いよいよ2006年を迎えてしまった。

mike-cat2006-01-01

って、元旦から仕事に出てれば、正月のありがたみも半減だが…
さらに大みそかは、たいして興味もないはずの格闘技特番を、
ついついテレビを2画面にして見入ってしまい、ちょっと疲れ気味。
2日の初詣に向け、体力温存といきたいところだが、
まずは昨年の映画総まとめで、ことしに向けた決意を固めたいな、と。


2005年に劇場で観た映画は、2004年公開からの積み残し含め82本。
2002年の133本、2003年の118本、2004年の98本と、
年々減少の一途をたどったりしているのだが、それもやむなし、というところ。
特に大阪だと、本数は少ないし、規模も小さいし、時期も遅けりゃ、期間も短い。
82本はまずまず健闘いってもいいんじゃないか、と勝手に自画自賛だ。
ちなみに、本当にほめられたものかどうか、は気にしないでほしい。


では、ざっと振り返ってみる。まずは前年度公開の積み残し。
■1月(積み残し分)
「ターミナル」
「エイリアンVSプレデター
ハウルの動く城


「ターミナル」はもっと泣かせてくれると思ってたのに、肩透かし、
「AVP」はまずまずだったけど、期待したよりはスケールの小さい映画だった。
ハウル〜」はまあ、宮崎駿の残骸を見せられた感じ。もう、しばらく充電して欲しい。


■1月
ネバーランド
「Ray/レイ」
「ビヨンド the シー」
セルラー
上半期でも指折りの一本だったのが「Ray/レイ」だろう。
レイ・チャールズの壮絶な人生に圧倒され、その華麗な音楽に酔いしれ、
本人が乗り移ったかのようなジェイミー・フォックスの演技に目を見張る。
身勝手さ、ダメさをフェアに描いてなお、人を惹きつけるレイ・チャールズは本当に素晴らしい。
ネバーランド」も、切なく、そしてジンと熱くなるいい映画だった。
まあ、哀しさがどうしても強くなってしまう分、微妙な部分はあるのだけど。
セルラー」は、テンポもよく、期待してた以上に楽しめた佳作だった。


■2月
「THE JUON/呪怨
オーシャンズ12」
ボーン・スプレマシー
きみに読む物語
ハリウッド版「呪怨」、ビル・プルマンの陰気な演技はよかったが、
映画全体として、いまいちピントがずれた印象は否めない。
オーシャンズ12」は、前作と比べ楽屋オチ感が強くなった。
ゴージャス感はともかく、前作のドキドキ感や、スタイリッシュな部分はなくなってしまった。
同じく続編の「ボーン・スプレマシー」は、逆に続編のよさを活かした作品。
マット・デイモンの猿顔もあまり気にならず、キレのいいアクションを楽しめた。


■3月
「ステップフォード・ワイフ」
ビフォア・サンセット
ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月」
マシニスト
エターナル・サンシャイン
ロング・エンゲージメント
サイドウェイ
ナショナル・トレジャー
シャーク・テイル
やや期待外れは3本。「ビフォア・サンセット」「マシニスト」「ロング・エンゲージメント
恋人までの距離−ディスタンス−」の時のときめきが失われた「ビフォア〜」は、
出演者の自意識過剰っぷりが、どうしても興を削いだかな、という感じ。
マシニスト」は、もっとヘンな映画だったらもっとよかったのに…
「ロング〜」も、ジュネの好き放題にし過ぎたのが、ストーリーの中途半端さにつながったかな。
続編の「ブリジット〜」は、安心して笑っていられる楽しい一本。
「エターナル〜」は、記憶消去+ロマンスという組み合わせの妙だけに終わらない傑作、
サイドウェイ」は題材と同じく熟成されたワインのような味わいを醸し出す名品だった。


