シネリーブル梅田で「マシニスト」

mike-cat2005-02-25



高知から帰阪。家に荷物を置いて、すぐに梅田スカイビルへ。
ちなみにきょうのブログはけっこうネタバレ危険度高、なので、
これから観に行こうかな、という方はご注意を。


極度の不眠症で、1年間眠っていないマシニスト(機械工)。
やせ細った体で日常をこなすトレバーだが、
不思議な出来事が、身の回りで頻発する。
工場での事故、奇っ怪な人物、謎のポストイット
陰謀なのか、それとも…
トレバーの抱える秘密が、そのカギを握る。

以前から、〝すでに1年間365日眠っていない。〟のコピーと、
異常なほどにやせ細ったクリスチャン・ベイルのビジュアルが強烈に気になってた。
ベイルといえば、名刺の出来をめぐって(素材感とか、エンボスとか…)、
嫉妬心から、殺人を犯してしまう「アメリカン・サイコ」の怪演が思い出される。
この映画では、30キロの減量をしたらしい。
ほとんど、面影すら感じられないくらいになってるが、
そのビジュアルと相まって、〝観たい〟感は募るばかりだ。
で、共演にジェニファー・ジェイソン・リー
この人も「ルームメイト」「イグジステンズ」「未来は今」など、
僕の好きな映画にやたらと出てる人。
もう43歳なのに、20歳のころの「初体験/リッジモンドハイ」のころと、
おっぱいがほとんど変わらないのは、なかなか興味深い。


ここらへんから、もうネタバレになるかも。
まあ、そんな感じで期待度高い映画だったのだが、
最初「メメント」系と思ってたけど、見始めて感じたのは、
ライアン・フィリップの出てた「Re:プレイ」とかの方が近いということ。
いろいろな不思議な出来事は、ベイルの外見もあって、
〝シャブ中〟?みたいな行動が多い。
だが、観てると、現実にあり得ない事件が多いため、
ああ、そうか、オチが見えてくる。
けっこう序盤でこうなってしまうだけに、サスペンスとしてはちょっと痛い。


だが、それでもストーリーはいい感じで進む。
たぶん、オチはこうだろう、と思ってても楽しめるだけの、
怪奇世界が展開する。ちょっと「ウルトラQ」みたい、ともいえる。
謎のポストイットもうまく使っているし、
たまにちょびっと出てくるメッセージのようなものも、
なかなかいいセンスで見せていると思う。


完全にネタバレになるが、
最後は、解釈をぼかしたのかな、とも思う、あいまいな終わり方だ。
だが、僕的には、途中で
赤いサンダーバードが「1年前に廃車になっている」という部分と、
トンネルから出た瞬間の光、で、ああ、そういうことでいいのね、と解釈した。
序盤で「それ以上痩せたら、存在しなくなっちゃうわよ(字幕は〝死んでしまうわよ〟)」
とか、言われてるのもそのヒントだったかと思う。
詰まるところ、自らの犯した罪を認めていなかったトレバーが、
現実とあの世の間をさまよった挙げ句、ようやく答えを見つけた、と。
それは、自分が犯した罪ではなく、自分がいま、ホントはどうなってるか、も
ティム・ロビンスの「ジェイコブス・ラダー」もそんな感じだったかな。

そう考えれば、そこまでのあらゆる矛盾は解決する、というか、
つくづく、夢オチは万能だな、と。(正確には夢、ではないが)
まあ、せっかく夢オチ使うなら、もうひとひねりってもよかったかとは思う。
驚きがないのがつくづく残念。先にも書いた通り、雰囲気はいいんだが。


しかし、365日眠れなかったら、どうなるんだろ、
みたいな部分を掘り下げたら、また違う映画になってたんだろな、とは思う。
それだと、アル・パチーノの「インソムニア」だろうけど、
あれはまた、テーマそのものは違うか…。
ドラマだったら、眠ってはいけない、という方が作りやすいだろうし。
まあ、そんなわけで想像していたのとだいぶ違う映画とあって、
感想はちょっと複雑。
ついでに、解釈が実は勘違いだったりするかも、と不安もあったりして。
ご覧になった皆さん、いかがなんでしょか?