敷島シネポップで「ボーン・スプレマシー」
けっこう面白かったご存じ「ボーン・アイデンティティー」の続編だ。
いや、マット〝ジミー大西〟デイモンで、凄腕スパイなんて…
なんて、鼻白みながら観に行ったのに、けっこう興奮して帰ってきたっけ。
テンポのいい展開、ミニを使った切れのいいカーチェイス、迫力ある格闘シーン…
ちなみに、乗り継ぎで1泊したマニラの映画館で観たため、
複雑っぽい会話は、あまりよく分からないまま、だったが、十分に楽しめた。
ただ、続編となると、ちょっと不安もあった。
前作の〝あの会話〟とかに、今回のナゾが、とかあったら、覚えていないかも…
しかし、全然問題なかった。たぶん、前作観てなくても大丈夫かも。
多少の問題はありつつも、トータルな評価としては、
108分を存分に楽しませてくれる、いい感じのエンタテイメントだったと思う。
まずは問題点をいくつか。
前回の監督だったダグ・リーマンが製作総指揮に回り(よくあるパターンだな…)
今回の監督は「ヴァ−ジン・フライト」のポール・グリーングラス。
演出そのものにさほど問題はないのだが、
アクションシーンのカット割りが、かなり細かい。
もちろん、それがスピード感を生み出しているのかもしれないけど、
チャカチャカしすぎて、何が起こっているのかわからない部分もある。
「バッド・ボーイズ」みたいに、とんでもないカット割りしてても、
観客が一番観たいのが、
ウィル・スミスとマーティン・ローレンスの掛け合い、とかならいいけど、
この映画だと、もう少し長回しで迫力あるシーンを撮った方が、とは思った。
あとは、ポスト冷戦時代のスパイ映画、みたいな感じで撮っている以上、
もすこしエージェント同士の駆け引き、みたいな部分を大事にするべき?
まずは序盤、ロシア人たちがボーン暗殺を謀るシーンだ。
かなりデキるはずのロシア人エージェントが、
いきなりゆるゆるとボーンの前に姿をさらす。
その上、ライフルで逃げるボーンの車を撃ち、
橋の上から事故ったのを見届けると、それだけで満足そうに帰っちゃう。
いや、ふつう死亡確認するだろ。いかにソ連崩壊でエージェントのレベル下がってても…
その2。ロシア人エージェントの陰謀に巻き込まれるトコ。
指紋だけで、あっという間にCIAがまるごと騙される。
いや、ふつうもう少しひねって考える人がいてもいいはずだけど…
CIAってそんなに単純な人たちの集まりなの?、と笑っちゃう。
ちなみに後半、CIAの中の悪者の一味が困った事態に陥ると、
衝動的にエージェントの一人を殺しちゃう。
それも、一緒に出かけるトコ見られてるのに…
そんなにすぐ、バレるようなことしないよ。
そのほかにも、都合のいい〝おい、おい〟なシーンはけっこう多い。
何度か、苦笑を禁じ得なかった、と書くと、お気取りすぎだが。
で、こういう風に欠点をまず書きだしてはみたが、
本当に言いたいことはここからだ。
そこら辺の瑕疵を差っ引いても、この映画けっこう面白いのだ。
マット・デイモンも、そんなに猿顔に見えなかったし、
どうあっても過去から逃れられないオトコの苦悩、みたいなのもけっこうにじみ出てた。
もう少しフランカ・ポテンテ&ジュリア・スタイルズが前面に出てれば、
色気もあってさらに…、なんて部分はあるが、
ボーン追い出しを指揮するCIAのエージェントを、
ジョアン・アレンはなかなか好演してるんじゃないか、と思う。
むろん、行動は終始すきだらけで、
スパイ映画の純粋なファンには許せんかもしれんけど。
そうそう、ヨーロッパ中(あとインドもあり)をかけめぐる、
観光ツアーっぽいノリの展開は今作でも健在だ。
モスクワでのカーチェイスとかも、なかなか味わい深い。
〝あの車〟(観てのお楽しみ)が、
そんなに激しいカーチェイスをこなせるのか、と笑ってしまう面もあるが、
前作ではミニであれだけやってたんだから、それもまた味♪
アメリカでは、「人工授精で精子をもらうとしたら?」の第1位、マット・デイモン。
「抱かれたい」じゃないトコがご愛嬌だが、
日本での〝ジミーちゃん〟扱いとはまったく大違いの知性&肉体派らしい。
この映画も、アメリカでのヒットの割に、
日本での公開規模はやや抑えめだが、そこそこヒットしてるみたい。
デイモン屈指の当たり役だし、次回作ではついに…、かも。
もう、その顔を見ても、
「ヤッてる、ヤッてるー」のフレーズ思い出さなくて、よくなるかもしれない。