ベルトルッチは前戯をしない…

mike-cat2004-08-12

お下劣な書き出しになったが、
ベルナルド・ベルトルッチ監督の「ドリーマーズ」を観てきた。


ラストタンゴ・イン・パリ」での、マーロン・ブランドもそうだったのだが、
どうにも、この監督の描く、〝そのシーン〟に納得いかない。
理由はタイトルにも書いた通り。フォアプレイ(フェアじゃなく…)というやつがない。
いきなり、そのことそのものの行為に…
うーん、状況によっては、時にそういうケースがあってもいいと思うが、何かなぁ。
何か、オトコの視線でだけ描いているみたいで、ちょっと嫌悪感。


まあ、それはともかく、だ。映画の本題はまったく違う。
1968年、5月革命に揺れるパリ、ヌーベルヴァーグを産み出した、
いわゆる名画座(微妙に違うかな…)シネマテークで出逢った、
パリの双子姉弟アメリカ人留学生が、デカダンな恋におぼれていく。


予告観て、「これは観ないといかん」と確信したんだが、
実際観てみると、そこまでよかった、とは思わなかった。
まあ、ベルトルッチは最近リバイバルされた「ラストタンゴ〜」に、
ラストエンペラー」「リトル・ブッダ」ぐらいしか観てないので、
思い入れ度が足りないのだろう。


オマージュされている、古典の名画にも、ほとんど縁がない。
双子の姉、イザベルが生まれた場所を尋ねられ
「1959年、シャンゼリゼ。生まれて第一声は〝NYヘラルド・トリビューン〟」
と、「勝手にしやがれ」をなぞってみせる。
これが全編に散りばめてあるから、古典嫌いにはちときつい。


よくある、フランス人とアメリカ人の対比的なものも、時間を割いて描かれるが、
これがあまり響いてこない。
ナオミ・ワッツケイト・ハドソンのコメディ「ル・ディボース」の方が、
はるかに興味を惹かれる描写だった。


もちろん、デカダンな雰囲気や、映像センスはすごくいいのだから、
映画そのものにパワーがないということなんだろう、と勝手に納得。
まあ、観客を選ぶ作品で、それなりの教養がないとね、
という言い分もあるだろうけど、
本当にいい作品は、教養とかにあんまり左右されないはずだからなぁ…


アメリカ人留学生を演じたマイケル・ピットは、悪くなかったと思う。
ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」よりも、
少しすっきりしたシェイプになって、いい雰囲気になってきた。
(〝Murder By Numbers〟邦題「完全犯罪クラブ」は、ちょっと路線別だったが…)
あのぽってり唇も、一つ間違えば「ホーム・アローンマコーレー・カルキンだから、
いまが正念場かもしれない。今後に注目、する気もあまりないが。


そういえば、の補足。
きょうの予告で観た、「恋の門」がえらく面白そう。
松尾スズキ初監督、というのは別にいいのだが、
自称漫画家の蒼木門役、松田龍平がえらく吹っ切れた感じに見えたし、
コスプレOLの証恋乃役、酒井若菜はもともと好き。
たぶん、そこら中から「ウソつけ」といわれそうだが、顔が好きなもんで。
予告からにじみ出る、バカバカしいムードが、えらく印象的だった。
思わず、原作コミック、アマゾンにて購入…


レディ・ジョーカー」の予告は以前から疑問に感じていた点が、また強まる。
何で、あのじいさん役が渡哲也なのか…
あれじゃ、あの小説の雰囲気出ないと思うんだが。
まあ、小説をもとに、新しい作品世界を作るならともかく、
「小説にほれ込んだ男たちが結集」とかいってたからな。
渡哲也も惚れ込んでるなら、変な二枚目の意地とか捨てて、
もっと不細工メイクして出ればいいのに。
アメリカじゃ、ハリー・ベリーも、シャーリーズ・セロンも、
ブスメイクでアカデミー主演女優賞取る時代。
別にキャリアのマイナスにはならないはず。思い切ってやって欲しかった。
かといって、女優さんとかみんながブスメイクをし始めたら困るが…