ほぼ満額回答のオスカー・ナイト


というわけで、オスカー・ナイトだ。
といったって、日本時間では真っ昼間だし、
WOWOWを解約して以来、生中継からは縁遠いわたし…
というわけで、公式サイトのリロードを繰り返すという地道な作業で速報を手にする。
途中「シリアナ」を観に行き、帰ってくると、結果が出そろっていた、という顚末だ。


結果、観てかなり驚いたのだ。例年、このアカデミー賞というヤツは、
こちらの希望というのが全然通らない(ま、当たり前なのだが)のが常だったりするのだが、
今回はかなりの確率で希望通りの結果、となったのだ。
http://d.hatena.ne.jp/mike-cat/20060201#p1
まあ、ほぼ全額回答といっていい。

  • Best Animated Feature Film of the Year

"WALLACE & GROMIT IN THE CURSE OF THE WERE-RABBIT",Nick Park and Steve Box
別に宮崎駿が嫌いなワケじゃないし、「ウォレスとグルミット」の最新作はまだ観てないのだから、
どうこういっても仕方ないが、それでも「ハウル」でオスカーはないだろ、という感じ。
予告観るだけでもワクワクしてしまう、「ウォレス〜」の新作なんだから、やっぱり!でしょ。

  • Performance by an Actor in a Supporting Role

George Clooney,"SYRIANA"
これは実際に観たわけだが、まあジョージ・クルーニーならいいか、という感じ。
確かに希望としては「ブロークバック・マウンテン」のジェイク・ギレンホールか、
「クラッシュ」のマット・ディロンだったのだが、作品を観れば納得もできる。
まあ、マット・ディロンが次に候補になるのはいつの日か、と考えると、
あの永遠のニイちゃんに差し上げるのも悪くなかった気がしてならないのも確かなんだが…

  • Performance by an Actress in a Supporting Role

Rachel Weisz,"THE CONSTANT GARDENER"
これはまさに希望通り♪
ハムナプトラ」で一躍スターダムに駆け上がったレイチェル・ワイズ
「魅せられて」の頃から注目していた甲斐があったというものだ。
ちなみに受賞作は、ジョン・ルカレ原作によるサスペンスで、邦題は「ナイロビの蜂」だそうだ。

  • Performance by an Actor in a Leading Role

Philip Seymour Hoffman,"CAPOTE"
これこれ、僕にとって何よりも大事だったのがこれといっていい。
フィリップ・シーモア・ホフマン。最初にちょっと印象に残ったのは「ツイスター」だけど、
ブギーナイツ」「ハピネス」での変態っぽいノリは、もう強烈そのものだった。
そこからは「ビッグ・リボウスキ」「マグノリア」「レッド・ドラゴン」…
どの映画に出てきても、映画を壊すことなく、強烈な存在感を示している、当代一の怪優だ。
これで中途半端にブレイクしすぎて、一時期のハーヴェイ・カイテルみたいにならないで欲しいが、
まあ、このヒトに限っては大丈夫だろうな、と勝手に信頼を寄せてみる。

  • Performance by an Actress in a Leading Role

Reese Witherspoon,"WALK THE LINE"
これもまた、うれしいリース・ウィザースプーンの受賞。
新作のギャラは、ジュリア・ロバーツを越えてついに女優ナンバー1になったそうで、
ますます夫のライアン・フィリップ(発音はフィリッピ、と聞こえるのだが…)との差が開いてしまい、
今後にちょっと不穏なムードを残しそうな気がしてならないが、まずはうれしい限り。
キューティ・ブロンド」ノリのコメディエンヌぶりもいいが、
この作品で演技の幅の広さもアピールしちゃって、すっかり大女優の貫録ですな。

  • Adapted Screenplay

"BROKEBACK MOUNTAIN",Screenplay by Larry McMurtry & Diana Ossana
こちらは原作を読んだだけなのだが、
あの行間にやたらと意味が込められた原作を、どう映像化するのか、けっこう難しそう。
ゲイ問題ばかりが取り上げられているが、
アニー・プルー一流の自然描写の方にむしろ興味があるかな、という感じだ。

  • Original Screenplay

"CRASH",Screenplay by Paul Haggis & Bobby Moresco; Story by Paul Haggis
こちらは作品賞にて。

  • Achievement in Directing

"BROKEBACK MOUNTAIN",Ang Lee
大本命だった作品賞では敗れてしまったわけだが、やっぱりゲイ問題の影響なんだろうか。
今回は社会派作品が多かった、というのはよくいわれるのだが、
この「ブロークバック・マウンテン」に作品賞挙げちゃうと、
ゲイ・カルチャーに対する免罪符を与えた、
みたいに取るキリスト教保守派との軋轢を嫌がった、ということになるのだろうか…
まあ、監督賞挙げるから許してね、ということだと残念だが、
アン・リーの手腕ならもらっても何もおかしくないので、まずは納得ということで。

  • Best Motion Picture of the Year

"CRASH",Paul Haggis and Cathy Schulman
プレゼンターのジャック・ニコルソンもびっくり、という大番狂わせだったわけだが、
まあ、クオリティとしては十分作品賞に値するかな、という感じだろうか。
「クラッシュ」が人種問題、「ブロークバック・マウンテン」がゲイ問題、
ミュンヘン」が中東和平とテロリズム、「グッドナイト&グッドラック」が赤狩りとジャーナリズム、
カポーティ」もある意味ジャーナリズムに関する社会派作品ばかりが並んだ。
その中で、「ブロークバック〜」が前述の理由で、
ミュンヘン」はテロリストだけでなく、ユダヤ勢力にまで批判の矢を向けた、という理由で、
ちょっと難しさもあったのだが、その点「クラッシュ」は、人種問題を大上段に構えて論ずるのでなく、
誰でも抱える矛盾や葛藤、理不尽という視点で描いた分、政治的な部分の面倒がないのだろう。
じゃあ、ほかの2作品はどうなんだ、といわれると、観てないのでわからないのだが、
つくづく、早く公開してくれよ、という思いを新たにして、この点はお茶を濁す


まあ、何はともあれ、「ブロークバック〜」の一人勝ちじゃなくてよかった。
できれば、脚色、脚本部門がほかに散ればもっとよかったのにな、と思いつつ、
受賞者リストをほれぼれと眺めるのだった。