リチャード・ホーン「死ぬまでにしたい101のアラ技」

mike-cat2005-07-30



暑さでアタマがちょいとボケ気味。
気分転換がわりに、バカ本に手を出してみる。
サラ・ポーリー主演の「死ぬまでにしたい10のこと [DVD]」は、
切なくて泣ける、とってもいい映画だったけど、こちらはバカひと筋。
「(サメ、クジラ、イルカなどなどと)一緒に泳いでみよう」とか、
「警察の面通しの列に並ぼう」とか、
「日付変更線をまたごう」とか、
「3人プレーを楽しもう」(もちろん、ナニですな)とか、
何でもいいからやってみたいことを、とりあえず101並べてみた、というリストだ。


ただ〝アラ技〟というのはちょいと微妙な意訳。
原題は〝101 Things To Do Before You Die〟
実際、内容を眺めてみても、
「懺悔しよう」とか「あなたの遺伝子を残そう」とか、
決して荒技でもなんでもないこともリストアップされている。
ついでに、
「賞をもらおう」とか「映画のプレミアに出席しよう」とか、
そりゃ、できればしたいけどね、という無理系もちらほら…
荒技、というより、素直に〝夢〟みたいな感じかもしれない。


それだけだと、別にたいしたことはないのだけれど、
この本、そのまんま携帯用の達成簿として使えるような、洒落のきいた構成が出色だ。
たとえば、リストの1番目「ベストセラーを書こう」。
けっこういいかげんなアドバイスとともに、
これから書くはずの本の題名やジャンル・内容、
執筆年数に前払い金(そんなのもらえるわけないだろ!)に、
出版記念パーティーや書評記事、ベストセラーリストに載ったかなどのチェックリストが付く。
至れり尽くせりというか、あくまで本気でジョークをやり遂げようという、
ある意味粋が感じられる。


ちなみにページの左下には「出版されたら…」の項目も。
家族や友人に買わせよう、とか、結末は続編への含みを持たせよう、とか、
こちらもお節介というか、実用的なアドバイスつきだ。
ついでに右下には、これと同時に実行できる項目として
「賞をもらおう」「全国紙の一面に載ろう」「このリストの全項目を実行できるお金を手にしよう」。
なかなか、本の中に有機的なシナプスが張りめぐらされたツクリになっている。


笑えたのは「素手で魚を捕らえよう」の項目の補足。
「そのほかに捕まえたい生きもの」として、
牛を投げ縄で捕まえる、チョウを網で捕まえる、脱走したハムスターを捕まえる、
獣医に連れて行く猫を捕まえる、ハエを箸で捕まえる…
猫は大変ですぜ、お客さん。
あのヒトたちは、雰囲気を察して逃げ回るだけじゃない。
たとえ捕まえても、後ろ肢でカゴに仁王立ちし、踏ん張ったりする。
で、カゴに入れたら入れたで、「殺される〜」みたいな悲鳴でこちらに赤っ恥をかかせる。
「ハエを箸で〜」というのも宮本武蔵? この作者なかなか侮れない。


「無意味なコレクションを所有しよう」もなかなかよかった。
サラ・イネスの「大阪豆ゴハン」だったと思うが、
ホテルの〝Don't disturb〟をパチってコレクションするやつを思い出した。
離婚のゴタゴタで捨てられ、それも訴訟内容に含めようとして、
弁護士に却下されてたんだが、まあ、本人にとっての宝物はひとぞれぞれだ。
で、補足事項で無意味なコレクションの例が挙げてある。
飛行機の座席にある〝安全のしおり〟、冷蔵庫用マグネット、名作の贋物、スノードーム、
ビールの栓、模型飛行機、切手、テレホンカード、キーホルダー、花壇用の小人像
かなりの巨大市場まで形成しているものが、ちらほらと混じる。
ケンカ売ってるなぁ、と思わず苦笑してしまう。


「賞をもらおう」の項目には、とんでもない賞も紹介されていた。
毎年、不注意からもっともあほらしい死に方をした人に贈られる〝ダーウィン賞〟だ。
何でダーウィンかというと、
愚かさによって人類の自然淘汰に貢献したことを讃えているからだそう。
webまであった。http://www.darwinawards.com/
サマータイムのときに設定した時限爆弾を、
 スタンダードタイムに切り替わったあと運んだために爆死したテロリスト」とか、
ベンガル虎の首に花輪をかけた人々」とか、
「バーに持ち込んだ地雷を順番に踏みつけたカンボジア人の男たち」とか
「夫婦喧嘩の最中、妻を6階の窓から放り投げたものの、
 彼女が途中で電線にひっかかっているのに気づいて、
 〝彼女を完全に落とそうと思ったのか、はたまた後悔して助けようと思ったのか〟
 窓から飛び降りたブエノスアイレスの男。
 結果、男はぺしゃんこにつぶれ、妻は無傷のまま助かった。 」とか…
さすがに、このダーウィン賞はもらわないように、と注意書きされてる。当たり前か。
こんど「ダーウィン賞!―究極におろかな人たちが人類を進化させる」も買わなきゃ♪


