TOHOシネマズなんばで「ダイハード4.0」

mike-cat2007-06-23



〝全世界を揺るがす史上最悪のサイバーテロ発生!〟
12年ぶりとなる、待望のシリーズ最新作。
全米最大の危機に、ジョン・マクレーンが再起動。
究極のサイバーテロと、最強のアナログオヤジ、勝つのはどちらか?
監督は「アンダーワールド」シリーズのレン・ワイズマン
脚本はヒュー・ジャックマンユアン・マクレガー共演で近く公開の、〝The Tourist〟の共同脚本と、「アダム -神の使い 悪魔の子-」の脚本を手がけたマーク・ボンバック。


全米中のコンピューターが、何者かに乗っ取られた。
ネットや電話などの通信網に、交通システム、そして金融市場も麻痺状態。
究極のサイバーテロで、全米がシャットダウンの危機を迎えた。
そんな時、やっぱりそこに居合わせてしまうのは、あの〝運の悪いヤツ〟
NYPDのジョン・マクレーン刑事が、またも危機に立ち向かう―


映画史上屈指のマスターピースジョン・マクティアナン監督の「ダイ・ハード」
それをレニー・ハーリンが絶妙のおふざけで再現した「ダイ・ハード2」
閉鎖空間という枷を取り払い、やや失敗に終わった「ダイ・ハード3」
もういまさら、と思っていたシリーズではあったのだが、
何の何の、50を越えたブルース・ウィリスは、また熟成された魅力を発揮。
もともとやばかった髪は、ついになくなってしまったが、
相も変わらずのお丈夫さで、笑ってしまうような〝ダイ・ハード〟ぶりを見せてくれる。


お馴染みのぼやき節と不屈の闘志、一瞬の閃き(行き当たりばったり?)で、
いい意味で「ありえね〜」なシーンを次々と繰り出す、その持ち味は健在だ。
多彩なVFXを駆使しつつも、ウィリス自身20針を縫ったという、
体当たりアクションは、シリーズの重み同様の重量感のある迫力をもたらしている。
まあ、笑ってしまう場面も、正直ちょくちょくあるのだが、
それはもうレニー・ハーリンの「2」で慣らされた面もあるので、それもありかな、と。


マクレーンの今回の相棒で、コンピュータ・オタクのマットを演じる、
ジャスティン・ロング「ジーパーズ・クリーパーズ」
「ドッジボール」)もいい。
マクレーンのぼやき節がさえ渡る、マットとの「英雄談義」はなかなかの味わい。
4作を積み上げたシリーズならではの、ペーソスにも似たものが漂う。
ついにホリーには離婚され(すでに前作でアル中化していたが…)、
メアリー・エリザベス・ウィンステッド「ボビー」「ファイナル・デッドコースター」)演じる、
娘のルーシーにも疎まれる姿は、英雄とて、いや英雄だからこそ、
オヤジの悲哀とは無縁じゃないことをありありと知らしめる。ああ、切ない。


敵役に目を向けると、「M:i:III」マギー・Qが強烈な印象を振りまく。
まるでニンジャを思わせる、日系人のマイは、
相変わらずのハリウッドの単一的なアジア人観を引きずってはいるが、
少なくとも、すこぶるないい女として扱われている分だけ、ましかもしれない。
ボス役のティモシー・オリファント「ドリームキャッチャー」)は、
過去のシリーズの中でももっとも貫録のない悪役だが、
それはそれで、このコンピューター犯罪というジャンルにふさわしいのかもしれない。


荒唐無稽さは「2」にも次ぐトンデモぶりではあるが、
「3」で意気消沈したシリーズの勢いは、きっちり上向きに転じている。
また、さらに次…すら感じさせるような、
ウィリス=マクレーンの絶好調ぶりに、何だかうれしくなってしまう。
やっぱりすごいな、このシリーズ、とあらためて感心してしまうのだ。


ただ、1点気になったのは、冒頭のタイトル画面。
原題〝LIVE FREE OR DIE HARD〟が登場する場面を、
どうやら、邦題の「DIE HARD 4.0」に差し替えられているらしいこと。
今までは本編開始前の挿入画像で、邦題は示されるケースが多かったが、
本編の画像を日本版に編集し直しているようで、どうにも違和感がある。
小さなことではあるが、やっぱり本編をいじられるのはちょっと…
こうした改変が許されてしまうと、
何か歯止めが効かなくなるような気がして、何だかイヤなのである。