道頓堀角座で「オーシャンズ12」

がっかり…



言わずと知れた、あのヒット作続編。
前作はスティーヴン・ソダーバーグのスタイリッシュな演出と、
ジョージ・クルーニーブラッド・ピットジュリア・ロバーツマット・デイモン
らの豪華キャストがけっこうかみ合った、なかなかイケてる作品だった。
今回はキャサリン・ゼタ=ジョーンズと、ヴァンサン・カッセルが加わり、
さらに豪華!!というのがウリだったりする。


じゃ、どうか、というととても人にお勧めできる映画じゃないな、と。
ことしに入って、どうにも「面白い!!」という映画に巡り合ってないが、
またもその流れから抜け出せなかったようだ。
はっきり言って、かなりの期待外れだった。


期待値は高かったので、気合を入れて観だしたのだが、序盤はどうにも眠い。
いや、観る前から疲れてたことは否定しないし、
前作の復習をしていかなかったため、
けっこうキャラクターの性格設定や特技を覚えていない状態だったから、
ついけいけないのもある程度やむなし、という点はあったかも。
それに、僕の英語力ではしゃれた会話も、十分にその面白さをくみ取れるわけないし、
観る人が観れば、面白かったのかもしれない、ということにしときたいが。


まあ、それでも中盤からはいくらか展開が動きだし、
観る方にもリズムが生まれる。悪くはない。
ただ、どうにも鼻につく感じは否めないのだ。
前作以上にクルーニー×ソダーバーグ一家の仲良し映画感が強まっている。
場面場面で笑えたりするのだけど、
それが続くことで何とはなしに満腹感が強まってくる。
×ル×ス・ウ×リ×が出てくるシークエンスとか、
かなり反則のギャグが飛び出して、それはそれで笑えるのだが、
そのネタを長く引っ張りすぎるため、何だか鬱陶しいし、何か展開にムリが生じてくる。
ちょろっと出して、エンドクレジットの
〝INTORODUCING TESS AS JURIA ROBERTS〟だけで分かる人はくすりといけるんだから、
それで粋、としてくれればよかったのに、という感想を覚えた。


終盤に入っても、不満感は増大の一途をたどったりする。
何しろ、起承転結の〝転〟のところが、とにかく地味。
一作目での「ラスベガス大停電」みたいな、ハイライトシーンがないのだ。
強いて挙げるなら、
マット・デイモン演じるライナスの××が活躍をして見せてしまうシーンか。
しかし、あれもクスリとはするけど、カタルシスを感じるまでにはいたらない。
いや、ホントに平坦なのだ。盛り上がり、とかほとんどなし。
そうやって、消化不良を重ねた上に、最後のオチがまた「え〜」なのだ。
映画終わってからも、その整合性に頭を悩ませてしまった。
「そんなオチなら、どうしてあそこではああなってるの?」みたいな。
いや、これもたぶん、観る人が観れば、違うのかもしれないけど。


そんなこんなで、大筋のストーリーに魅力を感じないと、
軽妙な会話とか、スタイリッシュな演出も、がぜんたるいだけになる。
終わってみれば、残っているのは徒労感と疑問、
そしてクルーニー×ソダーバーグ一家の仲良しぶりに胸焼け、というだけだ。
これ、もすこし何とかならなかったのかな…、と思って劇場を後にすると、
そこには道頓堀の薄汚れた景色。何だか、すごくブルーになってしまった。
あーあ、早く面白い映画に巡り合いたい。ホント、切なる望み。