またもやシネプレックス幕張で、M・ナイト・シャマラン「ヴィレッジ」。

ホアキンももちろんいいっす♪

ネット予告で観て以来、待ち望んでた最新作だ。
早く観たかった。とにかく、巷に〝情報〟があふれ出す前に。
シックス・センス」(sixthをシックスにしちゃう日本人英語イヤだけど、邦題だから、ね)
からこっち、大仕掛けなカラクリで、
観客を「あっ」と言わせる(時に「おいおい…」もあるけど、)シャマランだけに、
メディアでの特集とかで、情報が入ってしまうのは避けたかった。


にも関わらず、そのカラクリ、ネタバレ予告のない、
それどころか「ヴィレッジ」のことを書いてあるとも書いていないトコで、
ばらされてしまったのだ。すんごい悔しい。
しかし、「シャマランの映画はカラクリだけじゃない」。思い直し、
この日に臨んだ。って書くとかなりオーバーだな。ジャロに言いつけてやる。


で、観た。よかった、すごくよかった、強烈に、っていってもいい。
ラクリ知ってたって、全然(とまではいかないが…)だいじょうぶだった。
舞台は、禁断の森に閉ざされた、小さなヴィレッジ。
禁断の森に住む「口に出してはいけないもの」と、お互いの領域に踏み込まないことで、
共存共栄してきた村人たちだが、ある日を境に「口に出しては〜」が、
村に暗い影を落とし始める。
これ以上あらすじ書けない、というか書かない方が、マナーなんで、このくらいにしとくが、
その禁断の森に踏み込まざるを得なくなる、ヒロイン、アイヴィーを演じる、
ブライス・ダラス・ハワードがいい。すごくいい、強烈に、っていってもいい。
ん、この表現どこかで読んだ気がするけど、いいとしよう。


その瞳、くちびる、凛とした表情。強く、真っすぐに生きるそのキャラクターが、
たぶん、この映画のパワーの、最大の源だと思う。
もちろん、そのパワーは、愛する人ホアキン・フェニックス演じるルシアスのためなんだが、
この二人が恋に落ちていく描写も、すごくロマンチックだ。
映画の中では、いくつかの愛の形が描かれるが、
どれも、非常に印象的な形で描かれている。
加えて、
一つ一つのシーンがもたらす効果を計算し尽くした、シャマランならではの絶妙の演出。
思わず見入ってしまう撮影監督、
ロジャー・ディーキンスコーエン兄弟の作品の常連)ならではの絶妙の映像。
エゴを出さず、抑えた演技に徹した、ウィリアム・ハートらベテラン勢の絶妙の演技。
まさに、映画ならでは、の醍醐味を味わった、という気分だった。


もちろん、サプライズだけを求めて観に行けば、
どう感じるかは人によって違うとも思うけど、とは一応書いとこ。
しかし、カラクリのどうこうにだけ目をやらず、
画面に出てくる風景や、村人たちの家の中の様子など、目を凝らしてみていると、
パッと見以上のストーリーの膨らみを、感じさせてくれるはずだ、と思う。
まあ、そこらへんは騙されたと思って。どうせ、シャマランに騙されに行くんだから。


これ以上書いてると、ネタバレしそうだから、
で、ブライス・ダラス・ハワードに戻る。
こんなに素敵な女優なのに、これまであまり記憶にない。
調べてみると、やっぱりキャリアほとんどなしの23歳らしい。
「アポロ13」「グリンチ」に端役で出てるみたいだけど。
次回作はラース・フォン・トリアーの「Manderlay」の主役。やっぱ、注目株なんだろうか。
30年代のアメリカ南部の奴隷の話だとか。ひー、重たい。
でも、彼女が出るなら、楽しみだ。
ドッグヴィル」のニコール・キッドマンとかみたいに、いじめられないといいけど。


その他もろもろ、その2。
前述したロジャー・ディーキンスは、シャマランと初顔合わせ。
今回の作品からすると、かなり相性はいいと見た。今後楽しみだ。
ディーキンスはコーエン兄弟の「バートン・フィンク」以降、
「ファーゴ」「バーバー」など、すべての作品で撮影担当のすご腕。
バートン・フィンク [DVD] ファーゴ [DVD]  バーバー ― DTSスペシャルエディション [DVD]
加えて、僕の個人的生涯ベスト「ショーシャンクの空に」。あっ「デッドマン・ウォーキング」もだ。
ショーシャンクの空に [DVD] デッドマン・ウォーキング [DVD]
とにかく、光と影のコントラストが、ものすごくきれい。「バーバー」とかほんとすごい。
上からの俯瞰映像とか、本当にうっとりしてしまうくらい。
ちなみに「ショーシャンク〜」だと、最初刑務所の門上空をグーッとなめ回し、
外の世界から、刑務所の世界に移っていくシーンは、すごく好き。
映画の撮影技術の話と言えば、桐野夏生「光源」が面白かった。光源 (文春文庫)
タルコフスキーの言葉「映画は光の彫刻だ」を取り上げ、
「光で書く」「光で形作る」ための自分の光源を探す。
映画と光について、色々考えさせられる小説だった。
でも、背表紙には「世にも身勝手な奴らの逆プロジェクトX」とある。
その通り、ストーリーは全然美しくないので、読む際はそのつもりで。


そうそう、恒例のシャマラン出演シーン。
ペンシルバニアの閉ざされた村なんで、インド系がどうやって出るんだろ、と
思っていたら、ちゃっかりやらかしてくれた。
完全に役になってた「サイン」とは違う、ワルノリ炸裂。
何で「シックス・センス」「アンブレイカブル」くらいで我慢できないんだろか。
思わず、苦笑してしまった。ま、面白いからいいんだけど。


長くなったので、強引にまとめる。
ことしのベストか、といわれると微妙だけど、年に10本ない、必見の映画だ。
雑誌とかテレビの特集を一切見ず、ヘンな期待もし過ぎず、ただただ観るべし、だ。
あしたのために、その3くらいだろうか。
この言い回し、「あしたのジョー」ファンしかわからないかな…