ゆっくり楽しむ、平日の海遊館


昨夏以来、約1年ぶりの海遊館に出かける。
http://www.kaiyukan.com/index.html


前回はいろいろ事情があって、お盆のさなかに、
見渡す限りの人の頭の間から、魚たちをのぞいたが、
今回は平日昼間を狙って、涼みがてら、というところだ。


地下鉄中央線「天保山」で下車、
いまいち盛り上がりのない商店街を抜け、ハーバービレッジへ。
観覧車とマーケットプレイスを横目に、潮風を感じつつ、海遊館へ向かう。
さすが平日。前回は人まみれだったエントランスには、ほとんど人気なし。
頬をほころばせつつ、館内へと突入する、というほど勢いはないんだが。


まずは「日本の森」ゾーンだ。
ここの目玉はカワウソちゃんたち。
なぜか落ち着きのないカワウソが、岩場でたむろしている。
しばらくして、飼育員のおネエさんが登場し、理由が判明する。
そう、お食事タイムが間近だったのだ。

みなさん、うちのネコ同様に2本足で立って〝お頂戴〟。
レッサーパンダの芸当には及ばないが、やっぱりかわいくてニンマリしてしまう。


続いて「アリューシャン列島」ゾーンへ。
ここにおわすはもちろん、ラッコちゃんたち。
もちろんかわいいんだが、初めて見たときの衝撃は、いまも健在だ。
とにかく「でかい」のである。
イメージ的には40、50センチの生き物のはずが、優に1メートル超。
これ、海に漂流しているときに寄ってこられたら、鮫ほどじゃないが、かなり怖いはずだ。
外国人のお客さんも〝Oh,huge!〟とか言ってる。万国共通、らしい。


その上、この人たちはいつもだらだらとしておられるのだ。
あの、貝を石で叩き割るお馴染みのポーズはいまだ見たことがない。
やたらと背中とかを掻いているやつがいるかと思えば、
まるで死んだように漂っているだけのやつも…

おかげで、きょうは肉球までじっくりと観察することができてしまった。


お次はゴマフアザラシとアシカが泳ぎまくる「モンタレー湾」へ。
こちらも芸をしてくれる時間帯があるのだが、きょうはだらだらモード。

写真は水槽の隅のトコで立ち泳ぎしてるやつと、その手前の縁に乗っかってるやつ。
まあ、とにかく脱力しまくった、まるでネコみたいな人たちだ。


パナマ湾」「エクアドル熱帯雨林」でナマケモノなどなどを眺めつつ、
次の目玉エリアでもある、「南極大陸」ゾーンへと向かう。
こちらはオウサマペンギンとジェンツーペンギンのみなさん。
前回来たときは、まだ産毛が生え替わっていない子どもペンギンがかわいかったっけ…
この水槽、天井からかき氷というか、人工雪が降ってくる構造になっていて、
オウサマペンギンはたいていこのかき氷の下で、ヌボーッと突っ立っている。

ジェンツーペンギンがよちよちと歩いてみたりして愛敬を振りまく一方で、
このオウサマペンギンの何もしないぶりというのは、
際立って間抜けに映るのだが、それがまた、たまらなかったりもするのだ。


続いては「タスマン海」のカマイルカ
グレート・バリア・リーフ」で珊瑚礁を眺めると、いよいよメインの「太平洋」水槽が登場する。
この水族館のウリでもあるジンベイザメが泳ぐ、フロアぶち抜きの大水槽だ。
深さ9メートル、最大長34メートルの大水槽を、
5メートル超の「游ちゃん」が優雅に泳ぐ。
イトマキエイやマグロ、クエなどなど、
さまざまな大型魚とともに、その迫力は何度見てもすごい。

コバンザメを始めとする、ジンベイザメの〝おつきの魚〟たちもすごい数。
横でこどもが父親に「何であんなについて回るの?」と訊いてる。
「安全だし、おこぼれもあるからね」とのもっともな説明。
さすがに「パパも会社では偉い人に…」とは続かなかった。当たり前か…


