敷島シネポップで「スネーク・フライト」

mike-cat2006-10-23



全米を騒然とさせたという話題作がついに!
〝数千匹の毒蛇、ジャンボをハイジャック〟
〝メイス・ウィンドゥ〟サミュエル・L・ジャクソンの悪ノリも楽しい、
かっ飛んだアイデアが光る、由緒正しきB級パニック映画の登場だ。
監督は「セルラー」「デッド・コースター」のデヴィッド・R・エリス。
共演には「ER」のジュリアナ・マーグリーズ、
「秘密のかけら」のレイチェル・ブランチャードといった面々が並ぶ。


〝SNAKES ON A PLANE〟という、ひねりゼロの原題といい、
いかにも東宝東和っぽいノリだが、配給はムービーアイ。
近しいイメージとしては、
〝90分で3,000人- 喰って、喰って、喰いまくれ!〟で、
B級映画ファンを大喜びさせた「ザ・グリード」にちょっと近いかも。
ある意味、まさにB級の真髄に迫った傑作といえそうだ。


LAの犯罪組織のボスを追いつめる目撃証人を乗せ、
ホノルルからLAへ向かうサウスパシフィック121便。
護送を担当するのはFBIのフリン捜査官=ジャクソン。
だが、その目撃証人の命を狙い、組織は何と数千匹の毒蛇を忍ばせた−


飛行機×毒蛇数千匹−。このアイデアだけで〝勝ち〟の映画である。
だが、この映画のすごいところは、
イデアだけに溺れることなく、B級映画としてのテイストを徹底した点。
数多のホラー映画と同様、ところ構わずナニをする輩はガブッ!
イヤミなオッさんはガブッ! とりあえず面白ければ何でもガブッ! といく。
ひと癖もふた癖もあるような連中の、あんなところやこんなところ…
 思わず目を背けたくなる悪趣味さに、段々とヘンな笑いがこみ上げてくる。
そう、そのバッドテイストを生かした、極上のおバカ映画になっているのだ。


かといって、脱力系の笑いだけに終わっていない。
バランスのよさも、この映画の特長だ。
テンポもなかなか悪くないし、ショッカー・ホラー的なシーンの織り込み方もいい。
飛行機パニックのツボもきちんと抑えていて、サスペンス的な要素もばっちり。
サメサメパニック映画「ディープ・ブルー」でも、ノリノリでサメに喰われていた、
サミュエル・L・ジャクソンの熱演のおかげで、おバカ映画にもかかわらず、
不思議なくらいちゃんとした作品に仕上がっているのだ。


このテの映画にありがちな、誰が犠牲者になって、誰が助かるか、という、
製作者側の人種的・社会的スタンスに関しても、まあまずまずだろう。
個人的にはちょっと…な場面もあるが、残虐描写は控えめだし、
何しろこういう映画だし、これだけ人間が簡単にガブガブいかれてる以上、
この程度ならまあ、許容範囲といってもいいかもしれない。


とにかく笑って、びっくりして、また苦笑い、そしてドキドキ…
107分があっという間に過ぎていく、上質の(バカ)エンタテインメント作品といっていい。
最後に流れる主題歌のビデオクリップも、そのまんまストレートにバカで最高。
映画が終わってもしばらくにやけ笑いが止まらない、そんな映画だった。