奈良・京都の藤めぐり@興福寺&春日大社&平等院


藤の季節がやってきた。
とはいえ、藤といえばGWということで、たいてい多忙だったり、
人混みがいやだったり、で毎年のようにチャンスを逃しつつけている。
しかし、ことしは一念発起。
ちょっと見ごろには早いと承知しつつも、奈良・京都の藤めぐりを画策する。


まずは最近ようやくPiTaPa(ピタパ)が使えるようになった近鉄で、奈良へ向かう。
近鉄奈良駅から、駅前商店街を抜け、興福寺猿沢池方面へ。
アメリハナミズキが咲いていて、思わず「一青窈」と何のひねりもない反応をしてしまう。
興福寺は特に行く予定はなかったのだが、塀越しに桜が見えたので、ちょっと寄り道。
しかし、南円堂に向かう階段から、いきなり素敵な光景に遭遇する。

藤の見物、といえば何となく藤棚を想像してしまうが、こういう自然な藤もいい。
偶然みつけたうれしさもあって、さっそく興奮のボルテージはグンと上がる。


南円堂にたどり着くと、そこには定番の藤棚がでん、とお出まし。

陽当たりがいいせいか、かなり開花状況は早い様子。
南円堂の赤とのコントラストもこれまた鮮やかで、思わず感嘆の声も。

ちょっと裏に回ると、八重咲きの桜なんかもあったりして、これまたうれしいアクシデントだ。


そうこうしてると、五重塔の前に鹿煎餅売り場と、たむろする鹿が登場。
やっぱり奈良にきたら、と鹿煎餅を買うと、当然のごとく鹿にカツアゲをくらう。
おじぎしながら襲ってくるヤツなんて、もう驚かない。
後ろからシャツを引っ張られるので、奥さんかと思ったら、噛みついて引っ張ってる鹿。
うちのネコもそうだが、どうやら動物にナメられやすい体質らしい。
そんな鹿たちの追跡を辛くも、振り切り、向かうは奈良の藤の名所、春日大社


汗ばむほどの陽気にヒイフウ言いながら、向かったのは、春日大社手前の飛火野。
とんでもとらべる奈良さんのサイトで知った、藤の木である。
春日山のすそ野に当たる、なかなか際どい丘を越え、たどり着くと、そこには野趣あふれる藤の木の光景が!

こちらもまだまだ見ごろは先だが、ピクニック半分で見に来た甲斐は十分あり。
息はやや上がり気味(運動不足)だが、気持ちは爽快そのものである。


再び春日大社参道に戻り、「藤の園」で有名な春日大社神苑へ。
こちらは、20品種200本という多彩な彩りが特長だとか。
入り口で「だいぶ早いですよ」と言われるが、めげるもんか…
神苑の万葉植物園内を、ズイズイと「藤の園」に向かう。
着いてなるほど、まだ早い。
GW後半あたりだろうか、満開の時期はさぞや…、という感じである。
とはいえ、2分から3分咲きでも、それなりには楽しめる。
「白甲比丹」に「口紅」「麝香藤」「黒龍」「八重黒龍」「白野田」…
こんなに品種があるのか、と感心するばかりである。

こちらは、100メートル先まで香るという「麝香」。
もっとも、やはりまだ早いのか、香りらしい香りはあまり漂わない。

手前・ピンクの「昭和紅」と、奥・紫の「長崎一歳」。

「藤の園」を抜けると、石楠花なんかも咲いていて、何だかお得な気分である。


続いては春日大社の本殿へ。
ここにおわすは、有名な「砂ずりの藤」。
樹齢は何と700年だとか。いやはや、とてつもない代物である。
開花状況はまだ全然、といっていいほど早いのだが、それでもいい感じ。

もっと見ごろになって房が伸びてくると、それはすさまじいらしい。
ただ、巫女さんが、かなりイッちゃってる藤の髪飾りをつけていて、やや羞恥プレイ気配も…
名物というものの周辺には、やはりいびつな光景もつきものである。


藤を象ったお守りをゲットし、ふたたび鹿煎餅を手に、JR奈良に向かうバス停へ。
奈良からはJRのみやこ路快速で、宇治に向かう。
単線とあって、快速にもかかわらず行き違いの待ち合わせがあるが、
所要時間は30分強と、なかなか悪くないアクセスだったりする。


JR宇治駅から、歩くこと10分。参道を抜け、平等院の正門へ。
すると、門の手前になかなか見応えたっぷりの藤棚が!

拝観料を払う前に見せてくれるとは、太っ腹というか、何というか…
平等院鳳凰堂で拝観は別料金という、何だかアレな設定からすれば、矛盾すら感じたりして。

そんなことはともかく、白の「麝香」も見事なら、

紫も見事なくらいの咲きっぷりで、早くも満足感はグッと上がる。
ちなみにここの「麝香」はプンプンと匂う。といっても、さとう珠緒じゃないよ。
いわゆるムスクの匂いに近い感じで、ずっと嗅いでいるとクラクラくるくらいの強烈さだ。


そんな香りに後ろ髪を引かれつつ、境内へ入ると、ありました。
とても有名な、平等院の藤棚。
房はだいたい50センチ強まで伸びているが、もちろん、見ごろはおそらくもすこし先。
開花状況も3、4分といったところだろうか。

それでも、やはり樹齢200年という名木である。見応えは十分。

鳳凰堂と一緒にパチリ、といくと、雰囲気はもう抜群。
10円玉のアレと一緒に、サツキやツツジなんかも楽しめて、やっぱり素晴らしい。


というわけで、どれも満開時の素晴らしさには及ばないのだろうが、大満足の藤めぐり。
中村藤吉平等院店で、抹茶うどんや葛切り、お茶などをいただいた後、
夕暮れを迎えようとする宇治川(ムシ多し…)を渡って、京阪宇治駅へ向かったのだった。