旅行もいよいよ佳境の9日目♪

mike-cat2005-11-21



そろそろ疲れがでてきたのか、朝はやや遅め。
だらだらとシャワーを浴び、だらだらと着替え、だらだらと外に出る。
そんなだらだら気分を吹き飛ばすのは、まずは朝ごはんだ。
ホテルの向いにある老舗カフェ、Cafe de Floreにていただく。

こうした老舗=態度悪い、というのはよくある図式なのだが、ここはちょいと違う。
やたらとギャルソンのおいちゃんが、キビキビしている。
そこらのカフェの「ああ、めんどくさいわね」的な連中と比べると、
そのキビキビぶりはある種の様式美すら感じさせるくらいだ。


陽光差すテラス席(といっても屋外ではない)に通され、ムニュを眺める。
ハムとエメンタールチーズのサンド、ハーブ入りオムレツを注文。
紅茶はマリアージュのが出るらしい。テシュルニルとマルコポーロをいただく。
ハムとエメンタールチーズは、東京にいる時によくメゾンカイザーで買っていた定番。
やっぱり、本場で食べると美味しい、
のも確かなのだが、同時にメゾンカイザーのレベルの高さも実感する。
まあ、メゾンカイザーだって、パリのエリック・カイザーがもとだから当たり前だが…


オムレツは、ホテルの朝食ビュッフェとかで出してくれる、
ふわふわタイプのオムレツかと思いきや、薄くクレープ状に焼き上げたタイプ。
ふわふわ好きを自認しているし、自分で作るときも、もっぱらふわふわのため、
ちょっと残念に思いつつ、箸をつける、じゃなかった、ナイフを通す。
しかし、これがなかなか悪くない。
軽やかなハーブの香りと、リッチ感を抑えた卵の味が、いい感じのバランスを保つ。
ひとつ間違えば貧相な味になるところを、うまくまとめているあたり、やはり老舗の技なのかも。
まあ、でもやっぱりオムレツはふわふわが好きよ♪


たっぷりの紅茶とともに、満足の朝食を終えたのだが、
お腹が膨れると、それはそれで困ったことになる。
何事にも、気が大きくなってしまう、というとても悪い状態に陥るのだ。
具体的な例を挙げると、すぐ近くにあるルイ・ヴィトンで、どんと買い物をしてしまう、とかだ。
というわけで、ケルンで見て以来どうしても気になっていた、
クルーズラインのトートバッグを見に、ずいずいとお店の中に突入していく。
もうだいたいこの時点で買う気満々なのだが、とりあえず出してもらって商品チェック。
15年来のトートバッグ好きとしては、やっぱり中ぐらいのサイズの青緑が狙い目だ。
女性的には小さいヤツなのだろうけど、奥さまと僕で共用だし、これかな、と。
値段を確認すると、ケルンで見た時より、40ユーロ安いことも判明する。
(その後、日本で見たら免税分抜きで4、5万円違った…)


生地自体がしっかりしているし、持ち手も比較的手に負担のかからないタイプ。
あまりたくさんは入らないものの、ポケットも多いし、使いやすいはずだ。
こういうトートは〝買い〟だ、ということで、購入を決定。
奥さまが気にかけていたボパンクールのハンドバッグとともに買い込む。
ああ、やっぱり腹いっぱいだと、買い物も力強くなってしまう…


大喜びでいったんホテルに戻り、さっそく持って歩く。
ちなみに、こういうことをすると本当は免税にならないのだが、
そこはそれ、お上に政策あれば、人民に政策あり、というやつで、何とかできる。
というわけで、サンジェルマン・デ・プレから南下(だと思うが)し、リュクサンブール宮へ。
車通りの多い道から宮殿横を通って、公園に向かう。
黄色くまとめられた花壇が、目にまぶしい。
一瞬、寒さを忘れてしまうのだが、まあやっぱり寒いので、気持ちは複雑。
寒々しく水を噴き上げる噴水を眺めつつ、宮殿方向を振り返ると、これまた絶景だ。


ここから、あのニューヨークの自由の女神のオリジナル版を観に行く。
うっそうとした森の小道を抜けていくと、高さ3メートル弱?の女神像が出てくる。
「なるほど、同じ形だ」と意味のない感心をして、じっくりと眺める。

しかし、色が黒とは思わなかった。
これはこれで味があるし、あくまでこちらがオリジナルなのだけれど、
NYの「自由の女神」を刷り込まれてしまっているせいか、どこか違和感も感じる。
何でかな、と思って、真下から眺めたら、ようやく違和感が和らぐ。
なるほど、やっぱり色以上にサイズの問題なのだな、と、ごく当たり前のことを思う。


ここから、公園を出て、モンパルナス大通り Bd. du Montparnasseへ。
LA ROTONDE や Le Dome La Coupoleなどの名門カフェを眺めつつ、
通称クレープ通り? のRue du Montparnasseに向かう。
お目当ての店は、
ガレット=ブルターニュ風そば粉のクレープのCreperie Le Petit Josselinだ。
しかし、クレープ屋さんが立ち並ぶ中を探すのだが、どうも看板が見つからない。
一応ガイドブックの写真を見てみるのだが、それらしき店がない。
2、3回うろうろしているうちに、微妙に改装しつつ営業している店を発見。
なるほど、見つからないわけだ。冷えきった身体に安堵をにじませ、ぐぐぐと入店する。


