予想外の〝悪魔の背骨〟

アメリカ版DVDもホラー売りだな…

池袋シネマサンシャインで「デビルズ・バックボーン」。
何で、池袋? だって、ろくな劇場でやってないんですもの。
って、別に言い訳しなくてもいいんだが。


〝ヨーロッパ最恐の怨霊ホラー〟だ。
こわいぞ。悪魔の背骨がボキボキ音を立てながら、襲いかかってくる。
気付くと自分の背骨も、悪魔の背骨になってしまうのだ。


全部ウソ♪
というか、基本的にホラーのカテゴリーに入る映画ですらない。
ゴーストは出るが、ちょいとホラー版「スタンド・バイ・ミー」という感じだ。
正直、最恐ホラーと信じて観に行ったから、かなり肩透かしをくらった。


スタッフ&キャストは悪くない。
トーク・トゥ・ハー」のペドロ・アルモドバルが製作。
監督は「ミミック」のギレルモ・デル・トロだし、
「オープン・ユア・アイズ」(トムクルの「バニラ・スカイ」の元ネタですな)
エドゥアルド・ノリエガも出てる。


舞台は内戦下のスペイン。砂漠の中の孤児院だ。
両親を失った少年が、新たに孤児院に預けられる。
庭に突き刺さったままの不発弾、怪しい影、新参者への洗礼…
そして、その孤児院には恐るべき秘密があった。
以上、これが本当のプロット。悪魔の背骨は出てくるが、
いまいち説明がわかりにくい。
もしかしたら、僕が文学的な意味を理解できなかっただけかもしれないが(笑)
映画の中心に横たわるのは、恐怖というより、
むしろ少年期に抱える不安、の感が強い。
それを乗り越え、事件を解決して行く中で、
少年たちが成長する姿を描いた作品というのが正確なトコだろう。


スペインのホラーといえば、
「オープン・ユア・アイズ」「アザーズ」(これはハリウッド資本だが)の
アレハンドロ・アメナバルや、オープン・ユア・アイズ [DVD] アザーズ [DVD]
「ネイムレス 無名恐怖」ASIN:B00006GJBM
「ダークネス」ダークネス [DVD]のジャウマ・バラゲロと、
独特のテイストが魅力。今回もその視点で見れば、そんなに悪くない。
まあ、デル・トロはメキシコ人なんで、微妙な面もあるが。


しかし、そう分かってれば、最初からそういうモードで観るのに、
ホラーだと宣伝するから、
「いつ、ドキドキさせてくれるのかな」モードで観てしまった。
結果、序盤は眠かった。ひたすら眠かった。
だって怖くないんだもの。「何だよ、これ」状態だ。
出来としては悪くはなかったと思うが、どうにも乗れない。


よっぽど、ヘンな形した背骨が、きしむような音を立てて襲いかかってくる方が、
キッチュなB級ホラーとして、温かい目で観ることができたのに。
もしくは、もっと少年成長物語、を強調して、
ミニシアター系で上映してくれればよかったのに、とつくづく思う。
配給先のプロモーション方針にまで文句をつけてもしょうがないんだが、
それが何よりの率直な感想だった。