スコセッシは悲願達成、「バベル」は惨敗…

映画


いよいよ、待ちに待ったアカデミー賞発表。
とはいえ、菊地凛子をめぐる日本メディアのバカ騒ぎにはうんざり…
あれだけジェニファー・ハドソンが本命視されているのに、
まるで彼女の受賞の可能性も十分みたいに報道するのは果たしてどうなのか？
確信犯でやってるなら、それはそれで問題だが、
状況すら理解できていないのなら、あまりに程度が低すぎると思う。
そうそう、「硫黄島からの手紙」も然り、である。

そんなことはともかく祝！　マーティン・スコセッシである。
（キーワードにかからないので、もうスコシージとは書かない）
監督賞に、「ディパーテッド」の作品賞、脚色に編集の４部門。
これまで何度も屈辱を味わわされたアカデミーの舞台で、
巨匠スコセッシの苦労が、ようやく報われたというところか。
「レイジング・ブル」や、「グッドフェローズ」といった名作と比べ、
この「ディパーテッド」が上とは言い難いが、
最高傑作が受賞作にならないのは、映画も文学も一緒。
スコセッシのあの歓喜の表情を見てしまったら、もう何も言えなくなる。

「リトル・ミス・サンシャイン」の健闘もうれしい。
有力視されていた脚本賞だけでなく、アラン・アーキンの助演男優賞も獲得した。

助演女優賞は、「バベル」をまだ観ていなくても、当然の結果に思える。
「ドリームガールズ」でのジェニファー・ハドソンの存在感は、
もう文句なし、といっていいはずだ。

「善き人のためのソナタ」の外国語映画賞も、
記憶が新しいだけに、思わず頬がほころんでしまう報せだったと思う。

あとはフォレスト・ウィテカー（「ラストキング・オブ・スコットランド」）の主演男優賞も感慨深い。
「スモーク」、「クライング・ゲーム」の名優が、
ウガンダの〝食人大統領〟アミンに扮したという作品もとにかく楽しみだ。
そうそう、「不都合な真実」も長編ドキュメンタリー賞受賞。
授賞式にもアル・ゴアが出ていたようで、なかなかいい感じだった。


「バベル」の惨敗は、（菊地凛子をのぞいて）残念な限りだが、
それで、映画の価値が下がるわけでもない。
（映画配給会社の思惑は大きく外れただろうが…）
何はともあれ、公開が待ち遠しいことには間違いない。


で、受賞者リストは以下の通り

  • Best motion picture of the year（作品賞）

◎“The Departed”
　“Babel”
　“Letters from Iwo Jima”
　“Little Miss Sunshine”
　“The Queen”

  • Achievement in directing（監督賞）

◎“The Departed” Martin Scorsese
　“Babel” Alejandro González Iñárritu
　“Letters from Iwo Jima” Clint Eastwood
　“The Queen” Stephen Frears
　“United 93” Paul Greengrass

  • Performance by an actor in a leading role （主演男優賞）

◎Forest Whitaker in “The Last King of Scotland”
　Leonardo DiCaprio in “Blood Diamond”
　Ryan Gosling in “Half Nelson”
　Peter O’Toole in “Venus”
　Will Smith in “The Pursuit of Happyness”

◎Alan Arkin in “Little Miss Sunshine”
　Jackie Earle Haley in “Little Children”
　Djimon Hounsou in “Blood Diamond”
　Eddie Murphy in “Dreamgirls”
　Mark Wahlberg in “The Departed”

  • Performance by an actress in a leading role（主演女優賞）

◎Helen Mirren in “The Queen”
Penélope Cruz in “Volver”
Judi Dench in “Notes on a Scandal”
Meryl Streep in “The Devil Wears Prada”
Kate Winslet in “Little Children”

◎Jennifer Hudson in “Dreamgirls”
Adriana Barraza in “Babel”
Cate Blanchett in “Notes on a Scandal”
Abigail Breslin in “Little Miss Sunshine”
Rinko Kikuchi in “Babel”

  • Adapted screenplay（脚色賞）

◎“The Departed” Screenplay by William Monahan
　“Borat:　Cultural Learnings of America
　　　　　　　　 for Make Benefit Glorious Nation of Kazakhstan”
　　　　　　　　　　　　　　　　　Screenplay by Sacha Baron Cohen & Anthony Hines
　　　　　　　　　　　　　　　　 & Peter Baynham & Dan Mazer
　“Children of Men” Screenplay by Alfonso Cuarón & Timothy J. Sexton
　　　　　　　　　　　　　　　　 and David Arata and Mark Fergus & Hawk Ostby
　“Little Children” Screenplay by Todd Field & Tom Perrotta
　“Notes on a Scandal”Screenplay by Patrick Marber

◎“Little Miss Sunshine” Written by Michael Arndt
　“Babel” Written by Guillermo Arriaga
　“Letters from Iwo Jima” Screenplay by Iris Yamashita
　“Pan’s Labyrinth” Written by Guillermo del Toro
　“The Queen” Written by Peter Morgan

◎“The Lives of Others”
“After the Wedding”
“Days of Glory (Indigènes)”

“Pan’s Labyrinth”
“Water”

◎“An Inconvenient Truth”
　“Deliver Us from Evil”
　“Iraq in Fragments”
　“Jesus Camp”
　“My Country, My Country”

  • Best animated feature film of the year（長編アニメ賞）

◎“Happy Feet”
“Cars”
“Monster House”

  • Achievement in visual effects（視覚効果賞）

◎“Pirates of the Caribbean: Dead Man’s Chest”
　“Poseidon”
　“Superman Returns”