大阪にて雪辱の「ひつまむし」

土用の丑の日に一日遅れで、鰻を食べに行く。
昨日は黒門一帯がうなぎまみれになっていたにも関わらず、
タコときゅうりの酢の物、小松菜と油揚げの煮浸しに冷や奴。
じっと我慢の子で、きょうのうなぎに備えてみたりした。
そういえば、関西風のうなぎって、あんまり食べた記憶がない。
蒸して焼く江戸風の店もけっこうあるようなので、
関西風のお店に狙いを定めてみる。


まずは近所の黒門「川ひろ」に向かったのだが、
なぜか閉店時間1時間半前には店じまいずみ。売り切れ?
「じゃあ、いいよ」ということで、北浜の「本家柴藤(しばとう)」に向かう。

徳川吉宗の時代からの老舗だとか。
老舗にうまいとこなし、ともいうが、とりあえず行ってみる。
接客はまずまず。
可もなく不可もなく、よりやや上ぐらいだが、不快感はない。
メニューを見ると「超ウルトラまむし」というのがある。
老舗にあるまじきメニュー名。
思わずセンスを疑う。大丈夫? 内容を尋ねると「2匹分です」。
それならせめてダブルとかでいいのでは…


文句いってもしかたないので、まずはう巻きとうざくをいただく。
白焼きをわさび醤油で、とも思ったのだが、
さきに空腹に耐えかね、黒門の芋蛸で「エビマヨ焼き」を食べてしまったのだよ。
だから、サイドメニューはちょっと控えめ。
鰻食う前にタコヤキ食うなよ、というご指摘はごもっともなんだが…
で、うざくからいただく。
おいちいのだが、えらく量が少なくて、ちょっと残念だったりもする。
やはり感心するのは、きゅうりの飾り切り。この食感はなかなかすごい。
ううん、こういう包丁の技を身に付けたいな、と関係ないことを思う。
う巻きはあっさりめのだし巻きで、これまたなかなかナイス。
汁っけたっぷりのやつを口に含むと、思わず顔がほころぶ。


さあ、いよいよ本番だ。ここは「ひつまむし」も出すらしい。
「ひつまぶし」といえば、昨年名古屋で味・接客とも大変な不快感を味わわせてもらった。
http://d.hatena.ne.jp/mike-cat/20040922
しかし、その時「作り方次第ではイケる料理」との感触もあったので、試してみる。

まずはふつうに茶碗によそって食べてみる。
ふむふむ、思ったほど脂がしつこいわけでもないし、歯応えもそう変わらない感じ。
たれがけっこうあっさりめでかなり好感持てる。
しかし、もっとパリパリっとした感じかと思っていた。
やっぱりごはんの間で蒸されてるのがポイントなのだろうか。
ただ、蒲焼きをふだんあんまり食べないこともあって、
江戸風の蒲焼きとの差異があまりわからない。もしかして、単に味音痴かも…


で、待望のネギ&ワサビでいただく。
やっぱりこれがベストかな。
鼻を通るわさびのさわやかさと、鰻の脂が何ともいえないハーモニーを生み出す。
気持ちもう少しわさびを盛ってくれたらうれしいんだけど、とわがままも。


さて、ついにお茶漬け。
ネギ&ワサビを添え、たっぷりのだし汁でいただく。
おう、やっぱり名古屋のよりおいしい。
たれの味で、だし汁が支配されないのがいい。
わさびと鰻の脂、たれ、だし汁と、バランスよく味わえる。
気付くとずるずると一気に食べきってしまう。
鰻重にありがちな、食べ終わる頃には食傷気味…、
というのもなく、最後まで美味しくいただけた。やっぱり、なかなかいい。


ふだんそんなに鰻を食べる性質でもないのだが、
こうやって美味しいのを食べると、また来ようかな、と決意も新たになる。
こんどは白焼きをわさび醤油、&純正鰻丼でいってもいいかな、と。
しかし、関西風のお店はほかものぞいてみたいし…、と、
想いはまたも千々に乱れたりするのだった。