新宿バルト9で「マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋」

mike-cat2008-02-21



“ようこそ、誰も見たことのない
 世界初の映像ワンダーランドへ!”
「レオン」、そして「スター・ウォーズ」のアミダラ姫ことナタリー・ポートマン
「レインマン」の名優ダスティン・ホフマン主演の、
魔法のおもちゃ屋を舞台にした、ファンタジー・コメディ。
監督・脚本は「主人公は僕だった」で脚本を手がけたザック・ヘルム。


創業113年を誇る老舗「マゴリアムさんの百貨店」は、
不思議な魔法が散りばめられた、夢あふれるおもちゃ屋さん。
支配人のモリー=ポートマンは、かつて注目を浴びた天才ピアニスト。
しかし、作曲で苦しみ、悶々とした日々を送っていた。
そんなモリーに、自称243歳のマゴリアムおじさん=ホフマンがある日、
自分のおもちゃ屋さんを譲り受けたい、と申し出る。
魔法も使えないモリーは驚き、“店”も落ち込み、黒々と荒んでいく…


TVゲームと、キャラクター商品に支配されたおもちゃ屋さんではなく、
昔ながらの“おもちゃ”が生き生きと散りばめられた、古き良きおもちゃ屋さん。
そこにマゴリアムおじさんの魔法が…、とくれば、
予告でも観せられた映像のワンダーランドが展開されるものと思う。
しかし、意外とこの映画、ワクワクしない。
懐かしさは感じるものの、そうした驚きにはさほど満ちていない。


脚本の影響もあるのだろう。
語り部のピアニスト、モリーは始めからおもちゃ屋さんの支配人。
ふつうなら、このモリーが入店し、
おじさんに店を案内される、という流れの中で、
不思議な魔法が次々と披露されていくはずなのだが、
そこをちょっとひねったばかりに、魔法の披露のタイミングがどうにも間が悪い。
会計士として登場する「キングダム/見えざる敵」ジェイソン・ベイトマンが、
その不思議な魔法を目にするかと思いきや、こちらは夢のないオトナ。
だから、映画の一番のウリでもある、不思議な魔法があまり強調されない。


モリーが伸び悩むピアニストだったり、友達のいない少年が登場したり、
会計士とモリーの淡いロマンスがあったり、
と盛りだくさんのストーリーにしてしまったのも、問題だろう。
わずか94分の尺に、これだけ盛り込んでは焦点がまとまらない。
マゴリアムおじさんが、旅立つまでの展開も引っ張りすぎなせいか、
ラストのあたりの中途半端なまとめっぷりが、観る者を戸惑わせる。


だから、色褪せ、誇りにまみれたおもちゃたちが、
色鮮やかに、生き生きと動き出すシーンが、あまり感動を呼び起こさない。
「レオン」の頃から、どうにも喜ぶ演技には問題のあった、
ナタリー・ポートマンのはしゃぎ顔の痛さも手伝って、何だか白けるのだ。


このテのこども映画にうるさいことを…、という意見もあるだろう。
いや、こども映画だからこそ、単純なストーリーだからこそ、
シンプルな感動を大事に、丁寧に創って欲しいな、と思うのだ。
いろいろ盛り込んで、面白くしようと言う意図を悪くいいたくないが、
この作品に限っては、その意欲がかえって逆効果になったと思う。