千日前OSスバル座で「2001年宇宙の旅」

mike-cat2006-09-22



TOHOシネマズなんばのオープンで、一気に映画館事情が改善された難波だが、
その一方で、こちらの劇場はこの週末をもって閉鎖ということになってしまった。
で、〝さよなら OS千日前スバル座〟と題して、
今日から3日間「2001年宇宙の旅」「タイタニック」「風と共に去りぬ」のリバイバル
映画館の大スクリーンで観るのなら、「2001年〜」は逃せない、ということで観に行く。


劇場には、過去の上映作品の一覧がチラシなどとともに展示されていた。
1975年4月、アラン・ドロンの「愛人関係」の封切りとともにオープン。
その後は「エマニュエル夫人」や「レイダーズ」などなど、洋画の名作を上映してきた。
近年は邦画の封切館となっていたので、ほとんど縁がなかったが、
今回あらためて行ってみると、スタジアムのように階段状になったシートと、
湾曲したスクリーンが、昔ながらの大劇場の雰囲気を感じさせてくれる。


もともと劇場そのものがちょっと入りづらい構造だし、
シートんの座り心地も正直いまひとつ、ちょっと非常口ランプが目につく点や、
ややピントの甘い映写など、問題点を挙げていけばいくつも上がるような映画館だ。
最新の設備と清潔さでは、とうていシネコンにかなうわけがないも確かだろう。
やはり映画館が減ること自体は、非常に残念としかいいようがない。
大阪にはまだまだ圧倒的に少ないミニシアター系(スクリーンも客席も大きいが…)
の映画館として路線を変えていくとかで、残って欲しかったな、とも思う。
(もちろん、東京と違い、大阪では採算が取れないのだろうけど…)


そんな想いに駆られながら、いざ、映画に臨む。
以前ビデオで観たことはあるけど、スクリーンで観るのは初めて。
家のテレビで映画を観ること自体苦手なこともあって、
だいぶ眠かった、というのが一番の感想というダメ観客であったりもする。


だが、今回、きちんとスクリーンで観て、驚いてしまった。
本当にいまさらながら、すごい映画だ。
あまにも有名なシュトラウスツァラトゥストラはかく語りき」や
「美しき青きドナウ」の調べに乗って、描き出される映像には圧倒されっぱなし。
確かに特殊技術や、登場人物の衣装、機械などには時代を感じるが、
豊かなイマジネーションとアイデアがもたらすその映像体験は、
製作された1968年から30年近くを経て、
物語の舞台となった2001年を過ぎても、まったく色あせることがない。


謎の物体〝モノリス〟をめぐる、人類の夜明け前、そして月世界での発見、木星探査…
「神の正体」との接触を思わせるそのストーリーは、やはり難解そのものだ。
帰宅して、町山智浩の「映画の見方がわかる本―『2001年宇宙の旅』から『未知との遭遇』まで (映画秘宝COLLECTION)」にある、解説を貪り読む。
「神の否定」でもあり、モノリスとの遭遇という通過儀礼の末、「進化する人類」を描いた、
という説明に、そうか、そうなのか、と後出しジャンケンのように納得しまくり、
映画の〝マジック〟を残すため、スタンリー・キューブリックが、
あえてナレーションや重要なシーンをカットしたというエピソードを再読し、苦笑いする。


そんな部分も含めて、やはりこの映画はすごいな、とあらためて感心する。
と同時に、やはりスクリーンで観てこそ、その真価は発揮されるということも再確認。
以前も福岡の映画館閉鎖で、「アラビアのロレンス」を観たときも感じたが、
もっともっと過去の名作をスクリーンで上映して欲しいな、と強く思ったのだった。
(もっとも、最近はシネコンでたまに上映していることもあるのだけれど)