梅田ナビオTOHOプレックスで「ソウ2」

mike-cat2005-11-02



アッといわせるカラクリで、スマッシュヒットを放った「ソウ」の続編。
前回のヒットを受け、何とびっくり、ナビオでは1番館で上映だ。
ムダに広い劇場が、かなり違和感を醸し出している。空いてるし。
やっぱり単館か、シネコンでも小さいスクリーンがお似合いの映画だと思う。
まあ、映画自体始まってしまえば、そんなのもなくなるのだが…


前回監督のジェームズ・ワン、脚本・出演のリー・ワネルが製作総指揮に回った。
と、聞くといかにも粗製濫造の続編、と思うのは世の常、人の常。
だが、この続編、そう悪くない。
1作目の「おっ、なかなかやるね」という水準には及ばないが、
十分〝面白い〟と言えるレベルの、サスペンス・スリラーの佳作だ。
資料によると監督・脚本を兼ねたダーレン・リン・バウズマンのオリジナル脚本をもとに、
「ソウ」の設定をアレンジし、再構成した作品だという。
なるほど、前作の密室性とは、厳密には違うんだが、テイストはうまく出ている。


〝ゲーム〟を模した猟奇的な手法と、証拠を残さない手口で警察をけむに巻く、
殺人犯ジグソウの新たな犠牲者は、刑事エリックの情報提供者だった。
かすかな手がかりからジクソウのアジトを突き止めた捜査陣だったが、
そこには新たな〝ゲーム〟が用意されていたのだった。


前回の〝ゲーム〟の手口はといえば、
目覚めたら薄汚れたバスルーム。足には手錠。反対側にも同じ状況の男。
真ん中に横たわるのは、頭を撃ち抜かれた死体。
ほかにもテープレコーダーに銃弾、のこぎり、着信専用の携帯電話…
二人に下された〝指示〟は
「生き残るためには、数時間後までに相手の男を殺せ」。
密室性と、不条理性を生かした、意味詰まるような〝ゲーム〟と、
思わずあっと言わせる(本当にいいそうになった…)カラクリで楽しませてくれた。


今回の〝ゲーム〟の主役は、廃屋に監禁された8人の男女。
遅効性の毒ガスが充満した廃屋で、解毒剤と脱出を目指し、
次々と繰り出されるジグソウの罠に挑んでいく。
密室性という意味ではやや無理があるし、
8人の行動パターンについても、ややご都合主義的な部分はあるので、
正直、この密室〝ゲーム〟についていえば、まあ普通の出来だ。
しかし、ジグソウの〝ゲーム〟には当然ウラがある。
そのカラクリは、もちろん観てのお楽しみなのだが、これはなかなか、だ。
観終わって思ったのはつくづく、「人の話は聞きましょう」ということか。


ただ、気になったのはジグソウの人物的な背景が明らかになるところ。
その動機の不明さこそが、独特の不条理性を醸し出していた面もあるから、
その動機が明らかになってしまうと、何だかジグソウが安く見えてしまうのも事実だ。
もちろん、誰が相手であれ、命をかけた〝ゲーム〟をさせる権限はないので、
それを突き詰めてしまうと、もう話自体が不愉快なものにはなってしまうので、
もともと、〝あくまで映画の世界〟の話ではある。
だが、ヘタに理由があると、やっぱり中途半端な現実味を帯びてしまうだけに、
その倫理観みたいなものが、浮上してきてしまうのだ。
ここらへんのジグソウのエピソードを削れば、
もっとテンポのいい話になっていたような気もするだけに、
惜しいかな、というのも正直こころの中に残った。


しかし、最初にも書いた通り、少なくとも観る価値はある映画、というのも確か。
「続編だから…」と思って、回避するのは少々もったいない。
多少斜に構えつつも一応観ておく、ぐらいで劇場に出かければ、
思いがけない満足感が得られること、請け合いだ。
相変わらず、褒めてるんだか、けなしてるんだか微妙だが、そんな映画だった。