〝青い〟バラに思わずうむむ… のばらフェスタ


「世界バラ会議2006」というのが、大阪で開催されたのだ。
ついでに「ばらフェスタ」というのが、鶴見緑地で開催、と聞き、いそいそ出かける。
長堀鶴見緑地線に揺られ、「鶴見緑地」へ。


地下鉄を降りると、周囲の平均年齢が異常に高いことに気付く。
平たく言って、爺さん婆さんだらけだったりする。40歳以下はたぶん1割もいない。
何だか自分まで年寄りになってしまったような気分で、会場へ向かう。
会場に入ると、もうそこはじじばば天国。
あふれんばかりのバラに、あふれんばかりのじじばば…
というか、むしろじじばばの間からバラを望む、というが正解かもしれない。


まあ、それでも気を取り直し、展示に集中する。
するといきなり目に入る、色鮮やかな青いバラを活けた大きな花瓶。
そして横に並ぶ、桂由美のウエディングドレス・コレクション。
「えっ、何で桂由美? 相変わらずドレスの趣味悪いし…」
なんて思って見ていると、置いてあるボードに「プリザーブド・フラワーとは〜」の表示。
何てことはない、これは単なる(平たく言うと)染色したバラだったりする。
道理で色鮮やかだし、やけにすぐにお目にかかれると思ったら、こんなオチだった。


どうやら、青いバラの展示はまた別のスペースらしい。
気を取り直し、懸崖のバラ展示に目を移す。

小さなバラが散りばめられた棚状のものや、
刈り込まれた松などを思わせる懸崖はなかなか見事。
「ほお…」と感嘆の声を挙げつつ、次なる展示に臨む。


お次は「菊人形」ならぬ「薔薇人形」。
これがまたとんでもない人だかり。
ひらかたパークのかつての名物「菊人形」が失われた今、
大阪人のこころの琴線にビンビンと触れてしまうようだ。

ふたりの薔薇人形の横には藤棚なんかも飾られてて、なかなか面白いんだが、
そこはそれ、菊人形に思い入れのある関西人と違うので、感慨はさほどなかったりもする。


そしてお次は、花瓶に挿された数多くの品種のバラたち…
どうも枯れているやつが多くって、
ちょっと主催者サイドの意気込みに疑問も感じたりするのだが、
ばらの品種の豊富さには、ひたすら感心してしまう。
こちらは鮮やかな赤が印象的な「ヴィンテージレッド」。

「ショコラ」は、色だけでなく花びらの感じもなかなか味わい深い。

名前通り、ケーキみたいな「ストロベリーミルフィーユ」

こちらの「ローズオールド」もピンクの感じがとてもいい。

「レッドインテューション」は、霜降りがナイス♪

そんなこんなで多くのバラに圧倒された後、ようやく「青いバラ」に挑む。
あのサントリーが開発したと聞いて、まずは驚く。
さらに遺伝子操作で、パンジーの青を取り入れた、と聞き、もいちどびっくり。
これまでのいわゆる〝掛け合わせ〟では不可能だったのは知っていた。
それだけに期待も大きかったんだが、
遺伝子操作、と聞くと有り難みはだいぶ薄れるな、というのが正直なところ。
伝統的な挑戦とはだいぶ違う気がして、「別物」の感も強い。


その上、なのだ。
青いバラ」を見に行くために別室に行くと、
なぜか大量の生け花を強制的に延々と見せられる。
嫌いじゃないけど、強制的に見せられるのは、あまりうれしくない。
不満を覚えつつ、さらに進むと、衝撃的な表示が待っていた。

どうも、特許の関係らしいが、何だか納得がいかない。
モナリザじゃあるまいし、写真撮ってどう悪用するのか、いまいち想像がつかない。
法律と同じだけど、世の中、悪意のある人間を基準にすべてが決まるのだな、と、
何だかイヤな気分を味わいつつ、別室の奥の奥の、そのまた奥に進む。


そして、やっとたどり着いた「青いバラ」の前でまた愕然とする。
青くない。これはまごうことなき〝薄紫〟だ。
ちなみにこちらは掲示されてた写真を接写したもの。

たぶん、技術的にはこれでも「すごいこと」なのだろうが、やっぱり青じゃない。
ヘタに最初、プリザーブドの青を見ているだけに、
その〝薄紫〟っぷりは、このイベントそのものへの不満にも結びつく。
会場を後にする誰もが浮かべる、微妙な笑み。
それは間違いなく「青じゃないよ」という、複雑な感情の現れだったに違いない。


とはいえ、まあこれだけのバラが一度に見られる機会はなかなか貴重。
文句を言いつつも、足どりはけっこう軽めで会場を出る。
その勢いもそのままに、隣で開催されてた植木市で、
ベランダに植えるバジルやワイルドストロベリーなどを買ってみる。
ミントも欲しかったんだが、こちらは見つからず…
駅へと向かう道すがら、杜若も発見し、心和ませてみたりもする。

そして再び、平均年齢の高い長堀鶴見緑地線へと向かったのだった。