マイベスト映画2006!
いよいよ年の瀬、1年を振り返る季節がやってきた。
まずは映画。
年間100本を常に目標にしているが、ことしは95本。
ここ3、4年はいずれも、
100本越えを逃し続けているのが、何とも悔しい。
まあ、それはともかく、ことし見た映画をザッと振り返る。
- 1月
・「ニュー・シネマ・パラダイス」デジタルリマスター版
・「チキン・リトル」
・「秘密のかけら」
・「プルーフ・オブ・ライフ」
・「スタンド・アップ」
・「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」
・「フライト・プラン」
1月は7本。「ニュー・シネマ・パラダイス」はまあ別格として、
印象的だったのはアトム・エゴヤンの「秘密のかけら」だろうか。
物語の謎そのものが解かれていっても、それでも迷宮にはまっていくような感覚が忘れ難い。
ミネソタの鉱山でのセクハラ訴訟を描いた「スタンド・アップ」も印象的な1本。
「フライト・プラン」もなかなか小気味のいいサスペンス・アクションの佳作だろうか。
- 2月
・「悪魔の棲む家」
・「ミュンヘン」
・「オリバー・ツイスト」
・「ジャーヘッド」
・「イントゥ・ザ・ブルー」
・「ホテル・ルワンダ」
・「タブロイド」
・「ウォーク・ザ・ライン/きみにつづく道」
・「アサルト13 要塞警察」
・「ナルニア国物語/第1章 ライオンと魔女」
2月は10本。さすがアカデミー賞のノミネート作品の公開時期とあって、傑作ぞろい。
スピルバーグ流の徹底したリアリズムが強烈な「ミュンヘン」、
ホアキン・フェニックスとリース・ウィザースプーンの熱演が印象的な「ウォーク・ザ・ライン」、
署名運動の結果、ようやく日本公開となった「ホテル・ルワンダ」などなど、
映画の醍醐味を十分味わえた一カ月だったかもしれない。
- 3月
・「クラッシュ」
・「シリアナ」
・「イーオン・フラックス」
・「エミリー・ローズ」
・「ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!」
・「ブロークバック・マウンテン」
・「白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々」
3月は7本。この月もアカデミー賞がらみの作品がめじろ押し。
ポール・ハギスの「クラッシュ」、アン・リーの「ブロークバック・マウンテン」、
そしてジョージ・クルーニーの熱演が光る「シリアナ」とどれも見応え十分。
待望の「ウォレスとグルミット」はひさしぶりに2度劇場に足を運んでしまった。
ナチスに対し反旗を翻した学生たちの悲劇を描いた「白バラの祈り」も忘れられない1本。
- 4月
・「ザ・コーポレーション」
・「プロデューサーズ」
・「ヒストリー・オブ・バイオレンス」
・「Vフォー・ヴェンディッタ」
・「メルキアデス・エストラーダの三度の埋葬」
4月は5本。よく覚えていないが、忙しかった時期だったかも。
しかし、ネイサン・レイン&マシュー・ブロデリックの「プロデューサーズ」は最高のミュージカル。
一般的な評価はともかく、個人的には「シカゴ」よりも好きかもしれない。
トミー・リー・ジョーンズ監督の「メルキアデス・エストラーダの三度の埋葬」もグッときた。
デービッド・クローネンバーグの「ヒストリー・オブ・バイオレンス」は、
思ったよりもまとまった感じの作品で、期待していた方向性とはちょっと違っていた。
- 5月
・「ロンゲスト・ヤード」
・「ブロークン・フラワーズ」
・「ピンクパンサー」
・「ナイロビの蜂」
・「グッドナイト&グッドラック」
・「ダ・ヴィンチ・コード」
・「ジャケット」
・「ポセイドン」
・「ぼくを葬る」
5月は9本。アダム・サンドラー版の名作リメイク「ロンゲスト・ヤード」で始まった一カ月。
ジャームッシュの「ブロークン・フラワーズ」に泣き笑いし、
「ピンク・パンサー」ではスティーヴ・マーティンのベタな笑いにはまり、