オトコの欲望、ナニがらみは意外と少ない。
「3人プレーをしよう」とか、
カーマスートラを学んで実践しよう」とか、
「マイルハイクラブに入ろう」(上空でナニする、の意)とか、意外とおとなしめ。
「冒険的なセックスをしよう」も意外とふつう。
浜辺で、職場で、公園で、階段で、映画館で…
いや、僕はしたことないけど、やってる人は意外といるんじゃないのかな、と。
するべきでない相手と、というのも、皆さんフツーにお好きだろうし(僕はしないよ)。


実現可能かどうかを別とすれば、オトコの夢はまあ、単純に酒池肉林。
もっと踏み込んで、もし透明人間になれたら、というやつなら、
映画「インビジブルインビジブル コレクターズ・エディション [DVD]で、
監督・ポール・バーホーベン&主演ケビン・ベーコンが、
そのまんまのコトをやってのけてるので、いまさら語る必要もないだろう。
何かって? のぞきとイタズラ。ああ、オトコって…


そんなこんなだけど、まあたまにはこういう本も面白い、というヘンな本。
日本人が作るともうちょっと俗っぽくなるのだろうけど、
ジョーク大好きイギリス人に作らせると、こういうウィットの利いたツクリになる。
実際のリストを使う気にはならないけど、たまには想像の世界で♪ ね。
えっ、僕の夢? いや、ちょっとここでは…

思わず脱力、何じゃこりゃ系ねこマンガ

きょうの猫村さん 1
ほしよりこきょうの猫村さん 1


何ですかね、これは…
新聞の書評でたまたま見かけ、ネットで取り寄せてみたのだが、何ともいえない感触。
まずはこのへなちょこ絵に、思わず脱力する。
やる気ない。それもうちのネコなみに…
ま、ある意味ネコの本質をとらえている絵でもあるな、と感心もする。

しかし、読んでみるとこの主人公「猫村ねこ」はおよそ猫らしくない。
この猫村さん、何と家政婦なのだ。
かつて飼われていた家では、ぼうやのお守りをしていたらしい。
料理に洗濯、おそうじにいたるまで(いいなあ…)、
坊ちゃんの世話をしていたため、家事労働スキルはなぜかプロなみ。
この役に立つネコ、ってネコとしてどうかな、と思ったりする。
ただ、役立たずこそ、ネコのネコたる由縁というか、
何の役にも立たないからこそ、ネコのよさ、という気もするので、
何だか違和感を感じずにはいられない。


で、猫村さん
坊ちゃんの両親の離婚がきっかけで、
坊ちゃんは海外へ移住することになり、その家を去ることとなった。
いまは家政婦事務所に登録し、お金持ちの犬神家へ家政婦に出向く毎日。
で、この猫村さん、猫のクセにやたらとおせっかい。
長女の中学生オニコちゃんがぐれちゃった犬神家の家庭崩壊を黙って見てられない。
家政婦は見た!」よろしく、オニコちゃんに積極的に関わっていく。
興味津々、というあたりはいかにも猫らしいんだが、
猫、ふつう努力はしないぞ、と思わず突っ込みたくなる。


端的に言うと、ビジュアルこそネコの猫村さんだが、中身は単なるオバさんだったりする。
市原悦子ほど鬱陶しくないけど、かなり微妙な存在かも。
これが人間だったら、と考えて行動をいちいち検証していくと、かなりウザい。
それでも、そういうよぶんなことを考えずに、素直にだらだら読めば、
たまにネコらしい行動が描かれたりして、何となく脱力はしてしまう。
それなりにほのぼのとはしてるし、まあ悪くはない。
面白いか、といわれると1200円とか出して買ってまで…、の感はややアリ。


この〝きょうの猫村さん〟。
実はケーブルインターネットのサイトで、一日一コマ更新らしい。
ううん、それもかなり微妙だな。毎日チェックするの、超ウザい。
しかし、何となく気になる感覚は理解できるだけに、
ひと言では斬り捨てられない不思議な感じもしたりする。
とりあえず、「きょうの猫村さん2」を買うのか、買わないか…。
それもかなり微妙な感じだな、と思うのだった。