梅田ブルク7で「ザスーラ」

mike-cat2005-12-15



いつもケンカばかりの兄弟、10歳のウォルターと6歳のダニー。
ある日、ダニーが古い家の地下室で古いボードゲームを見つける。
スペースアドベンチャーザスーラ」をさっそく始めると、こんなカードが…
「流星群がやってくる。回避しろ」
その時、突如襲いかかる隕石。気づけば家は宇宙に漂っていた。
そう、ゲームの中のできごとが現実になる、魔法のゲームだった。


何だ「ジュマンジ」と同じ、と思ったら、何てことない。
原作は同じクリス・ヴァン・オールズバーグの絵本だった。
パンフレットなどを読んでみると、絵本では2作品が微妙にリンクされているらしい。
そりゃ、同じ〝魔法のゲーム〟を題材にしているわけだ。


で、こまを進めるとジャングルの猛獣や、異常なハンターとかか出てきた、
ジャングル版すごろくの「ジュマンジ」に変わって、
今回は宇宙人とかが出てくる〝宇宙版〟すごろくというわけだ。
しかし、「ザスーラ」のゲームボード・デザイン、かなりイケてるといっていい。
オープニングのタイトルクレジットは、
このゲームボードのグラフィックイメージをそのまま映像にしているのだが、
これが思わずシビれるくらい、ワクワクしてくるものになっている。
実際、スロットを回すと(サイコロじゃないのだ!!)、
自動で宇宙船のこまが動き、恐怖のメッセージ付カードが差し出される。
このギミックだけでも、もうこの映画への期待感は高まってくる。


ゲームを終わらせないと、地球に戻れない。
しかし、こまを回すと新たな災難が…
というのが基本のストーリーラインだが、それだけではない。
ケンカばかりの兄弟が、苦難を乗り越えていく中で成長し、
兄弟の絆の大事さを知る、というまあ定番のサイドストーリーも挿入される。
しかし、ちょっとしたひねりも加えられており、これがなかなか悪くない。
深い人間ドラマ、ということもないのだけど、安心してジーンとできる感じだ。
そういう意味では、ロビン・ウィリアムズのオーバーアクトが、
映画のバランスをぶち壊した「ジュマンジ」よりは、まとまりのいい映画といえるだろう。
ここらへんは「ミッション・インポッシブル」「スパイダーマン」の脚本家、
ディッド・コープの手腕によるところも大きいんじゃないかな、と勝手に想像。


で、特撮だ。
当時としては最高の技術によるアニマトロニクスを駆使した「ジュマンジ」だが、
いまにして思うと、まだまだ当時は〝走り〟の技術だったのだな、と思う。
たとえば、「キングコング」なんか見てると、
本当にとてつもないレベルで巨大なゴリラの動きがスクリーン上に展開してる。
ジュマンジ」などの礎があっての、その後の進化には本当に目を見張るばかりだ。
いまは見劣りがしても、当時はいかに斬新だったか、がわかる。


そうした「何か、新しいものを作り出したか?」という意味では、「ザスーラ」はやや弱い。
ただ、宇宙に漂うウォルターらの家や、ティン・トイを思わせるロボットの動きなど、
まったく違和感を感じさせないあたり、高度な技術の存在はしっかり感じられる。
なるほど、これだけの技術の進歩があってこそ、可能になった映画だな、と。


結論としては、新味はないが、よくできた奇想SFアクション、といった感じか。
この冬、必見の1本、では決してないが、好きなヒトなら間違いなく楽しめる作品だ。
惜しむらくは、もうちょっと〝すごろくのネタ〟に凝ってみてもよかったかと。
だって、「宇宙人登場」とか「流星群襲来」とか、だいたい想像できる範囲。
「えっ!」と驚くぐらいの、まさかのネタが入っていたら、
もう1ランク上に評価できたのにな、という想いは微妙に残った。
ま、それでも楽しい110分を送ったことには、間違いがないのだけどね。