初夏の広島・宮島・厳島ちょっと紀行


実は、所用のため、広島へ来ていた。
前日は修学旅行生であふれる原爆ドーム平和記念公園を散策し、
島風お好み焼きや、小イワシの刺身・天ぷら、
そしてカワハギの薄造りなどなど瀬戸内の小魚などを堪能したので、この日は宮島へ。
もちろん、目的は日本三景にして世界遺産安芸の宮島・厳島神社だ。


広島駅からJRで約30分、宮島を臨む宮島口へ到着する。
ちょうど昼時ということで、名物のあなごめしをいただくことにする。
老舗の「うえの」の混雑を避け、隣の「もみじの木」へ。
あなごめしと、白焼きを注文する。

食す。………ふ〜ん。
格別まずくはないけど、ま、こんなもんかな、という感じ。
ぱさつきがやや強く、あなごめし・白焼きとも平凡な焼き魚、という印象だ。
江戸前の煮穴子なんかを食べ慣れていると、その食感の違いに愕然とする。
「うえの」の味は違うのか、それとも、こんなもの?
いまさら検証する気も失せ、店を後にする。


気を取り直し、ここからフェリーで宮島へ約10分。
何とJR連絡船と松大汽船が競合して運航している。
とりあえずJRで連絡キップを買ってしまったので、そのままJRのフェリーに乗船。
何でもこちらは、あの有名な、海に浮かぶ大鳥居に大接近というのがウリ。
ドキドキしつつ、その時を待つ。


驚いたのは、宮島の意外な大きさ。
神社だけの小さな島と思っていたが、全然違うことをいまさら知る。
標高535メートルの弥山がそびえる島に次第が次第に近づく。

だが、〝大接近〟の表現はちょっと微妙という感じ。
まあ、干潮ということも考えれば当たり前だが、〝大〟は言い過ぎ。
満潮時はどのくらい近づくか、いつの日か検証してもいいのだが…


桟橋に到着。船を下りると、そこにはうろつく鹿たちが。
続いて、鹿せんべいの屋台を発見。
すぐさま購入するが、200円とやや高め。奈良公園の倍である。
そして、すぐさま鹿に取り囲まれる。

うちのネコにもナメられきっている自分だが、ここでも動物にナメられきってる。
「おらおら、出すんだよ!」
後ろから前から、畑中葉子のようにどつかれ、シャツを引っ張られ、あっという間にすっからかん。
まあ、楽しいのでいいのだが、奈良と同じく鹿のゴロツキ化はすさまじい。
その後、「鹿にエサをやらない」の立て看板を何度か見かけたが、
そこらへん、地元の公式見解としてはどうなってるのか、ちょっと気にはなる。


で、いよいよ厳島神社だ。参道をてくてくと歩く。
人がどうも少ないが、どうやら干潮満潮の間とあって、いわゆる見ごろを外しているからか。
鳥居まで歩いていけるわけでもなし、境内が水に浮かぶわけでもなし。

ま、それはそれで、ユルい観光客としてはさほど気にするほどでもない。
ゆるゆると境内をめぐり、それなりの感動を味わう。やや罰当たり?


境内を抜けると、再び鹿の群れ。
ここにも鹿に差し上げる豆が売っている。
買う→取り囲まれる→どつかれる→奪われる→解放。
いつも通りのプロセスを終え、商店街を戻る。
五重塔千畳敷を冷やかしたくらいで、夏の盛りを思わせる暑さが身にこたえてくる。
ちょうど目に入った芝居茶寮「水羽」へ。
いわゆるかき氷である「すり氷」をいただく。

ミルク宇治金時の白玉付。たまらなく美味しい。
最近だと、甘味の店でもいいかげんな砕き氷を出す店が多いが、
ここはきちんとした氷をかいて出してくれる。丁寧な仕事が感じられるお味である。


汗も引いたので、ふたたび商店街を散策。
生涯見ることがないであろうほど、夥しい数の紅葉饅頭の店が立ち並ぶ。
焼きたてを出してくれるお店を2軒ほどのぞき、
まだ温かいクリームもみじと、こしあんのもみじをパクつく。
紅葉饅頭にさほど興味はないけど、さすがに焼きたては美味しい。

同じく名物である、世界最大のしゃもじ、
なんてのもあって、なかなか目を楽しませてくれる商店街ではある。


帰りのフェリーは松大汽船にて、心地よい潮風を浴びつつ、宮島口へ向かう。
広島駅には、途中まで海辺を走る広電でGO!
一時間前後はかかるが、原爆ドーム広島市民球場の横を通るなど、
なかなかに楽しいのんびり路面電車の旅を楽しんだのだった。