■4月
コンスタンティン
「マスク2」
ハイド・アンド・シーク
海を飛ぶ夢
バッド・エデュケーション
さよなら、さよならハリウッド
ドッジボール
何といっても「ドッジボール」に尽きる。「ズーランダー」と並ぶベン・スティラーの代表作。
これだけストレートにバカな映画はなかなかない。
ヴィンス・ヴォーンのおとぼけもよかったが、
スティラーのコブラ・ダンスはいま思い出しても吹き出してしまいそうになる。
海を飛ぶ夢」も、ズシンと重いけど、考えさせられる一本。
こういう映画だけ観るのもイヤだが、こういう映画の存在は絶対に不可欠だ。
期待外れ・オブ・ザ・マンスは「コンスタンティン」。予告はあんなにカッコよかったのに…


■5月
クローサー
ザ・インタープリター
デンジャラス・ビューティー2」
レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語
ミリオンダラー・ベイビー
ライフ・アクアティック
アカデミー賞総なめの「ミリオンダラー・ベイビー」は、なるほど納得の大傑作。
ペーソスと悲哀のバランスがとてもいい。まさに人生を感じさせる一本だ。
原作にはない、かすかな〝救い〟が挿入された点もいい。
「レモニー・スニケット〜」は、大人が本気で作った〝こども映画〟。
悪ふざけの度合といい、微妙な悪趣味さといい、とても好感が持てる作品だった。
ライフ・アクアティック」は、期待通りオフビートなノリで楽しませてくれた。
「デンジャラス〜」も安心して楽しめる、続編のよさを活かした作品だ。


■6月
最後の恋のはじめ方
リチャード・ニクソン暗殺を企てた男
宇宙戦争
オープン・ウォーター
ザ・リング2
「50回目のファースト・キス
フォーガットン
「バス174」
スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐
2005年最大のイベントムービー「エピソード3」は、
想像以上のスペクタクルとダークさでぐぐぐっと迫ってきた。
しかし、つくづくこのサーガは、暗い話ほど面白い。
「帝国の逆襲」に次ぐ傑作といってもいいんじゃないだろうか。
逆に言えば、あの「エピソード2」のへなへなぶりがもったいない。
あれがもうちょっと面白ければ、1〜3のトリロジーの評価も違うのに、という感じ。
「最後の恋〜」は、軽妙という言葉がふさわしい、極上のロマンチック・コメディ。
ブコメ作るなら、このくらいスタイリッシュに、そしてロマンチックに作ってよ、と思う。
宇宙戦争」は、スピルバーグの終焉っぷりを示した中途半端作。
オリンピック村での惨劇を題材にした「ミュンヘン」で、
巨匠の真価を問いたい、って偉そうに書いてみたりする。
バスジャック犯を通じてブラジル社会の矛盾を糾弾した「バス174」、
これもまた胸に迫ってくる社会派の問題作。映画の出来としても上々で、忘れられない一本。


■7月
「アイランド」
ダニー・ザ・ドッグ
バットマン・ビギンズ
皇帝ペンギン
アルフィー
メリンダとメリンダ
フランスで一大ブームを巻き起こした「皇帝ペンギン」は、なるほど渾身のノンフィクション。
ペンギンの壮絶な越冬に感動し、赤ちゃんペンギンのかわいさに卒倒する。
バットマン・ビギンズ」は、「MEMENTO」のクリストファー・ノーランによる快作。
尻すぼみ気味だったシリーズを、またもや〝スペシャルな〟作品に押し上げた。
予告では安っぽそうに思えた「ダニー・ザ・ドッグ」が、意外な掘り出し物だった。
「レオン」以降いつも同じの、わかりきっている展開にも、思わず涙がこぼれた。