「グッドナイト&グッドラック」に思わず胸を熱くしてみたり、といろいろあったけど、
もう胸が詰まって何もいえなくなるような大傑作「ナイロビの蜂」でやはり決まり。
そうそう、フランソワ・オゾンの「ぼくを葬る」も、心に残る作品だった。
- 6月
・「トランスポーター2」
・「オーメン」
・「インサイド・マン」
・「嫌われ松子の一生」
・「プラハ!」
・「ステイ」
・「M:I:Ⅲ」
・「ウルトラヴァイオレット」
6月は8本。待望の続編「トランスポーター2」に大興奮し、
リメイク版「オーメン」、スパイク・リーの「インサイド・マン」もまずまず納得、という感じ。
「嫌われ松子の一生」では中谷美紀をずいぶん見直した。
ただ、総合的な評価では「これだ!」という決め手に欠ける作品が多かったかも。
- 7月
・「カーズ」
・「ローズ・イン・タイドランド」
・「サイレントヒル」
・「親密すぎる打ち明け話」
・「ゆれる」
・「パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト」
7月は6本。ピクサー製作の「カーズ」はさすがのクオリティで、思わずうなってしまった。
テリー・ギリアムの「ローズ・イン・タイドランド」は、ちょっと微妙な出来でがっかり。
「蛇イチゴ」の西川美和監督作「ゆれる」も、やや地味だが、見応えのある作品だった。
イベント映画「パイレーツ〜」は、このテの映画としてはよくできている方だったと思う。
- 8月
・「ディセント」
・「森のリトル・ギャング」
・「ユナイテッド93」
・「スーパーマン リターンズ」
8月は4本。この時期もいろいろと忙しくしているうちに、行く機会を逃した映画が数本。
「X−MEN」を捨てたブライアン・シンガー監督の「スーパーマン・リターンズ」は大興奮の傑作。
話題の「ディセント」は、まさかそんなことなるには、の驚愕の1本だった。
- 9月
・「カクタス・ジャック」
・「トランスアメリカ」
・「X−MEN:ファイナルディシジョン」
・「マイアミ・バイス」
・「2001年宇宙の旅」(リバイバル)
・「もしも昨日が選べたら」
・「イルマーレ」
9月は7本。あらためてスクリーンで観た「2001年宇宙の旅」は、感慨深かった。
キアヌ×サンドラのリユニオン「イルマーレ」は期待しすぎたせいか、ちょっと…
「もしも昨日が選べたら」はアダム・サンドラーの持ち味が十分発揮された佳作だと思う。
そして「トランスアメリカ」では性同一障害の男性を演じた女優フェリシティ・ハフマンの演技に感嘆。
- 10月
・「レディ・イン・ザ・ウォーター」
・「カポーティ」
・「ハード・キャンディ」
・「サムサッカー」
・「ワールド・トレード・センター」
・「ブラック・ダリア」
・「サンキュー・スモーキング」
・「16ブロック」
・「スネーク・フライト」
・「トリスタンとイゾルデ」
・「アガサ・クリスティーの奥さまは名探偵」
10月は10本。シャマラン最新作「レディ・イン・ザ・ウォーター」はやや肩透かしながら、
フィリップ・シーモア・ホフマン渾身の名演技に納得の「カポーティ」で口直し。
エルロイの原作をデ・パルマ流にうまく訳した感覚の「ブラック・ダリア」もなかなかの傑作だった。
タバコ問題と訴訟をうまく風刺したコメディ「サンキュー・スモーキング」も、欠かせない作品。
サミュエル・L・ジャクソンの「スネーク・フライト」にも、バカバカしさに思わず喝采を上げてしまう。
- 11月
・「父親たちの星条旗」
・「ナチョ・リブレ 覆面の神様」
・「2番目のキス」
・「マーダーボール」
・「セレブの種」
・「テキサス・チェーンソー ビギニング」
・「プラダを着た悪魔」
・「トゥモロー・ワールド」
・「キング 罪の王」
・「エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか?」
11月も10本。この月はやはり「マーダーボール」の迫力に尽きるといっていい。
