道頓堀角座で「シャーク・テイル」

mike-cat2005-03-10



今回も「シュレック」シリーズ同様、
いかにもドリームワークスっぽいノリの、シャレの効いたCGアニメだ。
殺生のできないベジタリアンのサメ、レニーと、
ひょんなことから、
シャーク・スレイヤーになってしまった小魚(種類知らない…)のオスカー。
レニーのオヤジで、マフィアのゴッドファーザーでもあるドン・リノとのトラブルをめぐって…
ううん、ちょっとストーリー違うけど、あんまりストーリー大事じゃない。
どちらかというと、とことん作り込まれたパロディこそが、その魅力だ。


コーラは、コーラル(珊瑚礁)・コーラだったり、
GAPがGUP(グッピー?)だったりするような、パロディは、
オールド・ネイビー(アパレル)やクリスピー・クリーム(ドーナツ)だとか、
あんまり日本でなじみのないブランドも含めたさまざまな分野に散りばめられている。
別に、それだけで笑わせようとするんでなく、
ちょっと画面をよぎる程度でもふんだんに出てくるもんだから、よけいいい。
たぶん、アメリカでの生活が長い人とか、もっともっと楽しめるんだろうな、と思う。


映画を元ネタにしたパロディも、「シュレック」よりも濃いめに使われている。
ロバート・デニーロが声を担当するドン・リノなんて、
まず顔の造作そのものも似ているのは当たり前。
すごいのは、いかにもデニーロがやりそうな顔の動きまで、
ものの見事にパロディにしている。
その上、マフィアのゴッドファーザーという設定も、もちろん存分に利用している。
BGMもどことなくゴッドファーザーだし、
手下がルカだったりするのは、
ゴッドファーザー」のルカ・ブラジそのまんま?とか思ってしまう。
字幕では触れられていないが、いかにもマフィアの言い回し
「カピッシ(わかったか)?」みたいなのも、もうバリバリにマフィア。
デニーロも楽しんで演じているのが伝わってくる。


楽しんで、といえば、ほかの豪華声優陣も喜々として演じているのがよくわかる。
レニーの声を担当するジャック・ブラックは、意外と特長は出てなかったが、
オスカーの声のウィル・スミス、
オスカーに迫るローラの声のアンジェリーナ・ジョリー
オスカーのマネジャーになるハリセンボンのマーティン・スコセッシとか、
雰囲気バリバリにでててかなり笑える。
音楽も「Got to be real」とか、いかにも70’sっぽいソウルのカヴァーがめじろ押し。
クリスティーナ・アギレラメアリー・J・ブライジとかも、
派手っぽい魚に扮して出演していたりする。
まあ、その豪華さだけがウリの映画じゃないので、
その感じがわからなくても、全然平気だ。ご安心を。


全般としての評価は、期待通りの出来。
もちろん、歴史に残る傑作とか、ことしのナンバーワン、とかいうつもりはない。
しかし、90分なら90分、最大限に楽しませるぞ、
という部分に全力を傾けたことがよくわかる、好感の持てる一本だ。
ある意味、軽い。だが、その軽さこそが魅力の映画。
ピクサーの映画みたいに大作感はないんだけど、
目いっぱいエンタテイメントしているのが、伝わってくる。


まあ、惜しむらくは、あまりにもストーリーに意外性がなさ過ぎること。
ほんのちょっと、どこかにサプライズがあったら、
もっと印象に残る作品なのにな、というのも正直なところだ。
シュレック」なんかもそうだったが、終わった後には何も残らない。
それもよさといえば、よさなんだろうけど、
この豪華なキャストとかを考えると、ちょいともったいない。
でも、まあ難点といえばそのくらい。
観るべき?、と聞かれたら、ぜひ観るべき、と答える。
まあ、間違いのない一本である、ということは言うまでもない。
ファインディング・ニモ」と比べたら? 
それはちょっと難しいけど、DVD買うなら「ニモ」かな…
微妙な表現になるが、「ニモ」と比べるとそういう位置付けになりそうだ。