敷島シネポップで「ゴースト・ハウス」

mike-cat2007-07-23



〝その家は、
 人恋しくて、人恋しくて、たまらなかった…〟
「スパイダーマン」「死霊のはらわた」
サム・ライミが設立したプロダクション、
「ゴースト・ハウス・ピクチャーズ」が送る〝お化け屋敷ホラー〟。
監督は「the EYE 【アイ】」「テッセラクト」オキサイド・パン、ダニー・パン。
香港が誇る双子の兄弟のハリウッド進出第1作となる。


娘のジェスが問題を起こしたため、
シカゴを離れ、ノースダゴタの田舎町に越してきたソロモン一家。
新たな出発を図るため、購入した家は人里離れた一軒家。
しかし、皮肉なことに、そこには何か、禍々しいものが住みついていた。
いち早く怪奇現象に気づいたジェスの警告も、
両親は単なるヒステリーと片付け、取りあわなかったのだが…


いよいよ、ホラーの夏到来、である。
こういうB級テイスト漂う作品が公開されると、つくづくそう思う。
それも題材は、お化け屋敷。
「悪魔の棲む家」「ポルターガイスト」などなど、
過去の名作を挙げるまでもなく、基本中の基本とも言えるテーマである。


では、この作品のどこに新味を求めるかといえば、
やはり何といってもパン兄弟に尽きるといっていいと思う。
「THE JUON/呪怨」清水崇「ザ・リング2」中田秀夫など、
ハリウッドがホラーに新感覚を求める時代にあって、
パン兄弟もまた、独自の怖さを追求する、期待の逸材である。


そのパン兄弟が「ゴースト・ハウス」で展開するのは、
見せない怖さと、見せる怖さのなかなか絶妙な取り合わせ。
一歩間違うと、単なるギャグになってしまう幽霊たちを、
うまいことフォーカスのぼかしや、画面の陰でのちら見せにしたかと思うと、
いざ登場の場面では、とんでもなく気色の悪い動きで描き上げる。
中盤からの力業は、やや評価の分かれる部分もあるだろうが、
それはそれで、オリジナリティあふれる展開ともいえそうだ。


「パニック・ルーム」ジョディ・フォスターの娘役を演じた、クリステン・スチュワートもいい。
不機嫌な表情がもっともよく似合うミドルティーン世代が、
声にならない悲鳴でスクリーミング・クイーンを演じるのは、これまた一興。
以前起こした事件が原因で、狼少年的な立場に追い込まれていくあたりも、
うまいことツボを突いた設定になっていて、悪くない流れになっている。


B級ホラーならではの突き抜けたバカバカしさには欠けるが、
ヒマワリ畑に漂う不穏な空気の演出など、うまさは随所に光る佳作。
パン兄弟はもちろんのこと、
ゴースト・ハウス・プロダクションにも次回作を期待したいところ。
8月公開の清水崇監督作、「呪怨 パンデミック」も楽しみだ。