2007年上半期マイベスト本


ハッと気づくともう、7月になってしまったのである。
歳を重ねるごとに、月日の流れが速くなる、というのは、
世の常、人の常だし、そんな感覚をまとめた論文とかもあったはずだが、
まあ、それはそれとして、あっという間に過ぎてしまった半年を振り返る。


しかし、振り返ってみると、ことしの前半、
自分で思っているよりは、意外に本を読んでいないのである。
さらに、マイクル・コナリーのハリー・ボッシュ・シリーズにはまってみたり、
と、旧作を読み進めたりしたこともあって、新作はやや少なめ。
そんな中で選んだ上半期マイベスト5(+α)はこんな感じだ。


1.ダフネ・デュ・モーリア「レベッカ」新訳版

レベッカ

レベッカ

これは文句なし、の1位だったと思う。
これも厳密には旧作のカテゴリーではあるのだが、やはり新訳で甦った名作は面白い。
2.堀江敏幸「めぐらし屋」
めぐらし屋

めぐらし屋

日本の小説ではこれがベストだろうか。
主人公の蕗子さんの飄々としたキャラクターもたまらないし、
どこかのどかなミステリーを思わせるストーリーも最高。
堀江敏幸の物語世界を満喫できる1冊。
3.桜庭一樹「赤朽葉家の伝説」
赤朽葉家の伝説

赤朽葉家の伝説

これは厳密にいうと、昨年12月28日の刊行だが、
たった3日なので、ことし前半に繰り込んでもいいかな、と。
読み終えるのがもったいないくらいの、豊穣な世界が展開される、
桜庭一樹版「百年の孤独」の大傑作に、ひたすら圧倒された。
4.クリストファー・プリースト「双生児」
双生児 (プラチナ・ファンタジイ)

双生児 (プラチナ・ファンタジイ)

「信用できない語り手」が織りなす、油断ならない騙りに眩惑され、
どこまでも心地よく、その世界に浸り込める。
これぞ読書の愉悦、といいたくなる1冊だった。
5.最相葉月「星新一 一〇〇一話をつくった人」
星新一 一〇〇一話をつくった人

星新一 一〇〇一話をつくった人

ことし前半のベストノンフィクション。
SF界の巨人、星新一に再び出会えた喜びは、簡単には言い尽くせない。
星新一の知られざる生い立ちや、苦悩はどこまでも興味深い。

  • 次点

ヤスミナ・カドラ「テロル」

テロル (ハヤカワepiブック・プラネット)

テロル (ハヤカワepiブック・プラネット)

自爆テロ愛する人の知らざる一面… 哀切極まる、深い余韻の1冊。
マーク・ボウデン「ホメイニ師の賓客」
ホメイニ師の賓客〈上〉―イラン米大使館占拠事件と果てなき相克

ホメイニ師の賓客〈上〉―イラン米大使館占拠事件と果てなき相克

ホメイニ師の賓客〈下〉―イラン米大使館占拠事件と果てなき相克

ホメイニ師の賓客〈下〉―イラン米大使館占拠事件と果てなき相克

いまの世界を揺るがす、西欧とイスラムの対立の原点に触れる1冊。
やや冗長な部分は否めないが、圧倒的な読み応えが魅力。
柳澤健「1976年のアントニオ猪木
1976年のアントニオ猪木

1976年のアントニオ猪木

懐かしいプロレス魂を揺さぶられる。
いまだからこそ語ることのできる、あの時の「猪木」。


以上、2007年上半期の5冊+α。
下半期も、しびれるような本との出会いを、期待しましょう、ということで。