Regal Cinemas Rancho Stadium 16で「紀元前1万年」
“誰も見たことのない世界は、「過去」にあった。”
日本ではGW公開の、マンモスが登場する紀元前アクション。
監督は「ID4」、「デイ・アフター・トゥモロー」の、
ローランド・エメリッヒ。製作・脚本も兼任している。
主演には新鋭スティーヴン・ストレイトを大抜擢、
共演は「ストレンジャー・コール」のカミーラ・ベル。
時代はマンモスが闊歩する紀元前10000年前の世界。
幼い頃に家族を捨てた父のおかげで部族で孤立する、
若きハンター、デレエはマンモス狩りでの功績を認められ、
伝統の「ホワイト・スピアー」と、憧れの幼馴染みエヴォレットを射止める。
だがある日、村は謎の部族の襲撃を受け、エヴォレットはさらわれてしまう。
エヴォレットを取り戻すため、遙かな旅に出たデレエが見たものは…
まあ、エメリッヒと聞いただけで顔をしかめる映画ファンも少なくないだろう。
時代考証だの、ストーリー上の整合性だの、そんなものには興味なし。
ドカンとやって、ボボーンと弾けさせて、ウワーッとラストになだれ込む。
まさしく、悪い方の映画職人といってもいいエメリッヒだが、
この作品でもばっちりとそのテイストを味わうことができる。
とにかく勢いだけで押し進む109分の、
最大にしてほぼ唯一といっていい見どころはマンモスだ。
サーベルタイガーやモアらしき怪鳥のCGの雑さとは、別の映画を観ているかと思うほど、精巧に描かれる。
序盤のマンモス狩りは、狩りそのもののリアルさはともかく、
迫力という点だけにおいては、一見の価値はある映像に仕上がっている。
子どもの頃に、家族を捨てた父がらみのエピソードは、
まあまあうまくストーリーの横軸として機能はするのだが、
何せ脚本そのものが雑としか思えない進行ぶりで、退屈な時間はやや多め。
各紙誌やネット批評で、散々の評価を受けている理由はよくわかる。
いっそのこと、半端な時代考証とかは完全に無視して、
あの「恐竜100万年」
みたいな無邪気さで、
マンモスだ! モアだ、サーベルタイガーだ! とやれば、もっと楽しめたはずだと思う。
何はともあれ、エメリッヒの雑さが悪い方向に発揮された作品。
マンモス目当て以外では、正直あまりお勧めはできないかもしれない。