キュアロン効果上々の「アズカバン」

ほんにかわいいねぇ♪

ようやっと「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」を観てきた。
札幌シネマフロンティアat札幌ステーション。
ちょっと気取って書いてみただけ。


唐突だが、
滅多に本を読まず、滅多に映画を観ない人が絶賛する本や映画は、
基本的に敬遠してしまう性質だ。俗にひねくれものとも言うが。
よって、世界のどこかで愛を叫んじゃったり、
寒い季節のソナタを奏でてみたり(これはテレビか…)するのも、
あまり得意ではないのだが、この魔法使いさんも、敬遠していた。
正確に言うと、本はあまりの字の大きさにげんなりしただけなんだが…


いや、「ハリー・ポッター」は賢者の石は観た。
夢があって、いい話だなと思う一方、映画の出来は悪くないな、という程度の印象だった。
ファンの人、ごめんなさい。
でも、「ハリー・ポッター」の話そのものが、そんな程度とは思っていない。
噂によると、原作本は訳があまり…、と聞くが、
映画版「賢者の石」を観ながら、思ったのは、
「やっぱり、クリス・コロンバス(監督)じゃね…」だった。


どうも、このコロンバスとは相性が悪い。
いや「ホーム・アローン」や「9カ月」も悪くはなかったとは思う。
だが、この人の演出なのか、監督作品は全般的に散漫な印象が強い。
あの題材があれば、もっと面白く撮れるんじゃない? そんな疑問が必ず湧くのだ。
「賢者の石」も、面白いシーンが多い割に、
観終わると「やっと終わった…」の感が残った。


ここで、ようやく本題だ。今回、何がどう変わって、どう感じたのか。
「やっぱり、監督はアルフォンソ・キュアロンで正解」だった。
脚本は、ずっとスティーヴ・クローヴスが担当しているので、関係ない。
もちろん、シリーズ第1作の方が不利な面もあるし、
原作そのものの出来が、どちらが上であるのかは、読んでいないので語る資格はない。
でも、やっぱり監督の腕だな、と思うくらい、今回のハリポタは違ったと思う。
あっ、2作目観てないんで、あくまで「賢者の石」との比較。重ねがさねすんません。


あくまで個人的な感想だが、こういうギミックたっぷりのにぎやかな映画は、
センスのある監督にしないと、詰め込みすぎたり、脈絡がなくなったりで、
そのギミックが、ストーリーそのものを膨らますことができなくなる。
その点は「MIB」「ゲット・ショーティ」の
バリー・ソネンフェルドなんてうまいと思うが、
これは異議のある方もいるか、と思うので、このくらいでお茶を濁しておく。
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与えられた脚本を文字通りなぞっていくのではなく、
アングルを変えたり、ちょっと長回ししてみたり、タイミングをずらしてみたり…
そんな細かい工夫を積み重ねていくことで、
ギミックの効果や、感情表現を最大限に生かしていく。
もちろん、撮影監督や、編集者の働きもあろうが、やはり監督のセンスの範疇だろう。


キュアロンは、「天国の口 終わりの楽園」でも「大いなる遺産」でも思ったことだが、
ポイント、ポイントで、観客を場面場面に引きつけるのが非常にうまい監督だと思う。
悲しいかな、これがコロンバスだと、全般に平坦な流れしか作れない。よって散漫。
いや、脚本家、プロデューサーとしての価値については別だと思うので、お間違いなく。
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成長期にあるハリーやハーマイオニーの姿が、
すごく生き生きと描かれているのも、この監督の目線ならでは、だと思う。
「天国の口〜」のガエル・ベルナル・ガルシア、デイエゴ・ルナ、
「大いなる遺産」のイーサン・ホーク
どの俳優も、スクリーンの中で本当に輝いていた。
ちなみにハーマイオニー、本当にかわいくなったのね♪
もう少しすると、ふつうの女のコになってしまいそうで不安でもあるけど…


ことしのベスト10とか、傑作だ、とかいうつもりはないけど、
かなり面白かったと思う。
後半で扱ったやや難しいテーマは、
細かいこと言い出すときりがなくなる種類のものだが、
ここもまずまず自然にまとめてたと思う。そんなに致命的な矛盾はなかったはず。
しかし、何でこの出来で、次回作の監督はマイク・ニューウェルなのか…
イギリス人にさせたかった? キュアロンが固定イメージを嫌った?
単にスケジュール?
それとも、次回作のストーリーに合った監督にしたんだろうか?
ちょっとここらへん疑問だ。


あともう1点思ったこと。豪華キャストは楽しかったが、
本当にこの豪華な顔触れは必要だったのだろうか?
まあ、常連のアラン・リックマンマギー・スミスあたりや、
ルーピン先生=デーヴィッド・シューリスまではよしとしよう。
だが、シリウス・ブラック=ゲイリー・オールドマンや、
トレローニー先生=エマ・トンプソン、あとはティモシー・スポールあたりになると、
無駄に豪華、としか思えない。
俳優それぞれの味や、価値が生かされるほどの役割じゃない気がする。


いや「本人が出たがったから、出した」とかなのかも知れない。
確かオールドマンも何かのインタビューで「子供が喜んだ」とか何とか言ってたし。
特にティモシー・スポール(「秘密と嘘」「ラッキー・ブレイク」」)なんて、
ほかの無名俳優で十分。でしょ?
確かに、あの歯を見たら、そういう使い方もあるのだろうが、
あの名優をあんな風に扱うのは、ちょっと…、ね。
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で、ここまで書いたのは、あくまで映画単独で観た上での、レビュー。
原作のファンの方々の思いは、こんなものでは済まないのだろう。
というか、イメージでき上がっちゃってるだろうし、
必ずしも、好きなエピソードとかが必ず入っているとは限らないし。
つくづく、難しい世界なんだろうな、と、逃げを打ってみる。
だって、原作ファンの人に怒られるのイヤなんですもの。
ちょっと批判しちゃったし。


ところで、気になった点追加。
2作目観てないんで分からないのだが、
僕のハーマイオニーちゃん(違うだろ…)と、ロンくんはお付き合いしてるんだろうか?
何か、微妙にくっついてるし。
だとしたら、さすが僕のハーマイオニーちゃん(だから、違うって…)だ。
オトコ見る目、かなりあるな、と思ったんだが、どうなんだろ。気になる。
というか、気にしてどうなるもんでもないんだが…