■8月
おわらない物語 アビバの場合
「ハービー/機械じかけのキューピッド」
マダガスカル
ロボッツ
チーム★アメリカ/ワールドポリス」
奥さまは魔女
ランド・オブ・ザ・デッド
夏だ、ゾンビだ、ということでまずは「ランド〜」が最高の一本。
たまらない疾走感と、思わず応援したくなるゾンビたちに、ただただ興奮だった。
話題の人形劇「チーム★アメリカ」は、過剰なまでの毒毒ぶりに、ひたすら苦笑。
「アメ〜リカ〜、ファックイェ〜♪」の主題歌が、いまだに忘れられない。
マダガスカル」VS「ロボッツ」のアニメ対決は、
そのハッピー満開ぶりで「マダガスカル」に軍配、といったところか。
往年の名作ドラマのリメイク「奥さまは魔女」は、ウィル・フェレルがよくも悪くも強烈だった。
「おわらない物語〜」は、いかにもトッド・ソロンズらしいが、ちょっと印象が散漫か。


■9月
「Be Cool/ビー・クール
おまけつき新婚生活
メゾン・ド・ヒミコ
「銀河ヒッチハイクガイド」
チャーリーとチョコレート工場
「コーチ・カーター」
「ふたりの5つの分かれ路」
ハッカビーズ
「愛についてのキンゼイ・リポート」
「がんばれ! ベアーズ ニュー・シーズン」
ファンタスティック・フォー
シニカルでオフビートなノリがたまらない「銀河ヒッチハイクガイド」は、
もちろん、ベスト10候補の一角に入る傑作。
おかげで原作本の方も復刊され、本読みとしてもうれしい限りだった。
チャーリーとチョコレート工場」は、説教臭さがマイナスポイントも、
ティム・バートンの描き出した映像世界は素晴らしかった。
ウンパ・ルンパのミュージカルシーンだけでももう一度観たい。
「コーチ・カーター」は、見応え抜群の正統派スポ根、
フランソワ・オゾンの「ふたりの5つの〜」は、複雑な味わいをもたらす作品。
「ファンタスティック〜」は、ジェシカ・アルバのお色気ショットに乾杯だ。(←バカ)


■10月
シン・シティ
「ステルス」
「ルパン」
ティム・バートンのコープスブライド
何といっても「シン・シティ」だろう。ジェシカ・アルバのお色気ショットに乾杯だ。
じゃなかった、モノクローム+パートカラーで描き出された、アメコミそのままのビジュアルに、
したたかなヒロインたちと、武骨で間抜けなハードボイルドの男たちは見事のひと言だ。
「ステルス」は、ジェシカ・ビールのお色気ショットに乾杯だ(すみません、もう言いません)。


■11月
「ソウ2」
ブラザーズ・グリム
ダーク・ウォーター
旅行に行ったんですよ、2週間。別に言い訳してもしかたないけど。
で、「ソウ2」は前作からのパワーダウンもさほどなくって、期待以上の佳作。
ブラザーズ・グリム」は、テリー・ギリアムにしてはまとまった作品。
どうも興行的には大コケだったらしいが、そう悪くない映画だ。
日本ホラーのハリウッド・リメイク決定版「ダーク・ウォーター」は、傑作だった。
むろん、納得のいかない点はあるのだけれど、
いじめにいじめ抜かれたジェニファー・コネリーの泣き顔、に焦点を絞ったのが正解。
ジメジメと暗いNYのルーズベルト島の雰囲気も、最高にマッチしていた。


■12月
エリザベスタウン
イン・ハー・シューズ
Mr.&Mrs. スミス
「ミート・ザ・ペアレンツ2」
インサイド・ディープ・スロート
ザスーラ
キング・コング
ロード・オブ・ウォー
「ディック&ジェーン 復讐は最高!」
12月は傑作がめじろ押しとなった。
キャメロン・クロウ最新作「エリザベス・タウン」は、個人的にはものすごく好きな作品。
しかし、あくまで冷静な視点で考えると、冗長でもあるし、叙情的に過ぎる感は否めない。
ノレない人もけっこういるかな、という気もする。
インサイド〜」は、伝説のポルノを描いたドキュメンタリー。
70年代へのノスタルジーもさることながら、巧みな構成でとにかく楽しめる逸品だ。
「スミス夫妻」のお話は、これぞエンタテイメント。細かいこと言わずに楽しみたい。
待ちに待たされた「ミート〜」の続編は、いまや怪優となった、
ダスティン・ホフマンを加えてさらにパワーアップ、エンドロールまで笑いまくり必至だ。
虐められキャラをやらせたら右に出るものがないベン・スティラーといい、
強面デ・ニーロの困惑ぶりといい、極上のドタバタ・コメディに仕上がっている。
イン・ハー・シューズ」も、とても味わい深いドラマだった。
カーティス・ハンソン監督の演出の巧みさには、ひたすらうなってしまった。
で、大本命の「キング・コング」。シビれた、というのがまずひとこと。
映画への夢とロマンがすべて詰まった作品、と言えばいいのだろうか。
リメイク、と聞くと眉をひそめる向きもあろうが、このリメイクは〝必然〟といってもいい。
3時間の長尺もまったく気にならない、文句なしの傑作だ。
 

