食傷気味のアメコミとはいえ…

料金分は保証します♪

博多のAMCキャナルシティ13で「ヘルボーイ」。
http://www.uipjapan.com/hellboy/


二次対戦末期、ナチスは起死回生の策を探るため、
怪僧ラスプーチンと結託し、冥界から悪魔を呼び起こそうと試みる。
作戦をかぎつけた連合軍は、間一髪でこの危機を逃れるが、
冥界の入り口が閉じられた時、全身真っ赤な悪魔の子が生まれる。
時移って現代、ブルーム教授によって、〝ヘルボーイ〟と名付けられた悪魔は、
成長し、FBIの秘密部署、超常現象担当特別エージェントとなった。
甦ったラスプーチンは、悪魔の番犬サムエルを呼び起こし、
再び冥界への扉を開けるため、ヘルボーイをつけ狙い始める。


こうしてプロットを書いているだけでも、既視感はぬぐえない。
そう、もう出がらし状態、ともいっていいアメコミ原作ものだ。
ジェニファー・ガーナー以外見どころのなかった「デアデビル」くらいから、
〝もう、ムリして作らなくってもいいじゃん〟感は強かった。
だから、この作品も最初に聞いた時は、正直興味も湧かなかった。


じゃ、何で観たんだよ、なんだが、
まずは〝ファイアスターター〟(念動発火)のリズを演じるセルマ・ブレア
好きなんだ、この女優。とにかく気になる演技をする。
クルーエル・インテンションズ コレクターズ・エディション [DVD]
「クルーエル・インテンションズ」での危険な雰囲気、
ストーリーテリング [DVD]」「キルミー・レイター 崖っぷち逃避行 [DVD]」でのやけくそで捨て鉢ないい女っぷり、
キューティー・ブロンド〈特別編〉 [DVD]  クリスティーナの好きなこと コレクターズ・エディション [DVD]
キューティ・ブロンド」「クリスティーナの好きなコト」でのコメディエンヌぶり。
出演している映画は必ず観る、という個人的には最上位レベルに位置する女優だ。
ロスト・チルドレン [DVD]  エイリアン3 [DVD]
そして、ヘルボーイを演じるロン・パールマン
ジャン=ピエール・ジュネの「ロスト・チルドレン」「エイリアン3」に出ていた大男だ。
この人、体格上似たような役しか回ってこないけど、かなりの演技派だ。
心に闇を抱えたダークヒーローは多いけど、意外にはまり役は少ない。
ハルクなんか、個人的には嫌いじゃないけど、エリック・バナが演じるのは、
あくまでも怒って緑色になるところまで。
アクションシーンでの減らず口や、気の利いたジョークなんかは、
素で演じる俳優なしには、なかなか味わいは出てこない。
あとはブルーム博士をジョン・ハートが演じていたり、
監督がギジェルモ・デル・トロだったり、というのもあるけど、
あんまり書いてると、言い訳みたいだからこのへんで。


映画の出来もなかなか悪くなかった。
スティーヴン・キングの「デッドゾーン」「ファイアスターター」や、
ディーン・R・クーンツの「ウォッチャーズ」にも共通する、異形の哀しみ、みたいなのだけでなく、
ヘルボーイの人間くささ(悪魔だけどね)というのが、軽妙に描かれているのが、映画の魅力だ。
ダイ・ハード」のブルース・ウィリスマクレーン刑事並みに文句が多い。
それでいて、リズがほかのオトコと出かけると、焼きもち焼いて尾行したりする。
あげくに見張ってるトコを近所の子ども(9歳)に見とがめられ、
「素直な気持ちを伝えたら」とアドバイスされてみたり…。
こういうの、ともすれば鼻白む場面なんだが、
パールマンの演技力がそのテイストをきっちり活かしてくれる。
ちょい役まで含めたサブキャラの屈折ぶりもよかったし。
特にFBIの面々は、かなりイケてるアホばっかりで、かなり楽しめた。


そうそう、特撮&アクションだった。この映画のメイン・コンテンツ。
ヘルボーイの重量感あふれるアクションは◎。
でも、ワイヤーアクションは、かなり甘い。少し興醒めした面も…。
CGは技術的にはかなりすごい。
怪物のデザインなんか、おどろおどろしくて、イケてるし、動きに違和感とか全然ない。
たぶん、自然すぎてすごさが伝わってこない部分もあるんだろうと思う。
ただ、一方で目新しさが感じられないのも事実だ。
目を見張るような映像がない、というのはやはり痛い。
一場面でもいいから、強烈なシーンを作って欲しかった。


あとは時間かな。2時間12分。やはりアクションにしては長い。
作品の持つ世界観とか、背景説明とかに時間を使わざるを得ないのは理解できる。
冗長にはなってないし、退屈はしなかったけど、長い。
面白くても、見終わって疲れてしまうのでは、アクションとしてどうなんだろ。
しかし、削るとたぶんこの映画、味も素っ気もなくなるだろうし…
こうして書いてるとつくづく、創る側の大変さ、というのが伝わってくる。
無責任に批評しているのが、一番だな、とあらためて実感する。
いや、創る側に回れる才能があれば、別なんだけどね。


ちなみに2006年に続編製作決定。キャスト同じ。
観るかって? そりゃ観ますよ、もちろん♪