恵比寿ガーデンシネマで「モーターサイクル・ダイアリーズ」
平日の午後イチの回。えらく混んでた。というか、満席。
ゲバラと同時代を生きたっぽい年代の人多数の様子だ。
やはり、特別な名前なんだろう。僕ですら、名前だけで多少気持ちが動く。
しかし、僕の目的はガエル・ガルシア・ベルナルかな。
雰囲気を持った役者だと思う。すごく好き。でも、ゲイじゃないよ。
「アモーレス・ペロス」、是非観て欲しい。絶対ファンになること請け合いだ。
アモーレス・ペロス ― スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]
- 出版社/メーカー: パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン
- 発売日: 2002/09/27
- メディア: DVD
- クリック: 3回
- この商品を含むブログ (59件) を見る
キューバ革命の偉大なる指導者がたどった、革命の原点。
と書くと、すごく生臭い感じもある。
だが、〝語るがための〟政治の色は、まったくない。
為政者に対する服従、という意味でのノンポリじゃない。
あの主義がどうの、この主義がどうの、という概念上のお遊びではない、
どう生きるべきか、のレベル、つまり生きる道としての政治の色はきっちりある。
こうして書いてると、自分でもちょっと書き分け難しいかも。
わかりにくくて、申し訳ない。表現力不足をいま、実感した。
で、本題に戻る。
医学生として恵まれた生活を送っていた、ブエノスアイレスを発ち、
チリを南下、その後ベネズエラに向けて北上を続ける旅。
そこで若きゲバラが体験したさまざまな出来事が、
彼を変え、その思想を、その信念を創り上げていく。
雪に埋もれたチリ南方で、恋人と過ごした甘いひととき、そして別れ。
かつて南米の中心だった、インカ帝国の残像との遭遇。
ペルー、サンパブロでのハンセン病施設での人々との出逢い。
旅を終えたゲバラが、こう振り返る。
「南米放浪の旅は、想像以上に僕を変えた。
少なくとも、昔の僕ではなくなっていた」。
成人への通過儀礼とか書くと陳腐だが、
普遍的な表現でいえば、やはりゲバラの成長の旅でもある。
だからといって、説教くさい映画化というと、それも全然だ。
ゲバラ、という人物について一切問わなくても、感動できる、
美しく、壮大なロードムービーといっていい。
荒涼とした光景の中を、バイクが砂ぼこりを立てて走っていく。
この映画に限らず、映画の至福を感じさせるシーンのひとつだが、
「モーターサイクル〜」の美しさは、かなり格別の感がある。
監督は「セントラル・ステーション [DVD]」のウォルター・サレス。
スクリーンには、南米への郷愁と、熱い想いがほとばしる。
特に、クスコやマチュピチュのシーンなんて、特別な理由なしでもグッっと胸に詰まる。
ここらへんの映像だけで、十分劇場に足を運ぶ価値あり、と断言したい。
そして、ハンセン病の施設でのシークエンス。
革命の士、ゲバラの人間そのものがかいま見えるようで、ひたすら胸を打つ。
ゲバラの旅のパートナー、アルベルト・グラナードの存在、
そしてそれを演じたロドリゴ・デ・ラ・セルナの演技も、心に響いた。
いい感じに俗物で、いい感じに熱い。
「これは偉業の物語ではない。
同じ大志と夢を持った2つの人生が、しばし併走した物語である」。
ナレーションだけでも泣いちゃいそうだ。しつこいけど、すごくいい。
いい映画を観ると、しばらく興奮が冷めない。
それがロードムービーなんかだと、けっこう危険だ。
放浪したーい! と、できもしないクセに熱い想いがたぎる。
この映画を観て、ひさしぶりに放浪への憧れを思い出した。
いや、近く旅行には行きますけどね。
香港じゃ、放浪とはあまりにかけ離れてるかも。
それも目的は、飲茶&甘味だったりするし(笑)
ま、それが僕の本質だから、ヘンな幻想は映画だけにしておくことにする。
ホントに早いな…、あきらめるの。