敷島シネポップで「スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい」

mike-cat2007-05-14



?ターゲットは1人――報酬100万ドル 殺るのは誰だ!?
100万ドルの標的をめぐって、
暗殺者とFBIが入り交じる、ノンストップのアクション・サスペンス。
出演は「悪魔の棲む家(2005年版)」ライアン・レイノルズ
「セレンディピティー」「ニューオーリンズ・トライアル」のジェレミー・ピヴェン、
「ペイチェック」「パール・ハーバー」ベン・アフレック
?Songs In A Minor?のR&Bシンガー、アリシア・キーズ
「アンタッチャブル」「オーシャンズ11」アンディ・ガルシア
「グッドフェローズ」「ハンニバル」レイ・リオッタ
監督・脚本は「NARK」ジョー・カーナハン


ラスヴェガスを本拠にするマフィア組織のボス、スパラッザを盗聴していた、
FBIの捜査官メスナー=レイノルズとカラザーズ=リオッタは、
司法取引の証言を控えた?エース?イズラエル=ピヴェンを狙い、
組織がスウェーデン人を雇ったとの情報を手に入れた。報酬は100万ドル。
一方、組織内でもイズラエルを狙って、腕利きの暗殺者たちが集まり始めた。
破壊の限りを尽くすネオナチに、中国マフィアを殲滅し、名を上げたジョージアとシャリス、
破壊屋(エストラゴ)の異名を持つ拷問屋アコスタに、変幻自在の殺し屋ラズロ・スート…
保釈金保証人や用心棒、FBIも入り交じり、タホ湖畔のホテルに滞在する?エース?を狙う。


なにしろにぎやかな映画である。
前述の通りのくせ者揃いの(微妙な)豪華キャストもにぎやかなら、
まるでマンガそのものの暗殺者や用心棒たちが総登場するキャラクター設定もにぎやか。
そして、戦争映画もびっくりというくらいの、途切れることのないドンパチに、
まずまずのツイストを効かせ、休むことなく状況が変わるストーリー展開と、
まあ、108分およそ退屈させることなく一気に駆け抜ける、なかなかの作品だ。


監督のカーナハンは、当初メガホンを取るはずだった「M:i:III」を降板(後任はJ・J・エイブラハムズ)したことでも有名。
パンフレットによれば、
コメディ、スプラッタ、シリアスで感情的なドラマをコラージュさせたかったとのことだが、
ムチャクチャといってもいいほど盛りだくさんの要素を108分でまとめ上げた。
およそスタイリッシュとは言い難いが、まるでガイ・リッチークエンティン・タランティーノ
小説でいえばエルモア・レナード戸梶圭太(ずいぶん格は違うが…)を思わせる感覚。
目を背けたくなるような残虐シーンの直後に、思わずニヤリとするようなユーモア、
かと思えば、ちょっとジンとくるような感動も織り交ぜてあって、やっぱりにぎやかなのである。


善人も悪人も、普通の人も、次々コロコロ…
「えっ、この人もう死ぬの?」なんて感じで、モラル完全無視の殺戮が続く中、
ひとり真っすぐな視線で、作品に一本の芯を入れるのが、ライアン・レイノルズ演じるメスナー。
ストーリーそのもののブレない軸として、一連の騒動に絶妙のオチをつける。
このバランス感覚のよさが、この作品のもうひとつのポイントなのかもしれない。


傑作という言葉をつかうには、あまりにも瑕疵は多い。
だが、その粗削りで泥臭いまでのパワーは、間違いなく?買い?の作品だ。
たぶん、あのマンガチックなネオナチ連中だけでもいなくなれば、
もっともっと評価されてもおかしくない、そんな魅力を持った作品でもある。
大きな期待は禁物だが、何の気なしに観てみたら、意外にはまるはずだ。