TOHOシネマズなんばで「ナイトミュージアム」

mike-cat2007-03-10



〝みんな みんな、動き出す!〟
全米大ヒットのベン・スティラー最新作。
今回は何と、先行上映までされてしまう、という、
ビデオスルーすら珍しくないスティラー作品としては破格の扱いだ。
もちろん、製作に「ホーム・アローン」「ハリー・ポッター」の、
クリス・コロンバスの名前があるだけに、油断はできないのだが…


NY在住のラリーは、仕事もろくすっぽ続かない、冴えない男。
別れた妻との間にできた息子ニックにも顔向けできない事ばかり。
ムダなプライドに見切りをつけ、ありついた仕事はアメリカ自然史博物館の夜警。
あやしげな先輩警備員たちとの引き継ぎもろくにしないまま、臨んだ最初の夜。
その、驚くべき出来事は、起こった−


ひとことでいうと、無難な映画といっていい。
スティラー演じる父親ラリーの成長物語ではあるが、基本はファミリー向け映画。
まあ、そのまんまクリス・コロンバスの世界といってもいい。
監督は「ピンク・パンサー」「ジャスト・マリッジ」ショーン・レヴィだが、
ターゲットをきっちり絞った作りで、いわゆるスティラーのバカ映画ファンには物足りない。


「ドッジボール」「ズーランダー」のオバカ映画を期待すると、失望するかもしれない。
「ミート・ザ・ペアレンツ」「メリーに首ったけ」あたりをグッと無難にした感じだろうか。
スティラーが誇る、当代一のいじめられキャラを生かしたギャグはもちろん面白いが、
はっちゃけ不足、というか、正直エッジのなさはどうしても気になってしまう。
戸田奈津子の字幕では張りめぐらされたギャグのどこまで訳されているか、
不安も相当残るが、わかる範囲でとりあえず毒があるのはブッシュがらみのネタぐらい。
まあ、スティラー映画という視点で考えれば、ベスト10に入るか入らないか、のレベルだ。


設定としては、「ジュマンジ」に近いが、まあ映画としての面白さも、だいたい同じくらいといっていいのだろうか。
ただ、このテの映画では〝予告以上の見せ場がない〟というのが、
よくありがちなパターンだが、それに関してはそこまで期待外れではない。
前述の通り、動き出す〝もの〟たちとスティラーのからみはなかなか悪くないし、
スティラー映画といえば、あの人、というあの俳優もノンクレジットで登場する。
ロビン・ウィリアムス(そういえば「ジュマンジ」もこの人だ)も、相変わらずのテンションで、映画を盛り上げる。


ディック・ヴァン・ダイクミッキー・ルーニー ビル・コッブス といった、
往年の名コメディアンたちの存在感もいい感じで効いており、これも見どころだろう。
「シン・シティ」では、新たな魅力を見せつけた、「スパイ・キッズ」のママさん、カーラ・グギーノもいい。
出番はさほど多くないが、ちょっとしたアクセントとして、作品に膨らみを持たせている。


褒め言葉としては多少微妙になるが、
ややファミリー向けのファンタジー/コメディと思って観れば、まずまずの佳作だと思う。
アニマトロニクスやCGの処理も、高いクオリティに感じられるし、観て損はないはずだ。
ただ、あくまで過度な期待は厳禁。
お暇があったら、程度の感じで、カジュアルに鑑賞に臨むのが一番だろう。