梅田OS劇場で「Gガール 破壊的な彼女」

mike-cat2007-02-15



〝ボクノ元カノは
 Great Glamourな
 史上最狂逆ギレ Gガール!!〟
パルプ・フィクション」「キル・ビル」「ガタカ」のユマ・サーマンが、
嫉妬深くてイカれた正義のヒロイン〝Gガール〟に扮した、SFコメディ。
Gガールの嫉妬の嵐に巻き込まれる彼氏に、
チャーリーズ・エンジェル」「キューティ・ブロンド」のルーク・ウィルソン
共演に「最終絶叫計画」「ロスト・イン・トランスレーション」のアンナ・ファリス
監督は「ゴーストバスターズ」「デーヴ」のアイヴァン・ライトマン


NYの設計会社に勤めるマット=ウィルソンは、ある日地下鉄で、
ひったくりに遭ったジェニー=サーマンを助け、それがきっかけで交際を始める。
やることなすこと、どこか一風変わった彼女。
実は、空から駆けつけ、悪を退治する正義の味方〝Gガール〟だったのだ。
しかし、以前から想いを寄せていたハンナ=ファリスへの未練を断ち切れないマット。
異常に嫉妬深いジェニーにもウンザリし、別れを切り出したのだったが−


この映画の魅力はもちろん、ユマ・サーマンに尽きるだろう。
黒い、セクシーなコスチュームに身を包んだスーパーヒロイン。
スーパーマンのパロディとしては、かなりバカバカしい設定だが、
ユマ・サーマンのゴージャスさは、そのバカバカしさにすらある種の格調をもたらす。
嫉妬深い彼女がもたらす、とんでもない騒動の数々。
Gガールの豪快に過ぎるセックス場面まで登場する。
並の美女が演じたら、安っぽくなってしまうところだが、
バカバカしくって、くだらないけど、決して陳腐にならないのだ。


そんな彼女にほとほと手を焼くマット役のルーク・ウィルソン
過去の出演作を見ても分かるように、強い女に振り回されるのはお手のもの。
ひどい目にあっているのを見ても、かわいそう感は皆無といっていい。
この作品ではそれなりに悪いヤツだったりもするので、むしろいい気味と笑い飛ばせる。
悪友ヴォーンと交わす「いかに彼女をオトすか」のマヌケな会話も、
まったく男ってやつは…的な、苦笑いを覚えつつ、笑ってしまうのだ。


アイヴァン・ライトマン作品というと、
設定は面白いのに、よくも悪くも無難というのが通り相場。
デイヴィッド・ドゥカブニー、ジュリアン・ムーア主演の「エヴォリューション」以来、
実に5年ぶりのメガホンとなるのも、そんな無難さが災いした部分は否定できないだろう。
しかしこの作品、ライトマンらしいまとまりのよさは健在だが、
近年の作品のように、ひねり皆無な大味ストーリー、からは脱却した。
次作に「ファンタスティック・フォー」の新作が控えるドン・ペインの脚本のせいだろうか、
「もし、元カノが嫉妬深いスーパーウーマンだったら…」の設定に、
もうちょっとだけスパイスを効かせ、〝くだらなさ〟にいい意味で磨きをかけたのだ。


もちろん、〝お行儀のいい〟ライトマンなので、
過激過ぎるギャグは期待する方がおかしいが、
それでも93分間退屈することなく、クスクスと笑わせ続けるクオリティはなかなか。
スーパーマンの設定をまるまる頂戴したプロットも何だか許せてしまうし、
何より喜々としておバカなヒロインを演じるユマ・サーマンを見るだけで楽しい。
ひとことでいうなら〝ウェルメイドなくだらなさ〟だろうか。
「安心して楽しめる」という作品に面白い作品はそう多くないが、
この作品に限っては、文字通り安心してそのバカバカしさに浸れるのだ。