道頓堀東映パラスで「トランスポーター2」

mike-cat2006-06-05



ルール1.契約は厳守する
ルール2.依頼人の名前は聞かない
ルール3.依頼品は決して開けない
どんな依頼品も無事に送り届ける、
プロの運び屋フランク・マーティンを描いたシリーズ第2弾。
南仏コート・ダジュールから、フロリダはマイアミに舞台を移し、
降りそそぐ陽光の下を、漆黒のアウディA8で爆走する。


プロのトランスポーター<運び屋>、フランク=ジェイソン・ステイサムの現在の仕事は、
裕福なビリングス家の6歳の息子、ジャックの送り迎え。
〝なぞなぞ〟に講じながら、信頼関係を築くジャックに、
夫との不仲に悩む母・オードリー=アンバー・ヴァレッタも密かにこころを寄せるようになる。
だがある日、正体不明の女殺し屋が、ジャックを誘拐する。その目的は−
 ルール4.守れない約束はしない
「必ず助け出す」とのジャックとの約束を守るため、フランクはひとり危険に踏み出していく。


映画秘宝」いうところの〝中学生男子〟テイストを詰め込んだ前作に続き、
リュック・ベッソン製作・脚本による、イカしたバカ映画ぶりは健在だ。
常に黒いスーツで固めた渋面のプロフェッショナル、
フランクのキャラクターを中核にすえ、軽妙なウィットを交えながら、
スピード感と重量感を兼ね備えた切れのいいアクションを展開する。
そして最大の魅力でもある、豪快なカーアクション。
前作に続きメガホンを握ったルイ・レテリエも、その味わいを最大に引き出している。


もちろん、ご承知の通り、ストーリー、アクションは荒唐無稽そのものだ。
相当〝ありえない〟クライマックスを始め、かなり〝やり過ぎ〟感は強い。
このテのお好きじゃない人からは「こんなのくだらない」と、一刀両断されてしまうだろう。
だが、その荒唐無稽も含めた、確立されたスタイルは、やっぱり最高にファンタスティックだ。
そりゃ何度か失笑は漏らしたけど、それはそれでまた味わいかな、と。


ジェイソン・ステイサムは相変わらずのカッコよさだ。
男くさく、ハゲかっこいい独特の存在感で、当たり役のフランクを最大限に輝かせる。
だが、ステイサムだけでなく、ほかのキャストもなかなか魅力的だ。
悪役の親玉ジャンニ=アレッサンドロ・ガスマンはいまひとつだが、
グロックをフルオートでぶっ放すイカれた女殺し屋ローラを演じる、
DKNYやヴェルサーチ・スポーツなどの元モデル、ケイト・ノタがなかなかいい。
ちょうど予告でやってた「ウルトラ・ヴァイオレット」のミラ・ジョヴォビッチまではいかないが、
なかなかにクールな感じで、いかにも、な女殺し屋を演じている。


「最期の恋のはじめ方」も記憶に新しいアンバー・ヴァレッタも印象的だ。
序盤で見せるアンニュイな人妻の魅力と、子供を救うために力強く立ち上がる姿。
どちらも、単なるアクション映画の添え物には終わらない魅力を醸し出している。
そして、お懐かしや、のマシュー・モディーンも、いけ好かない夫役で登場する。
「ビジョン・クエスト」や「ウインズ」の頃の爽やかさはどこへ、という感じで、これもまた一興だ。
前作に続き、フランソワ・ベルレアン演じるタルコーニ警部が登場するのもうれしい。
つくづく、このシリーズならではの味を、うまい具合に踏襲していると思う。


というわけで、あっという間の88分間。
お好きなヒトにはたまらない、エンタテインメント性にあふれた快作だ。
このスケールを保ちつつ、シリーズを続けてくれれば、と切に願うのだった。