目移りしまくってしまうような、豊富なメニューをじっっっっっくりと眺め、注文を決める。
おかずガレットはバター、フロマージュの2種類。
胃の空き容量の問題もあるのだが、やはりプレーンなもので味を確かめたい。
よく行っている神楽坂のル・ブルターニュが、どれくらい〝本格的〟なのかも知りたいし。


で、出てきたのだが、どうも微妙だ。
確かに美味しいのだが、やたらとしつこい。
いや、バターなのだから当たり前なのだが、それにしてもリッチを通り越している。
多少クリスピー過ぎる感もあり、どうにも微妙、としかいいようがない。
で、フロマージュの方も濃いことこの上なし。
バターたっぷりで焼いたガレットに、たっっっぷりのチーズとあって、
一気に体内の乳脂肪含有量がリミットぎりぎりに達する。

とはいえ、デザートを食べないわけにはいかない。
こちらも検討に検討を重ねた上でチョイスしたのは、
塩バターキャラメルと、バナナチョコラム&ココナツアイスの2種類。
で、もちろん塩バターキャラメルは美味しいのだが、これもやっぱりリッチ感過剰だ。
バナナ〜は、ラムがやたらときつい。
いや、本来ラムの香りは全然平気なのだが、過剰なバターと合わさると、けっこうきつい。
それでも美味しいkとおは確かなのだが、胃にけっこう応える。
お茶のがぶ飲みでも、それはさほど解消されない感じ。
おそらく、ここまでの暴食が祟ったのだろうけど、
結局この後、夜寝るまで空腹を感じることはなかった…


それでも、気を取り直してモンパルナスタワーへ向かう。
高いトコに登りたがるのは、もう宿命みたいなものだ。
どこがどう宿命か説明は全然できないのだが、まあそれは置いておく。
チケットを購入し、まずは56階までのエレベーターに乗る。
全自動運転らしいエレベーターは、何だか鈍い加速をつけつつ上昇する。
56階に到着すると、窓から絶景が広がっているのだが、まずは59階の展望台へ。
係員のおっちゃんが誘導する先には、エレベーターかと思いきや、ショボいドアがある。


まさかな、と思ってドアを開けると、俗にいう階段というヤツがお目見えだ。
それも、どう見ても非常階段にしか見えない、ふつうのヤツ。
夢もへったくれもない階段をひたすら59階まで登ると、突風が吹き抜ける。
この展望台、もちろん屋外展望台なのだ。
ひたすら寒さとの戦いを続けつつ、景色を眺める。
この日は生憎、ガスがかかった天気とあって、凱旋門あたりはかなり微妙。
エッフェル塔も、写真とかにしてみると、けっこうかすかにしか写らない。

それでも、各方向を凍えつつ眺め、震える手に力を込め、写真を撮る。
そうこうしてるうちに、寒さが限界に達したので、ふたたび56階へ。
凍えていない、冷静な状態でもう一回景色を眺めた後、下に戻る。


リュクサンブール宮方面に戻りつつ、紙専門店のMarie Papierへ。
お土産にもってこいのグッズがたくさん、と思いきや、
いわゆる〝みんなのお土産〟にするにははなはだ不適当な値段のものばかり。
とにかく、高いのだ。オシャレなノートとか、日本円換算で数千円とかしてる。
おそらく、というか紙の質とかが全然違うのだろうけど、よくわからないくらい値段が張る。
とりあえずはちょいちょいとのぞき、早々にお店を去る。


ここから、雨宮塔子のダンナがやってるらしいというSadaharu AOKIを素通り、
シェルシュ・ミディ通り Rue du Cherche Midiに向かう。
オシャレなお店が並ぶ通り、という触れ込みなのだが、いまひとつ微妙な感はあり。
東京でいえば、青山の裏通りというか、骨董通りを一本入ったあたりというか…
オシャレな店は確かに点在するのだが、何せ密度が薄い。
陽当たり的にも微妙な時間だったせいか、実際の気温同様、どこか寒々しいのだ。
で、道端にはパリ名物、犬のウンコももちろん落ちていて、気分は…、になる。


まあ、オシャレな通りって、こんなものかな、なんて思いつつ歩を進めると、
何とも言えぬ、かぐわしい香りが漂ってくる。あ、もちろんウンコではなく。
そこには雰囲気抜群のパン屋さんがドデーンと店を構えている。
ガラス張りの店内には、一面のカンパーニュとクッキーなどなど。
さっそく入ってみると、その香ばしい匂いに、思わずノックアウトされる。
ただ、パンはまだ食べられそうにないので、やたらと美味しそうなクッキーを買う。
値段は拍子抜けするくらい、たっぷり入ってお買い得。
お味も、思わず頬がゆるみまくるくらい、美味かったりする。

