荒唐無稽、だけどリアル

恋乃ちゃんは酒井若菜

映画版の予告で、ものすごく気になっていた
恋の門」全5巻を一気読みした。
恋の門 (1) (ビームコミックス) 恋の門 (2) (ビームコミックス) 恋の門 (3) (ビームコミックス)
恋の門 (4) (ビームコミックス) 恋の門 (5) (ビームコミックス)

しかし、読み出す前に気になったこと。
5巻のオビに「ユースケ・サンタマリアも絶賛」…

これ、褒め言葉としてはどうなんだろう。
「あのユースケが!」とかいう人いるとは思えないけど。


それはともかく、として面白かった。
ホント、面白い漫画は数限りない…
と、こんな事書くのも、ここ5年ほど漫画雑誌を読まなくなったのが原因。
大使閣下の料理人」とかを定期的に買うくらいだった。
だから、あまり、旬の漫画が何か知らなかった。
これも〝2001年文化庁メディア芸術祭審査委員推薦作品〟らしい。よく知らんが。
のだめカンタービレ」だって、最近知ったし、これも映画の予告で初めて知った。
ううん、流れについていけてない。
まあ、リアルタイムでぶつ切れに読むより、一気読みできた方がトクかもしれんが…


男の名は蒼木門。石を使って表現する自称・漫画芸術家。
もちろん貧乏まるだし。自分勝手。


女の名は証恋乃。一生コスプレ宣言のOL。
親の代から、筋金入りのオタク。けっこう打算的。


二人の恋は当然、常に嵐が吹きまくる。
何しろ、お互いの気遣いとか献身はたいてい裏目
で、根はどちらも自分のことしか考えていないタイプだから、あっというまにぶつかる。
ぶつかりあいは凄惨を極めるんだが、この描写が笑える。
もちろん、目を覆うシーンが多いことも、否めないけど。
ただ、感情を含めた、その描写のリアルさは秀逸だ。
(もちろん、極端にデフォルメはされてるが…)。
荒唐無稽なストーリーだが、そのドラマは本物だ。


まあ、どうしようもない漫画芸術家に、オタクOLとはいえ、
かわいい女のコが惚れちゃうんだから、そこらへんはやっぱりフィクションの世界だとは思う。
でも、恋乃ちゃんの腹黒さというか、利己的な面が、
女性不信の視点からではなく描かれているのは、いわゆる並の青年漫画と違うところだ。
けっこう訳わかんないトコも多々ある恋乃ちゃんが、
すごくキュートに(絵柄ではなく)描かれている。


映画版では門=松田龍平、恋乃=酒井若菜
酒井若菜の演技力ってよくわからないが、
何か雰囲気的には通じるものがあるような気がする。
松田龍平も、これまでの印象では(ちゃんと映画観てないから、あくまで印象)
素材と、拗ねた表情だけで勝負できる役柄ばかり演じていたように見えるから、
このアホ&ヨゴレ役は、けっこう面白いかもしれない。