敷島シネポップで「ボーン・スプレマシー」

mike-cat2005-02-27



けっこう面白かったご存じ「ボーン・アイデンティティー」の続編だ。
いや、マット〝ジミー大西〟デイモンで、凄腕スパイなんて…
なんて、鼻白みながら観に行ったのに、けっこう興奮して帰ってきたっけ。
テンポのいい展開、ミニを使った切れのいいカーチェイス、迫力ある格闘シーン…
ちなみに、乗り継ぎで1泊したマニラの映画館で観たため、
複雑っぽい会話は、あまりよく分からないまま、だったが、十分に楽しめた。


ただ、続編となると、ちょっと不安もあった。
前作の〝あの会話〟とかに、今回のナゾが、とかあったら、覚えていないかも…
しかし、全然問題なかった。たぶん、前作観てなくても大丈夫かも。
多少の問題はありつつも、トータルな評価としては、
108分を存分に楽しませてくれる、いい感じのエンタテイメントだったと思う。


まずは問題点をいくつか。
前回の監督だったダグ・リーマンが製作総指揮に回り(よくあるパターンだな…)
今回の監督は「ヴァ−ジン・フライト」のポール・グリーングラス
演出そのものにさほど問題はないのだが、
アクションシーンのカット割りが、かなり細かい。
もちろん、それがスピード感を生み出しているのかもしれないけど、
チャカチャカしすぎて、何が起こっているのかわからない部分もある。
「バッド・ボーイズ」みたいに、とんでもないカット割りしてても、
観客が一番観たいのが、
ウィル・スミスとマーティン・ローレンスの掛け合い、とかならいいけど、
この映画だと、もう少し長回しで迫力あるシーンを撮った方が、とは思った。


あとは、ポスト冷戦時代のスパイ映画、みたいな感じで撮っている以上、
もすこしエージェント同士の駆け引き、みたいな部分を大事にするべき?
まずは序盤、ロシア人たちがボーン暗殺を謀るシーンだ。
かなりデキるはずのロシア人エージェントが、
いきなりゆるゆるとボーンの前に姿をさらす。
その上、ライフルで逃げるボーンの車を撃ち、
橋の上から事故ったのを見届けると、それだけで満足そうに帰っちゃう。
いや、ふつう死亡確認するだろ。いかにソ連崩壊でエージェントのレベル下がってても…


その2。ロシア人エージェントの陰謀に巻き込まれるトコ。
指紋だけで、あっという間にCIAがまるごと騙される。
いや、ふつうもう少しひねって考える人がいてもいいはずだけど…
CIAってそんなに単純な人たちの集まりなの?、と笑っちゃう。
ちなみに後半、CIAの中の悪者の一味が困った事態に陥ると、
衝動的にエージェントの一人を殺しちゃう。
それも、一緒に出かけるトコ見られてるのに…
そんなにすぐ、バレるようなことしないよ。
そのほかにも、都合のいい〝おい、おい〟なシーンはけっこう多い。
何度か、苦笑を禁じ得なかった、と書くと、お気取りすぎだが。


で、こういう風に欠点をまず書きだしてはみたが、
本当に言いたいことはここからだ。
そこら辺の瑕疵を差っ引いても、この映画けっこう面白いのだ。
マット・デイモンも、そんなに猿顔に見えなかったし、
どうあっても過去から逃れられないオトコの苦悩、みたいなのもけっこうにじみ出てた。
もう少しフランカ・ポテンテジュリア・スタイルズが前面に出てれば、
色気もあってさらに…、なんて部分はあるが、
ボーン追い出しを指揮するCIAのエージェントを、
ジョアン・アレンはなかなか好演してるんじゃないか、と思う。
むろん、行動は終始すきだらけで、
スパイ映画の純粋なファンには許せんかもしれんけど。


そうそう、ヨーロッパ中(あとインドもあり)をかけめぐる、
観光ツアーっぽいノリの展開は今作でも健在だ。
モスクワでのカーチェイスとかも、なかなか味わい深い。
〝あの車〟(観てのお楽しみ)が、
そんなに激しいカーチェイスをこなせるのか、と笑ってしまう面もあるが、
前作ではミニであれだけやってたんだから、それもまた味♪


アメリカでは、「人工授精で精子をもらうとしたら?」の第1位、マット・デイモン
「抱かれたい」じゃないトコがご愛嬌だが、
日本での〝ジミーちゃん〟扱いとはまったく大違いの知性&肉体派らしい。
この映画も、アメリカでのヒットの割に、
日本での公開規模はやや抑えめだが、そこそこヒットしてるみたい。
デイモン屈指の当たり役だし、次回作ではついに…、かも。
もう、その顔を見ても、
「ヤッてる、ヤッてるー」のフレーズ思い出さなくて、よくなるかもしれない。