シネマート心斎橋で「鉄板英雄伝説」

mike-cat2007-07-09



〝超大作の英雄たちが贈る
 全米オープニング第1位の爆笑パロディ映画!〟
「最終絶叫計画」の脚本家ら製作チームが、
恋愛映画を徹底的なパロディに仕立てた
「最‘愛’絶叫計画」(DATE MOVIE) に続いて、
最近の大作映画をパロディに仕立て上げた、コメディ映画。


取り上げられた映画は、誰もが知っている、あの作品やこの作品。
ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女」をベースに、
チャーリーとチョコレート工場」と「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズ、
ハリー・ポッター」シリーズに「X−MEN」シリーズ、
ダヴィンチ・コード」「スネーク・フライト」「ナチョ・リブレ」「ボラット
スーパーマン・リターンズ」「もしも昨日が選べたら」「MI:Ⅲ」…
ひたすら脱力するような、ベタなパロディとギャグを散りばめた92分間だ。


ルーブル美術館の館長を務める祖父を、謎の〝白い男〟に殺されたナンシー、
ナミビアに向かう飛行機がヘビに占拠され、飛行機から投げ出されたスーザン、
ミュータント学園で仲間外れにされる、憶病者のピーター、
メキシコの修道院での、みじめな毎日にうんざりしていたエドワード。
お互いの存在すら知らなかった4人の孤児たちが、
ウィリーのチョコレート工場へのゴールデンチケットを手にしたことで、偶然出会う。
しかし、4人が訪れたチョコレート工場には、とんでもない秘密が…
ウィリーの魔の手を逃れようとした4人は、
衣装だんすの中に隠された秘密の国、ナルニアへと迷い込む―


こうやってあらすじを書いてはみたが、
基本的には「でも、そんなの関係ねぇ、でも、そんなの関係ねぇ」の世界である。
次々と繰り出されるパロディやギャグは、ほとんど何のつながりもない。
それどころか、何のひねりもなく、ほとんど工夫すらない、駄ギャグの連続。
とんでもないギャグ同士で、何のつじつま合わせもしないまま、
まさにくっだらないパロディが、延々と続く、いわゆる〝低偏差値〟映画である。


しかし、継続は力なり、とはよくいったものである。
最初、あまりのくだらなさに唖然としていたはずが、
次第にそのユルい笑いに取り込まれ、何だかおかしくなってくる。
冷静に考えれば、別にどうということもないのだが、そのユルさが味になるのだ。


このテの映画というと、元祖に当たるウェイアンズ兄弟の「最終絶叫計画」以降、
シリーズはデヴィッド・ザッカー「裸の銃(ガン)を持つ男 」)らZAZに受け継がれたり、
ジェイソン・フリードバーグらによる「最‘愛’絶叫計画」が立ち上げられたり、と、
なかなか賑やかに製作されているが、テイストは基本的に変わらない。
ただ、「最終絶叫計画」なんかと比べても、ユルさはかなり強烈になっている。
その分、いわゆる映画マニア以外にもわかりやすいネタも多いのが強みになっている。


出演陣もなかなか、クセがあるというか、そんな布陣。
ナンシーを演じたジェイマ・メイスが、「最終絶叫計画」のアンナ・ファリスと、
演技的にもイメージ的にも重なるのも、シリーズ的なくくりの一環なのだろうか。
エンドクレジットを見るまで、すっかり同一人物と信じ込んでしまっていた。
「アメリカン・パイ」のスティフのママ、ことジェニファー・クーリッジなんかも、いかにものキャストだし、
「バック・トゥ・ザ・フュ−チュー」(マーティーのパパ役)や「チャーリーズ・エンジェル」の怪優、
クリスピン・グローヴァーも、あの役で登場し、何ともキモ面白かったりする。


決して、絶賛に値する作品ではないのだが、
何だか観てしまうのは、やっぱりこのテイストが好きだからなのか。
観なくても人生に何の損失もないのに、ついつい、という1本。
ま、DVDが出てからでも何の支障もないのだが、
パロディの対象映画がまだ旬な、いまのうちに観ておくのも悪くない、
ような気はする、あんまり自信を持って断言はできないのだが…