ファストフードやめますか、それとも…

近く日本でも公開らしいです

昨晩は夜更かしDVD「スーパーサイズ・ミー」。ASIN:B0002OXVBO
マクドナルドの食事だけで30日間過ごすと、どうなるか。
以前のblogでもちょっと取り上げたことがある、人体実験ドキュメンタリーだ。
http://d.hatena.ne.jp/mike-cat/20040904
オフィシャル・サイトはこちら http://www.supersizeme.com/
映画ライターの町山智浩氏のblogはこちら
http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20040513
映画は近々公開らしい、です。ホントにだいじょぶかな…


マクドナルドだけの食事がどれだけ危険か、警告しなかったことに対し、
異常なほどの肥満となったティーンエイジャー姉妹らがマクドナルドを訴えた訴訟をヒントに
映画作家モーガン・スパーロックが自ら人体実験に挑む。
ルールは6つ
#1 スーパーサイズを勧められたら断らない
#2 水も含めて、食品はすべてマクドナルドで購入
#3 マクドナルドのすべてのメニューを食べる
#4 例外なく3食必ず食べる
#5 残さず食べる
#6 平均的アメリカ人同様、一日2000歩以上歩かない


アメリカのファストフードのサイズは本当にすごい。
途中取材を受けたフランス人女性が「フランスのLが、アメリカのSなのよ」と話す。
確かにそうだった。日本とはもともとサイズの基準すら違うのだ。
大は小を兼ねる、といわんばかりに、たくさん頼んで残す、のが当然のアメリカといっても、
やはり、その量に対するセンスは想像を絶するモノがある。


ちなみにスーパーサイズの容器は、
ポテトもドリンクもちょっとしたバケツの大きさ。
映画中で容器を並べて見せられる。ビジュアルで見せられると、その大きさに愕然とする。
モーガンもスーパーサイズを実際手にすると「shit」連発でバカ笑い。
「見てくれよ、このポテト」。そう、冗談の領域にまで達している。
しかし、その量を平らげるのはむしろ苦行の領域に達する。
「ワークアウトみたいだ」とモーガン
5分で嫌気がさし、10分でいやーな感じで汗が吹き出す。
15分でもう上向いてぐったり、22分で吐き出してしまう。映すなよ、ゲロを…


ここらへんはまだお笑いで済むが、日にちが経つに連れて、
その危険度は見た目にもはっきり表れるようになる。
スリムな体型だったモーガンの体にはぜい肉が目立ち始め、
ほんの1週間ほどで胸に違和感を覚え始める。
体重は約15キロ、体脂肪率は10パーセント以上増加、
コレステロール値も230とかになっていた。かなり危険な数値らしい。
肝臓は当然脂肪肝。あっちの方は、役に立たなくなる。
実験に協力した医師も、かなり真剣に危険性を訴えている。
多少極端な実験であることを差し引いても、その恐ろしさは真に迫ってくる。
実験終了後に樽に入った大量の砂糖が出てくる。
一カ月分のマクドナルドの食事に含まれていた砂糖だ。
糖尿病になって当たり前だ。死んじゃうよ。


恐ろしいのは、それだけではない。
最初ゲロを吐いていたモーガンが、マックなしでは逆にストレスを感じ出す様子。
あっという間に胃拡張が進み、そのとんでもない量をこなし始める様子。
学校の現場などで、十分な教育もされず、子供たちがファストフードにぱくつく様子。
大量のCM攻勢と、おまけつきキッズミール、店舗併設のキッズパークで
子供をファストフード好きに仕立てていく様子。
特に子どもへの刷り込みは、ほとんどちょっとしたホラーだ。
作品中、子どもたちへのインタビューの様子が映し出される。
「キリスト」「ジョージ・ワシントン」の顔がわからない幼児たちが、
ただひとつ、笑顔を浮かべて言い当てるのが、例の赤ピエロ「ドナルド」だ。


映画は同時に、マクドナルドの企業姿勢も糾弾する。
まるでフランケンシュタインのように、クズ肉をナゲットに仕立てる工程。
危険度が数字で示されている成分表を、隠し続ける店舗。
モーガンの取材申請を、のらりくらりとかわす、不誠実な対応。
消費者の健康など関係なし、株価、株主の利益を最優先にしたやり口。
批判を受けると、見た目だけヘルシーなメニューで批判の矛先をかわす戦法。
こういった、ファストフード産業の杜撰さと悪どさを描き出した本に、
エリック・シュローサー「ファストフードが世界を食いつくす」ファストフードが世界を食いつくすimage
があるが、本当にゾッとする。ただただ、目を疑う、という感じだ。
スーパーサイズ・ミー」のサブテキストには最適だ。
犯罪的、ともいえるファストフード産業の姿が、暴き出される。


企業だけを責めるのは酷かも知れないが、
作品中繰り返し映し出される、世界最肥満国、アメリカの誇る、
病的デブさんたちを見ていると、これは何なんだろうか、と頭の中がパニックに陥る。
ダイエットが叫ばれる中、もう、最終兵器は脂肪吸引ですらない。
胃の縮小手術だ。そりゃ、食べる量減るよな。袋小さくしちゃうんだもの。
本当にアメリカ人ってすごい。ここらへんの外科手術に関する思想にも感心する。
何しろ、今は豊胸手術だけじゃなくて、減胸手術もあるらしいから。
それは牛乳へのホルモン添加が原因らしいけど。
http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20040619
モーガンは、この実験を通して、さまざまなアメリカの病巣をえぐり出しているのだ。


コミカルなCGやアニメーションを多用しているので、
ビジュアル的にも、より効果的にその主張が伝わってくる。
けっこう、超肥満ドナルドちゃん、キモかわいーし♪
そういう意味でも、よくできた映画だ。
「食生活、すこし考え直そうよ。あなたが行きたいのは病院? それとも墓場?」。
映画撮影後、モーガンの体重がもとに戻るのに、1年以上の時間を要したという。
まさに「ファストフードやめますか、人間やめますか」の世界だ。
あっ、訴えないで下さい。あくまで個人的な感想。
でも、もう、恐くてファストフード食べられないかも…
とかまで書いておきながら、忘れっぽいから、たぶん、すぐに食べるんだろうな。
モスとか、フレッシュネスなら好きだからな…、せめて、月に2、3回にしようっと。