公開率は東京98%、大阪66%


朝日新聞5/28付夕刊「エンタメ研究所」に気になる記事を発見した。
コミュニティシネマ支援センターがまとめた、各都市別の映画公開率のデータで、
03年から05年にかけて国内封切り作品のうち、何本がその都市で公開されたか、をまとめたもの。


05年のデータだと、封切り作品737本のうち、
大都市は東京が98%、大阪が66%、名古屋68%、札幌58%…
これが小都市になってくると数字は断然低くなる。那覇37%、甲府23%、奈良16%、鳥取8%。
記事の見出しにもある通り、圧倒的な地方格差が数字で表されている。
各地でシネコンが躍進した03年から05年の比較で見ると、
和歌山や高知、秋田などでシネコン開業によって、公開率が上がったとか。


東京、大阪の比較でいうと、
大阪は3分の2、ということになるのだが、実感としては、半分という感じだろうか。
記事の中にもある、モーニング&レイトのみでの公開や、
公開時期の圧倒的な遅さ(ヘタすると3カ月、4カ月)を考えると、
66%という数字すら、意外と多かったんだな、という気すらする。


で、この記事で取り上げられているのは、やはりシネコン躍進の一方で、
地方の街中ロードショー館や単館系なんかが、苦しい状況に追い込まれている、というやつ。
大阪・ミナミでも、TOHOシネマズやなんばパークスシネマの改行で、
道頓堀角座東映パラスなど数館がここ数年で相次いで閉館する事態となっている。
よく新聞記事なんかでは、無責任に映画文化がどうこうとか、寂しいとか書いてあるが、
おそらくその記者はこれらの劇場に足を運ぶ機会などほとんどないのだろう。


よく出張先で映画館に行くのだが、
いわゆる昔ながらのロードショー館は汚いし、設備は悪いし、サービスも悪い。
それは大都市圏も同じだが、特に地方の非シネコン映画館は、かなりきつい。
新しいシネコンがすべていいとは言わないが、
やはり同じ料金を払って観るなら、大きなスクリーンできれいな映画館を選ぶのが当たり前だ。
そういう意味では、均一料金に守られ、経営努力を怠ってきた映画館が滅びるのも当然。
シネコン隆盛で、間違いなく日本の映画事情は改善されたはずだ。


ただ、地方のミニシアター、ということになると、少々事情も違うらしい。
本来ミニシアター系とされる作品がシネコンで上映されることで、
ミニシアターの経営が圧迫される、というのは少々複雑な事態となる。
東京ならミニシアター通いも比較的快適なケースも多いが、地方だとそうもいかない。
設備の悪いミニシアターより、シネコンで観られるなら…、
というのはファンとして当然の気持ちだが、
それによって公開作品の多様性がなくなるのでは、困ったものだ。


とまあ、いろいろ考えさせられるデータの元ネタは、
前述のコミュニティシネマ支援センター発行の、
「地域における映画上映状況調査〜映画上映活動年鑑2006」
2500円払ってこの本を買うのは少々気が進まないが、
リンク先には一応、概略が触れてあるので、一見の価値はあるかも。