期待せず、肩の力を抜いて、と劇場へと向かった。


今回も、スター映画ならではのユルさ、ヌルさは、全開だ。
ストーリー上のご都合主義は、言うに及ばず、
出演している俳優たちも肩の力を完全に抜いて、ユル〜く演じている。
アル・パチーノにしたって、存在感と顔だけで軽く流している始末で、
あの名優ですら、このヌルさには染まってしまうのか、と驚いてしまう。


だが、シリーズも3作目ともなると、このヌルさも、
ルーニー×ソダーバーグが意図してやっていることがよりハッキリしてくる。
観る側の意識もそれに従い、製作サイドと合致してくるから、
ジョージクルーニーの顔の広さ自慢も、
ソダーバーグによる多少やり過ぎのカメラワークも、
まあいいや、ってな感じで、あきらめ半分で、許せる気分になってくるのだ。


そして、そのヌルさに染まってみると、見えてくるものもある。
「オーシャンと十一人の仲間」の雰囲気らしきものが、より明確に醸し出されているのだ。
60、70年代を感じさせる音楽とともに、
古きよき時代のラスベガスの思い出話なんかも出てくると、
シナトラの時代へのノスタルジーが、より純化された印象が伝わってくる。
だから、そこら中穴だらけで、浮世離れしたオーシャンズたちの活躍も、
一種の爽快感みたいな感覚で、温かく見守ることも可能になる。


もちろん、スターたちそれぞれに目を凝らせば、やっぱり楽しいことだらけ。
何とトム・クルーズブラッド・ピットトム・ハンクスらを抑え、
高収益俳優ランクのトップの座に輝いた、マット・デイモンは、
通称〝ブロディ〟(エイドリアン、ですな…)のつけ鼻で、今回も笑わせる。
子どもを産みたい俳優ナンバー1なんかにも輝いたデイモンだが、
ヘンに決めてるより、やっぱりこっちの側の方がお似合いである。


出番こそ多くないが、このシリーズで実は一番輝いているのが、
「ホテル・ルワンダ」でも印象的な演技を見せたドン・チードル
今回も再三の受難にめげず、大きな見せ場を演じる。
ほかのゲスト勢では、アル・パチーノとは「シー・オブ・ラブ」でも共演したエレン・バーキンも、
ホテル王バンクのやり手の秘書役として登場、
パチーノとの意気のあった演技で、軽妙な笑いを誘ってくれる。
オプラ・ウィンフリー・ショー」のオプラも本人役で登場するなど、
細かいネタも満載で、おそらく解るヒトにはもっともっと楽しめるはずなのだろう。
ちなみに、曙&武蔵丸もクレジットでは登場するが、
実際の場面ではモンゴル人らしきヒトが相撲をとっていて、よくわからない。


そんなこんなで、夏の暑さでゆだった頭には、ちょうどいい作品かも。
そこらへんのスタンスを、きっちりとわきまえずに、
前作を手ひどく批判してしまった反省を踏まえつつ、ユルく楽しむ。
また続編、というのはどうにも食指が伸びない気もするが、
公開されたらされたで観てしまいそうな、そんなシリーズなのだった。