DVDで「40歳の童貞男」

mike-cat2007-05-28



?遅くて何が悪い!?
「リトル・ミス・サンシャイン」スティーヴ・カレルの主演で、
全米スマッシュ・ヒットとなった、話題のコメディ。
05年秋に町山智浩氏のブログで知って以来、
楽しみにしていたのだが、大阪では岸和田あたりでの短期間公開。
気づいたら公開も終わり、DVDリリースも逃し…
というわけで、ようやく鑑賞にたどりつく。


電気量販店に勤めるアンディは40歳の独身オトコ。
レアもののフィギュアに囲まれた、わびしくも気ままな生活を送っていた。
ある日、職場の仲間との酒の席で、図らずも明らかになった、驚くべき事実―
アンディは40歳にして、いまだ童貞だった!
職場の仲間の悪乗りで、遅すぎる童貞喪失に乗り出したアンディだが…


何よりも、インパクトがすごい。
40歳・童貞。
何が悪い、と言われれば、別に悪くはないのだが、まあフツーじゃない。
(別にフツーじゃなければいけないワケではないが)
見るからに「ああ、あれじゃ無理はない」というヒトはともかく、
別にブサイクでもなければ、格別不潔ということでもないなら、
当然周囲の目は「ゲイ、それとも…」ということになる。
ちなみに童貞であることが発覚するまで、アンディがさらされる疑惑は「連続殺人鬼」。
つくづく、アメリカという国の保守性には笑ってしまう。


じゃ、なんで童貞かというと、チャンスはあったが、ドジで逃した、というだけ。
お盛んな10代や20代前半を逃してしまうと、多大な興味も失われてしまうのだろう。
縁がないまま歳を重ねてしまうと、そんなものかもしれない。
風俗とか何とか、ということになると、性格のキマジメさが災いする。
よって、素人童貞どころか、まるまる…ということになってしまった、という設定。
そんな主人公を演じるのが、顔はそこそこ整っているのけど、
決してハンサムとはいえないスティーヴ・カレル。それも胸毛モジャモジャ…
このキャラクターだけで、もうほとんど大成功、という作品なのだ。


だが、この作品、キャラクターだけでは終わらない。
「ディック&ジェーン 復讐は最高!」の脚本を手がけたジャド・アパトー(監督)と、カレルの共同脚本が織りなすストーリーは、
童貞喪失コメディとしてのおバカなノリを兼ね備えた、正統派の青春ロマンスとなっている。
童貞ネタで散々笑わせておきながら、最後はキュンとさせられてしまうのだ。


強烈なインパクトを誇るカレルの相手役は、
「マルコヴィッチの穴」「カポーティ」のキャスリーン・キーナー。
大人の女の魅力で、どこかちぐはぐなロマンスをきちっと引き締める。
さすが、としかいいようのない好演なのである。


アンディの悪友たちによる、「おまえゲイか?」「おまえこそゲイだろ?」談義など、
いわゆるいい歳こいたオトコたちのバカっぷりなんかも、情けなくも楽しい116分。
なるほど、前評判は伊達じゃないな、とひたすら感心。
スクリーンで見逃したことを、微妙に後悔したりもするのだった。