もちろん、ドリュー・バリモア主演の恋愛コメディ「2番目のキス」はなかなかの佳作。
「プラダを着た悪魔」のメリル・ストリープもいい感じの悪乗りに、ひたすら笑ってしまった。
ガエル・ガルシア・ベルナルの「キング 罪の王」は、瑕疵はあるけど忘れられない作品だ。
- 12月
・「ホステル」
・「イカとクジラ」
・「アンノウン」
・「麦の穂をゆらす風」
・「007/カジノロワイヤル」
・「こま撮りえいが こまねこ」
・「上海の伯爵夫人」
・「ルナシー」
・「デート・ウィズ・ドリュー」
・「オープン・シーズン」
・「ヘンダーソン夫人の贈り物」
・「リトル・ミス・サンシャイン」
12月は12本。前半の東京滞在でたっぷりと見だめできた。
憧れのドリュー・バリモアとのデートに挑んだドキュメンタリー、
「デート・ウィズ・ドリュー」が個人的にはすごく好き。土流親方のいいオンナぶりにうっとりだ。
「イカとクジラ」や「ヘンダーソン夫人の贈り物」「リトル・ミス・サンシャイン」など、
小品に傑作、佳作がずらりと並んだ印象が強い。
そうそう、カンヌのパルム・ドール「麦の穂を揺らす風」にはかなり打ちのめされた。
「007/カジノロワイヤル」も、ダニエル・クレイグの意外なよさにびっくりした。
しかし、涙が止まらなかったといえば、映画版の「こまねこ」。何だか泣いてしまったのだった。
そんな1年だったのだが、全体的にはやや低調だったのだろうか。
いい作品も多かったが、ものすごく強烈な印象を残す作品はそう多くなかったかも。
もちろん、醍醐味を味わわせてくれる映画はたくさんあったのだが、
こころを揺さぶられ、グラグラになってしまうくらいの作品は「ナイロビの蜂」だけだろうか。
もちろん、そんな映画は年に1本あれば上出来ではあるのだが…
ということで、ことしのマイベスト10はこんな感じ。
①「ナイロビの蜂」
②「プロデューサーズ」
③「ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!」
④「マーダーボール」
⑤「ブロークバック・マウンテン」
⑥「ミュンヘン」
⑦「リトル・ミス・サンシャイン」
⑧「トランスアメリカ」
⑨「カポーティ」
⑩「スネーク・フライト」
⑩「クラッシュ」
⑩「こま撮りえいが こまねこ」
⑩「デート・ウィズ・ドリュー」
下半期にこれといった作品がなかったため、「ナイロビの蜂」を始め、ベスト3は上半期と同じ。
7月以降でいうと「マーダーボール」がベスト、ということになる。
上半期4、5位の「ブロークバック・マウンテン」「ミュンヘン」が5、6位。
つい最近観たばかりの「リトル・ミス・サンシャイン」が7位。
ストーリーと出演陣のマッチングの妙と、映像センスのよさもあってこの順位にしてしまった。
「トランスアメリカ」も、小品だが、フェリシティ・ハフマンの演技に敬意を表して8位。
「カポーティ」はフィリップ・シーモア・ホフマンの演技にしびれたが、あまりに暗い内容なのでこの順位。
10位に4本も並んでしまったが、これはどうしてもベスト10から外せない作品ばかり。
「スネーク・フライト」はことしのバカ映画大賞だし、「デート・ウィズ・ドリュー」の味わいも捨てがたい。
「こまねこ」はあれだけ泣きまくってしまったし、「クラッシュ」だって… ということで13本も選んでしまった。
もちろん、ほかにもいい映画はたくさんあったが、まあ90点以上と思うとこれくらいだろうか。
見逃した映画や、「硫黄島からの手紙」など、持ち越しの映画もある。
もっともっともっと、映画を観たいな、というのが、やはり率直な気持ちだ。
TOHOシネマズなんばもできたし、来年はなんばパークス二期工事で、
さらに近所のスクリーン数も増えるという、うれしいニュースもある。
(もっと単館系が増えてくれた方が、よりベターではあるのだけど)
来年こそ100本オーバーを目指して頑張りたいな、と。
まずは年明けの「あるいは裏切りという名の犬」「ダーウィンの悪夢」
(どちらも東京では公開中だが…)に期待して、新しい年を迎えたい。