その美味しさときたら、
バターがたっぷり、とか、甘さが絶妙とか、そういう次元を越えた、美味しさだ。
何が美味しいって、素朴そのものの作りが、小麦本来の味が存分に発揮し、
その香りが鼻を、その甘みが舌を、まさに桃源郷に誘うのだ。
嘘じゃない、本当にそのくらい美味しいのだ。
あとでお店の名前 Poilane を確認してみたら、何とパリ屈指の名店だという。
なるほど、美味しくて当たり前だ。
ちなみに、その後奥さまが新宿伊勢丹で期間限定販売されているのを発見したらしいが、
値段はまあ、目玉がポンと飛び出そうな値段になっていたらしい。
空輸代とか考えれば、当たり前なのだが、とにかくびっくりだ。


で、ホテルに戻る前にちょっとLa Maison du Chocolatに寄り道。
オランジェット、エクレアなどを買い込む。こちらも信じられないほど安い。
オランジェットなんて、日本で買うと涙が出るような値段だが、
こっちで買うと、気楽に口にぽんぽん放り込めるぐらい。
ピエール・マルコリーニほどじゃないけど、その価格差には愕然とさせられる。


ここからいったんホテルに戻り、ふたたび出発。
St.Germain Des Presからメトロ4号線でChatletへ、7号線乗り換え、Pon Marieに向かう。
きのうと同じく、サンルイ島周辺を散策する。
まずは通称紙屋さん通り、のポン・ルイ・フィリップ通り rue du Pont Louis Philippe へ。
さまざまなペーパーアイテムを取り扱う店が並ぶ通りだ。
何軒かのぞいてみて、一番かわいいアイテム揃いだったのが、Melodie Graphique。
もちろん、全部が全部フランス製、というわけではないのだが、
変わった感じのポストカードやグリーティングカード、便箋、しおりを始め、
ペン先やクリップなどが小さな店の中にひしめき合っている。
ヨーロッパの雑貨屋さんって、カード類はどこも充実はしているけど、
ここは昔ながらの雰囲気たっぷりのグッズが多く、かなり個性的な品ぞろえだ。
お土産にも最適なグッズがたくさんあるので、一見の価値あり、だろう。


ここから、2日連続のサンルイ島へ。
まずは、前日気になっていたOlivie & Coに入る。
なぜかここのオニイちゃんが、日本語もしゃべれるため、すっかり話し込む。
シトロン、マンダリン、バジルなど風味を効かせたフルーティなオリーブオイルに、トマトの粉、
必殺白トリュフ風味のオリーブオイルなど、しっかり、たっぷり、買い込んでしまう。
惜しむらくは、やはりどれも重いため、たくさんは買えないこと。
サラミなんかも、試食したらやたらと美味しかったのだが、これも断念する。
ちなみに後日、心斎橋そごうで同じ店を発見したのだが、値段はもう…というくらい違う。
しかし、せっかく見つけたお店が日本にあると、それはそれで複雑な想いだな、と。
日本でも買えるのはうれしいけど、海外旅行ならではの、プレステージ感というものが…


で、前日に続き、L'Epicerieで紅茶やジャム、スパイスなどを物色。
ここでもお土産にジャムを購入する。
2日続けて見ても、やはり目移りしてしまうほどの品ぞろえだ。
どれもこれも欲しいのに…、とため息ももらしつつ&後ろ髪を引かれつつ、店を後にする。


ウロウロしているうちに冷えてきたので、橋の近くのカフェ、Le Lutetiaへ。
カフェオレや紅茶などで、しばし身体を温める。
意を決して再び寒風吹きすさぶ店の外へ。
Pon marieからメトロ7号線でChaussee d'Antin La Fayetteに向かう。
まずは、増えすぎた荷物を何とかすべく、カバンを買い増しにいく。
旅行に行くとしばしばあることだが、荷物が増える。それも並大抵でなく…
ワレモノとかも欲しいときは平気で買うので、かさばるため、カバンが必要になるのだ。
「ベルギーで買っておけばよかった」などとぼやきつつ、キプリングなどを探す。
しかし、この日は目ぼしいモノが見つからず、まずは断念。


気を取り直して、ラファイエット・グルメへ。
お土産に頼まれていたクッキーなど数点を買い込む。
オルゴール付のクッキー缶や、各種アドベントカレンダーなどなど、
これまたうっとりするような品ぞろえに、迷い迷ってようやく決断に至る。
つくづく、長期滞在とかして、余裕を持って買い物に来てみたいものだ。
そんなカネはもちろん、どこにもないので夢想するのみ、だったりするのだが…


ここから夜のオペラ座を眺め、OperaからメトロChatelet乗り換えでSt.Germain des Presへ。
ちょっとホテルで休んでから、食事&スーパーのMONOPRIX散策と思っていたのだが、
前日の無理が原因の偏頭痛に、昼のガレットのダメージが重なり、外出の意欲を失う。
残り2日に全力を注ぐべく、この日はこれにておしまい。
悔しい…、と思いつつ、意識は泥の沼の中に沈んでいくのだった。