MOVIX京都で「ラッキー・ナンバー7」

mike-cat2007-01-14



まるでパチンコ屋みたいな題名だが、実は違う。
ジョシュ・ハートネットブルース・ウィリス
モーガン・フリーマンベン・キングズレー
きら星のごとく豪華スターを散りばめた、
ゴージャスでスタイリッシュなクライムサスペンスだ。
原題は〝LUCKY NUMBER SLEVIN〟
7(SEVEN)ではなく、主人公の名前、スレヴンだったりする。
それでもまあ、観てみれば、
なるほどといえばなるほどの邦題かもしれない。


監督は「ギャングスター・ナンバー1」「ホワイト・ライズ」のポール・マグギガン。
脚本はこの作品で一躍注目を集めた、ジェイソン・スマイロヴィック。
ウリは、二転三転のストーリー展開、予想不能の凝ったプロット。
多少反則のきらいはあるけど、前評判に違わない、なかなかの佳作に仕上がっている。


物語は、次々と巻き起こる暗殺場面で幕を開ける。
そして、人けのない空港ロビー。
カンザスシティー・シャッフル〟について説く、車いすの男。
さらに、ニック・フィッシャーに間違われたツイてない男、スレヴンが、
巻き込まれたとんでもないトラブルの数々…
ギャングや警察を巻き込み、展開していく事件の行く末は−


オールスター・キャストの映画といえば、
キャストを揃えただけで満足し、凡作に終わることも多い。
この映画でも、先に挙げた人物以外に、
スタンリー・トゥッチ(「プラダを着た悪魔」)、ルーシー・リュー(「チャーリーズ・エンジェル」)、
ダニー・アイエロ(「レオン」「ジャック・ルビー」)と、
そうそうと並んだ名前を見るにつけ、不安はかなりあった。


しかし、この映画はなかなかやるのである。
確かに、フリーマン(「ミリオンダラー・ベイビー」)、キングズレー(「ガンジー」)による、
オスカー俳優のガチンコ演技合戦は正直、迫力は感じる一方で、
作品全体から考えると、やや重厚すぎて浮き上がった印象も強い。
ただ、豪華キャストの割にはまとまっているし、
キャストを無駄遣いしたり、キャストの重みにストーリーが引っ張られたりというのがない。
ウィリスがやや美味しいドコ取りの面はあるが、
ハートネットやフリーマン、キングズレーにいたるまで、
ストーリー重視のキャラクターを喜々として演じている印象は強い。


二転三転のプロット、についても、前述の通り、微妙な反則はある。
だが、その反則も一応帳消しにできる程度には、きちんと練られた脚本だ。
そのオチを知って、あとから映画を振り返ると、そこかしこにきちんとヒントが散りばめられている。
ミステリー上級者にはまあ、見え見えなんだろうが、
普通に観る分には十分なクオリティで、サスペンスフルに見せてくれる。
最高のエンタテインメント作品、というには、どこか物足りないが、
さほど期待せずに観る分には、「おっ、これはなかなか…」とうならせるだけのものはある。
好みの差はあるだろうが、観て損はない1本だろう。