で、マイベスト2005だ。
1. 「キング・コング
2. 「ミリオンダラー・ベイビー
   「ドッジボール
4. 「最後の恋のはじめ方
5. 「イン・ハー・シューズ
   「サイドウェイ
7. 「Ray/レイ」
8. 「ランド・オブ・ザ・デッド
9. 「ミート・ザ・ペアレンツ2」
10.「バス174」
   「インサイド・ディープ・スロート
   「エターナル・サンシャイン」 
   

1〜3位は、ジャンルは違えど、どれも遜色のない傑作。
かなり迷ったが、作品そのもののスケールの大きさで、「キング・コング」を選んだ。
ミリオンダラー・ベイビー」と「ドッジボール」を並べる神経には異論もあろうが、
そのジャンルなりの醍醐味を徹底して追及している部分では、バカコメディも劣らない。
最後の恋のはじめ方」は軽い作品だが、観終わったときの爽快感がたまらない。
「イン・ハー〜」は、出しゃばり大女優シャーリー・マクレーンまで使いこなした、
カーティス・ハンソン監督に敬意を表してみた。偉そうに言って申し訳ないが…
サイドウェイ」「Ray/レイ」は、ともにずっと大事にしたい作品。
「ランド〜」は、遅れてきたゾンビ映画の大本命、期待通りの出来に感激の8位。
最高に笑えた「ミート〜2」だが、前作ありきの面白さでもあるので、9位でガマン。
10位はどれも優劣をつけられない。
「バス174」「インサイド〜」の2本のドキュメンタリーは、
ドラマを凌駕する真実のドラマに圧倒されまくりだった。
「エターナル〜」は、これまた忘れ得ぬ一本。もう一度しみじみと味わいたい。
「SW エピソード3」と「銀河ヒッチハイクガイド」は、ほんのわずかな差で次点。
「SW」は単純な評価ではベスト10だが、あくまでサーガの一部ということで…


以上、これが2005年の映画総括。
こう眺めてみると、いわゆるアクション映画に傑作が少なかったかな、と。
キング・コング」は一応、そのカテゴリーかもしれないが、内包するものが多いし、
単純明快なアクションで見せる映画に出物がなかったな、というのは正直なところ。
あとは「マシニスト」「ソウ2」みたいな、ギミックで見せる映画が少なかったのも残念。
やはり、こういうヘンな小品は、東京にいないと観る機会が少ないのも一因だろう。


2006年の目標は、ことしもまずは100本。
あとは、劇場で見逃した作品を、DVDでちゃんと観ること。
家で観ると寝てしまうもので、どうもこのところ避けがちではあるのだが…
あとはデービッド・リンチ、デービッド・クローネンバーグ、ポール・ヴァーホーヴェンら、
個性派監督たちの作品をもっともっともっと観たい。
まずはアトム・エゴヤンの「秘密のかけら」に期待したいのだが、
これ、東京ではたぶん2005年12月公開なんだよね…
早く大阪にもっともっともっとミニシアターが開業(復活も含む)して欲しいな、というのが、
2006年の大きな願望のひとつなのだった。