2007年上半期ベスト映画


上半期の映画マイベスト5+α、である。
ことし前半は、比較的時間が自由だったり、
なんばに2つめのシネコンができたり、と好条件が整ったせいか、
6月末までで66本(リバイバル1)というなかなかの好ペース。
4年ぶりの100本オーバーも視野に入ったな、という感じだ。


とはいえ、その中身、となると、やや低調な感もあり。
もちろん、面白い映画はたくさんあったのだが、
ことしのベスト1候補、となると、まだ出ていないかも、という気がする。
というわけでマイベストで、上半期を振り返る。

1.「クイーン」

ダイアナ妃死亡事故で揺らいだ英国王室の裏側を描いた、〝リアルな〟フィクション。
クイーンを演じたヘレン・ミレンの演技、スティーヴン・フリアーズの演出、
どれをとっても傑作の名にふさわしい、すっばらしい作品だった。

2.「主人公は僕だった」

「チョコレート」「ネバーランド」マーク・フォスターによる、
ウィル・フェレル主演のファンタジック・コメディ。
ウィル・フェレルのクドさが苦手な人にもお勧めしたい、見応え十分の作品だ。

3.「ドリームガールズ」

映画ならではのゴージャスな夢、を味わえるミュージカル大作。
時代を席巻したモータウン・サウンズの光と影、哀切きわまるドラマ…
これを見逃してしまうなんて、ホントもったいない、としかいいようがない。

4.「善き人のためのソナタ」

旧東ドイツの監視社会を舞台にした、感動のドラマ。
信義と良心のはざまで揺れる男の心情が、しみじみと泣かせる。

5.「ラブソングができるまで」

ヒュー・グラントドリュー・バリモアによる、非常にウェルメイドなラブ・コメの王道。
いまは落ちぶれた80年代MTVのスター、という設定があまりに絶妙だ。
ひたすら恥ずかしい、ヒューのアイドル風プロモも最高に笑える逸品である。

そして、こちらも捨てがたい+α
「明日、君がいない」

オーストラリアの新鋭、ムラーリ・K・タルリによる、哀しみのドラマ。
ミステリー仕立てで語られる、10代の哀しみ、そして孤独が切ない。

「こわれゆく世界の中で」

名匠アンソニー・ミンゲラによる、ふたつの愛の間に揺れる男のドラマ。
散りばめられた暗喩、美しい映像、実力派俳優たちの好演…
3拍子も、4拍子もそろった、これまた傑作としかいいようのない作品。

「プレステージ」

クリストファー・プリーストによる原作〈プラチナファンタジイ〉 奇術師 (ハヤカワ文庫 FT)」と合わせておすすめの傑作。
映画と小説の味わいの違いを楽しむのも、これまた一興だ。
ヒュー・ジャックマンクリスチャン・ベイルの、
後味悪い足の引っ張り合いも、けっこうくせになってしまった。

「ゾディアック」

米犯罪史上でも屈指の〝人気〟を誇る連続殺人犯、ゾディアックと、
それに魅せられてしまった人々を描く、ざらりとした不快感が味のドラマである。
「セブン」「ファイト・クラブ」デヴィッド・フィンチャーの演出は、今回も冴えている。


以上、ことしの上半期マイベスト5+α
下半期の期待作は、「トランスポーター」ジェイソン・ステイサム主演の「アドレナリン」に、
ギレルモ・デル・トロ監督のアカデミー撮影賞受賞作品、「パンズ・ラビリンス」
そして、いよいよ登場、デヴィッド・リンチ「インランド・エンパイア」
そうそう、「40歳の童貞男」スティーヴ・カレル主演、「エバン・オールマイティ」
ああ、早く観たい、早く観たい、と思いつつ、このへんで。