そんな感じで水槽に見とれつつ、お目当ての「お食事タイム」を待つ。
午後3時の時報とともに、
回転するひしゃくでエサが撒かれると、ジンベイザメの巨体が水面へ。

直径1メートルはありそうな大口を開け、
まるで鯉のように、パクパクとエサを吸い込んでいく。
ただ、何せ食べてるのがプランクトンか何かだから、こちらは迫力というよりむしろ愛敬。
えらからすり抜けてくる、大量のエサを見ていると、
何だかムダの多い生き物だな、とついつい笑ってしまうのだ。


ここからは大水槽の周囲をぐるぐる回りつつ、ほかの水槽を眺めるスタイル。
水深の深いエリアに生くにつれ、エイとか小型のサメなんかがよく見えるようになる。
「瀬戸内海」のいかにも食用っぽい魚たちのお次は「ケルプの森」。
北カリフォルニア周辺の、大型海藻類の漂う海、ということだ。
中に網を張った水槽の中をぐるぐると回るのは、マンボウちゃん。

何でも、この生き物、網を張っていないとガラスの壁にぶつかってすぐに死んでしまうらしい。
そういえば昨年、高知で食べたような気がするが、お味はまあ…だったりする。
以前、大相撲の高砂部屋のサイトで、
マンボウちゃんこ」のレシピを見たときは憧れたもんだが…


ひときわ輝く魚たちでひしめくのが「チリの岩礁地帯」で回遊するイワシたち。

イワシ好き(もちろん食べる方)としては、思わずよだれのこぼれる水槽だ。
イワシの全開となった口に感心しつつ、きらめく魚の姿に酔いしれる。
最近、漁獲高が減って、大羽は1匹1000円だとかいうニュースも聞いた。
老人になる頃には、もしかすると高級魚になってしまっているのかも…


「クック海峡」の水槽では、
アカウミガメ、アオウミガメ、キウミガメ…と、早口言葉。
ちなみに黄色はいないので、念のため。
針が100本もついていない、ハリセンボンの仲間がなかなかキュートだ。


そして深海らしく真っ暗な「日本海溝」にはタカアシガニが鎮座する。

ただ、カニと聞くと、さまざまな料理が思い浮かぶが、ここのカニは「どうも…」なのだ。
見た目がどうにも、蜘蛛っぽい。
あの仲間の足をゆでて食べると思うと、背筋を冷たいものが走る。
エビ・カニはフライ程度、の消極的甲殻類ファンとしては、迸る情熱とはほど遠い状態なのだ。


それでも、最後にもう一度、太平洋水槽の底を眺めると、そこにはクエの姿。
博多のアラ鍋を思い出し、ふたたび「食べたい」モードに戻り、クラゲ・ゾーンへ降りていく。
「ふあふあクラゲ館」だそうだ。なんだ、その〝ふあふあ〟って。
しかし、最近はヒーリング・ブームの一端で、
クラゲ水槽の前で寝泊まりする女性限定ツアーとかもあるらしい。
クラゲと聞くと、どうしても海水浴や遠泳の時の〝刺すやつ〟のイメージも強いんだが…


最後は巨大なお土産コーナーで、海遊館ツアーは終了。
ここ数年、ちょいと集めている地域限定キティの、
海遊館」、「水族館」両バージョンを思わず購入してみる。
ジンベイザメとクラゲに載ったキティちゃん、
まあとんでもないやつばかりのご当地キティの中ではまあまあおとなしめ、か。
ちなみに、ご興味ある方はこちらを↓。なかなか見応えあり、の1冊だ。

スペシャル版 ハローキティBOX ご当地キティ 完全カタログ

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というわけで、しめて2時間強の海遊館ツアー。
食欲にやや偏向気味にはなったけど、楽しい涼みのひとときとなった。